スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

不織布とシーラーで「ものづくり」♪

不織布は、ツカエル!

 今回は、不織布(ふしょくふ)とシーラーを使った「小物づくり」についてご紹介します。筆者のなかでは既にひとつのホビー・ジャンルになっている、手軽で便利で愉快な「不織布工作」です。

工作に使うのは、ポリ袋を熱溶着するのに使う「シーラー」です。材料となるのは不織布。不織布によっては熱に溶けない素材でつくられていますが、ここでは熱で溶けるポリプロピレン製の不織布を使っています。
不織布とシーラーでつくったカードケース。超軽量・極薄のケースをつくることができます。縫う手間もありませんので、非常に手軽につくれるのもメリットです。
表と裏に2つずつ、合計4つのポケットがあり、カードが4枚以上入ります。でも超薄で、最厚部でも0.7~0.8mm程度しかありません。財布を変えても常用のカード類を即移せる「財布インカードケース」として使うためにつくりました。

 やや余談ですが、上のカードケースをつくったきっかけ。「カードが4枚入る超薄くて嵩張らないカードケースが欲しい」と思って探しましたが、全然見つからない。そんなところ「不織布で自作できるかな?」と思って試したら、予想以上に簡単&ラクにカードケースをつくれました。サイズやカラーも自在ですし、素材としての使い勝手も良好。それ以降、不織布に大きな可能性を感じたりしつつ、ちょっとした小物を不織布でつくるようになりました。

 不織布は、繊維を絡み合わせてつくったシートで、布のように扱えるものが大半です。一般の布とは違って「織らずにつくった布」ということで「不織布」。フィルターとかマスクとか幕の類とかカバーとか、身近に多々あります。素材となる繊維は、化学繊維のものもあれば、天然の繊維のものもあります。

 不織布のうち、熱に溶ける素材のものは、ポリ袋と同様にシーラーで熱溶着することができます。不織布は強度もあり縫うこともできますが、「縫うかわりに熱で溶かしてくっつける」ということもできるわけです。

2枚のポリプロピレン製不織布を重ね、シーラーで熱溶着してみました。右写真の青い線のように見える部分が「熱で溶けてくっついた部分」です。適切な温度で溶着できれば、十分に高い強度が得られ、強く引っ張ると熱溶着部分はそのままで周囲の不織布が裂けるほどです。

 たとえば「コレがちょうど入る布のケースが欲しい」と思った場合。布を縫うなどしてつくればいいわけですが、裁縫慣れしていなければ「面倒」と感じると思います。それ以前に「裁縫とか無理!」とハードルを感じるかもしれません。

 しかし、不織布とシーラーがあれば、不織布をチョチョッとシーラーで挟んで溶着し、余った部分をカットすればできあがり。短時間で手軽に袋などの小物を自作できるというわけです。ちょっとオモシロそうでしょ? オモシロいですよ~♪

どうやるの?

 不織布工作……というか、不織布手芸ですかね? 不織布クラフト? ともあれ、まずは、そのやり方を。必要なものは、熱で溶けるタイプの不織布、シーラー、それからカッターなど不織布を切る道具です。

素材となる不織布。筆者はポリプロピレン製のものを好んで使っています。写真は恐らくアーテックというブランドの不織布で、「キープオン」という通販サイトで購入しました。具体的には「カラー不織布ロール 100cm巾×1m切売」(ショップ商品リンク)。100cm×100cmで340円です。やや目が荒く少し硬い不織布ですが、小物をつくるにはイイ感じです。
不織布を縫うかわりに直線的にくっつけるためのシーラー各種。左がテクノインパルスの「クリップシーラーZ-1」(3000円くらい)で、右が富士インパルスの「P-200」(1万4000円くらい)。左のタイプは「不織布を深く挟み込めない」という不便がありますが、十分な性能があります。右のタイプは挟み込む深さの制限もなく、温度調節も容易で、非常に使いやすいです。もちろん、どちらのシーラーも「ポリ袋などの口を熱溶着して閉じる」のにも使えます。
不織布を切る必要がありますので、カッターやカッターマットや定規なども必要。円形刃タイプのカッターだと、不織布をよりキレイかつスムーズに切ることができます。右のような、円形刃採用のペーパーカッターがあると「不織布を四角いパーツとして切る」のにとても便利。

 あとは、つくりたいモノを、つくりたいように。シーラーを使った部分が直線的に熱溶着されますので、袋をつくるなら2つに折った不織布の左右など2辺を熱溶着。1辺だけ開口した袋のできあがりです。

 シーラーを使っての熱溶着だと、基本的には直線しか熱溶着できません。カーブで溶着したい場合は、たとえばハッコーの「ビニレイド」シリーズはんだごて(直販サイト)などを使うといいと思います。が、扱うのに少々コツと経験が必要で、シーラーと比べると「使いこなしが難しい」です。

イロイロつくれる!

 不織布、シーラー、カッター程度で、いろいろな小物がつくれます。筆者の場合は「モノにぴったりのサイズのケース」をつくることが多いですが、まあ裁縫などと同様、用途やアイデア次第でいろいろなものがつくれるでしょう。わりと最近つくった作例を少々お目にかけます。

Galaxy Note8ジャストサイズのケース……というか袋です。バッグ内での端末傷つき防止用につくりました。右写真では端末上部が少し出ていますが、実際はピッタリに収まります。不織布なので、少しだけ端末の光が漏れるので、袋に入れた状態でもLEDインジケーター点滅や通知の画面表示に気付けます。この袋、不織布を2つに折って2辺を熱溶着し、それを裏返して熱溶着の線が見えないようにしています。
これは前出のカードケースの6ポケットバージョン。表裏に3つずつポケットがあります。オレンジとイエローの2枚の不織布をU字に折り、オレンジの開口部をイエローの開口部で挟むように重ね、3箇所を熱溶着。カードが収まる「きつさ・ゆるさ」も自由につくれて、激薄の仕上がりになり、なかなか実用的です。
これはペンケース。ペンを2~3本、バッグのなかの定位置に入れたいと思いつくりました。手持ちのどのペンケースよりも薄く嵩張らずシンプルに使えて、我ながらかなり気に入っています。あ、上部の熱溶着部の余分をカットし忘れてますネ。あとでカットしよっと。

 手作りですので、よ~く見ると「この部分の仕上がりが汚い」「ここがナナメってる」みたいなトコロもありますが、ご愛敬。でもパッと見、ちょっとした市販品のように見えたりも。そのわりには、つくるのがスゴ~く簡単なのが良いトコロ。思いついたら即制作できる、みたいな気軽さ手軽さもイイです。

 ただ、シーラーをどうするかがハードルかも、です。オススメは前出の1万4000円くらいのやつ。あの形状で、もっと安価なものがあればソレでもいいと思います。シーラーさえあれば、ほかの道具は安価に入手できますし、不織布も安価。不織布の強度と耐久性とカラーで、アレコレと小物がつくれることまで含め、手軽&低コストで楽しめると思いますので、ゼヒ!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。