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古くて新しいモノクローム

【HUAWEI Mate 10 Pro】

 「HUAWEI Mate 10 Pro」に搭載されているレアな機能といえば、しゃべらないAI機能とカメラのモノクロセンサーだろう。AIについては「OPPO R11s」などでも搭載がうたわれているが、カメラにモノクロセンサーを搭載するのはファーウェイのハイエンドモデルだけだ。

 モノクロセンサーは、本来はダブルレンズカメラの一方として搭載されているもので、解像度や階調を記録し、最終的にカラーセンサーの画像と組み合わせてカラー写真になる。「HUAWEI P9」以降のファーウェイのハイエンドモデルのダブルレンズカメラは、このカラー+モノクロという組み合わせだ。ただ、せっかくモノクロ専用センサーを搭載しているということで、モノクロモードを選択すれば、モノクロ専用センサーを使ったモノクロ撮影も可能。

 ファーウェイの一連のシリーズを除くと、実はこのモノクロ専用センサーを搭載したデジタルカメラというのは非常にレアな存在で、ライカが2012年に世界初として発売した「ライカMモノクローム」ぐらいではなかろうか。モノクロ専用センサーには、カラーセンサーに必要なフィルターなどが省かれると思われることから、カラーセンサーでは得られない鮮鋭で階調に優れた写真が楽しめる。これはカラー写真の「モノクロ変換」では得られない大きなアドバンテージだ。

 Mate 10 ProにはF1.6という非常に明るいレンズも搭載されており、この光学性能とあいまって、夜間でも驚くほどきれいなモノクロ写真が撮れるなど、ほとんど多くの人にとっては未知の領域にも踏み込める。

 モノクロ写真というジャンルは今なお生きながらえているが、普段目にするそれのほとんどは、懐かしく古い写真か、非常にオシャレなファッションフォトか、巨匠・写真家のストイックな作品などで、自分が撮る写真という意識は希薄だと思う。一方で、たとえば写真部の新入部員が基本を学ぶ手段としてモノクロ写真が位置づけられるように、色情報の無いモノクロ写真では、構図を積極的に捉え、考えていかないと、気持ちの良い写真にはならない。

 また、モノクロで古い街並みを写せばとたんにノスタルジックな雰囲気になり、モダンなモチーフを撮ればグッとオシャレに見えるなど、モチーフ次第で印象の振れ幅が大きいのも面白い。

 当然だが、モノクロ専用センサーで撮影した写真は、最初からモノクロなので、後からカラーに戻すといったことはできないが、多少の崖っぷち感はよい緊張感にもなる。カラー写真でも、もっとなんか“いい感じ”に撮れるようになりたい、という場合、モノクロで撮影した写真は弱点を洗い出してくれるよい教材になると思う。

 さて以下は……“いい感じ”かどうかは甚だ疑問だが、モノクロ専用センサーで撮影した写真と、同じ場所でカラーで撮影した写真だ。手でモードを切り替えて撮影し直しているため、微妙に内容は異なる。モノクロのほうはパッとしないね……という場合、構図があいまいであることが多い。

大雨で路面に激しく反射するイルミネーション。モノクロだと“異常さ”が伝わりづらく構図の甘さが露呈する
大雪の後の御茶ノ水駅(駅舎の改装中)。モノクロの階調は秀逸だが雪が積もったという非日常感は薄い
日差しの中、雪解け水で濡れる石壁。だが、濡れている感じまでは出なかった。モノクロの解像度は見事。そもそも色情報がほとんどなないので、石壁のディテールだけにするか、もっと影で遊ぶべきだった
どちらも色や階調が、冬の日差しと空をうまく捉えている。35mm判換算で27mm相当の広角レンズなので、遠くのものに注目して撮影すると、結果や構図は肉眼の印象と異なるものになる
夜間撮影に非常に強いMate 10 Pro。露出は肉眼に近い印象。色が失われてもノスタルジックな雰囲気は残った
夜間撮影はとにかくハイライトに強い印象。白飛びせず粘る。モノクロでは平行もとれていない微妙な構図が際立ってしまう
大きなビルの前の大きなパブリックアート。色が失われた写真でも異質さは残っている
レンガ造りの本当に古い建物を再開発したテナント。カラー、モノクロのどちらでも成立する写真だろうか
料理の写真はモノクロだとその魅力を伝えづらいが、神保町の伝統的な洋食屋の黒いカツカレーはカラーでもたいして差はなかった……

 さて、2017年末から使い始め、価格も満足度も高い「HUAWEI Mate 10 Pro」。この端末のために“わざわざしたこと”といえば、「HUAWEI SuperCharge」に対応した充電器とケーブルの購入だった。自宅と会社で使いたいため、追加で1セットを購入したわけだ。

 この充電器は、Mate9以降のハイエンドモデルでサポートした、4.5V 5Aという低電圧・大電流の「HUAWEI SuperCharge」(超急速充電)規格に対応した充電器なのだが、パッケージ同梱品以外での入手経路はかなり限られている。そのうちのひとつが、東京・銀座にある「ファーウェイ・カスタマーサービスセンター銀座店」での購入だ。この店舗は持ち込み修理受付などのサポート拠点だが、パッケージ同梱品を純正アクセサリーとして購入することもできる。店頭端末でアクセサリー購入のための番号を選択して受付を済ませると、修理受付とは別の枠で対応され、比較的スムーズに購入できる。

 前述のように5Aという大きな電流に対応したType-Cケーブルも必要なので、ケーブルも一緒に購入するのが無難。充電器は2000円、ケーブルは1500円で、5A対応ということでケーブルに割高感はあるが、怪しい品質の製品で事故を起こすよりマシだろうということで納得している。その超急速充電だが、実際に利用すると、さすがに超高速と言わざるをえない。特に残量50%以下のようなかなり使った状態からだと、あっという間に80%台まで充電する。しかも低電圧ということで目立った発熱もなく、バッテリーへの負荷が少ないというのもうなずける。

 急速充電規格が乱立するのは好ましいとは思えないが、独自だったとしても発熱の少ないこの規格を推したいというファーウェイの方針は理解できる。実際にシャープなども、将来の電池の劣化具合が変わるとして、充電時の発熱をいかに抑えるかに腐心している。ただ、対応する充電器がサポート経由でしか正規品を入手できないというのはちょっと難点で、人にも勧めにくい。これら純正アクセサリーを家電量販店やオンラインショッピングサイトで購入できるようになれば、なお良いと思う。

「HUAWEI SuperCharge」充電器と5A対応のUSB Type-Cケーブル