みんなのケータイ

iPhoneで海外プリペイドSIMを使いつつ、いつもの番号で待受する方法

【iPhone X】

先輩から譲ってもらったVodafoneアイルランドのSIM(左)とAmazonのセールで入手した「GlocalMe G3」(右)

 2月末、スペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congress(MWC)へ取材に行ってきました。海外出張時には現地でプリペイドSIMを調達することが多いのですが、今回はバルセロナのあとにロンドンへ立ち寄る予定もあり、昨年入手したヨーロッパ周遊に便利なVodafoneアイルランドのSIMと、モバイルWi-Fiルーター「GlocalMe G3」を活用しました。

 VodafoneアイルランドのSIMは、世界中で使えるRED Roamingサービスが利用可能な便利なSIMカードで、半年ごとにチャージすればその都度買い直さなくても使い続けることができます。これまでアイルランド以外のEU諸国でのデータローミング料金は1日200MB/2.99ユーロでしたが、昨年EU全域でローミング料が撤廃されたことを受けて、EU諸国でもアイルランドと同じ1GB/5ユーロ、5GB/15ユーロ(いずれも30日間)でデータ通信ができるようになりました。

 一方のGlocalMe G3はクラウドSIMというしくみを使って、世界中で使えるモバイルWi-Fiルーター。日本では「GLOCAL NET」の名前で世界均一料金のサービスも提供されていますが、筆者はuCloudlink社が直接販売するものをAmazonで購入しました。こちらは0.05ユーロ/MBの従量制のほか、国ごとに様々なプランが選べ、たとえばスペインなら1GB/7ユーロ(30日)、スペインのほかフランスやイタリアなど5ヵ国で使えるパッケージだと1GB/10ユーロ(30日)といった感じです。

 どちらもバルセロナで購入可能なプリペイドSIM(キャンペーンでデータ通信量が2倍など)に比べると割高ではあったのですが、VodafoneアイルランドのSIMはバルセロナでもロンドンでも、空港についてデータローミングをONにするだけですぐにアクセスできて大変便利でした。またGlocalMe G3はバッテリー容量が5350mAhもあり、丸1日つないでもバッテリー切れしなかったのが有り難かったです。今回はSIMフリーの「iPhone X」をメイン端末にしてVodafoneアイルランドのSIMを使用し、そのほかのスマートフォンはGlocalMe G3につないだのですが、その際に少し悩んだのがメインのiPhone Xでどうやって電話を待ち受けするかということでした。

乗り継ぎのために立ち寄ったドイツのデュッセルドルフでも、バルセロナでも、すぐにローミング開始のSMS(左)や、データ通信の契約状況を伝えるSMS(右)が飛んできて、使い始めることができました

 SIMフリーのiPhone Xは対応バンドも広く、また仮に現地でSIMを購入する場合も、iPhoneならキャリアショップの人が扱いに慣れているので設定がスムーズ。万が一壊れても現地のアップルストアに駆け込めるなど、海外で使うのにとても便利なデバイスです。一方でSIMスロットが1つしかないので、DSDS対応モデルのようにデータ通信に海外のプリペイドSIMを使いつつ、日本のSIMで電話を待受するといったことができません。これまで海外出張では、DSDS対応モデルをメインにしたり、待受専用のガラケーを使ったりしていたのですが、今回は自分のドコモの電話番号宛にかかってきた電話を「050 plus」に転送するという方法をとりました。ちなみにドコモの「転送でんわサービス」は申込みが必要ですが、月額料金等は無料。転送の設定は海外からも、ドコモのSIMを入れたスマホから、国内同様にダイヤル操作で行えます。

050 plusの専用アプリ。アプリを起動していなくても電話が着信できるのが便利。月額基本料が324円かかりますが、iOSのアップデートへの対応も早く安心です

 050 plusについては、もはや説明不要かもしれませんが、NTTコミュニケーションズ提供の専用アプリを使ってIP電話がかけられるサービスです。LINEやFacebookメッセンジャーの無料通話とは違って専用の電話番号を持つことができ、固定電話にもかけられるというもの。インターネットを利用するのでデータ通信は発生する一方、通話料がお得というのがウリですが、大手キャリアでは今や定額かけ放題が当たり前なので、最近ではMVNOで安価に通話するためのサービスとして認識されています。

 050 plusではMVNOのデータ通信専用SIMでも、なんならWi-Fi経由でも、専用の050番号へかかってきた電話を受けられます。そしてこれは海外でも同じ。自分の電話番号宛の着信を050番号へ転送してしまえば、海外プリペイドSIMを使っていても、iPhoneで電話が受けられるというわけです。

 海外プリペイドSIMで電話の待受ができる以外にも、050 plusのようなIP電話へ転送するメリットはあります。海外にいて日本で使っている携帯電話番号宛に日本から電話がかかってきた場合、かけてきた相手が負担するのは日本国内の通話料金(かけ放題プランなら無料)だけで、日本から海外ローミング先までの着信料は自分の負担になります。もちろんこの着信料は、かけ放題プランの適用外。これ、案外知らない人が多いのか、中には自分からかけているのだからいいだろうと、長話をしてくる人もいたりします。実は私も以前、日本から電話がガンガンかかってきて痛い目に遭ったことがあるのですが、その点、IP電話なら着信料は不要。またかけ放題プランに加入していれば、050番号へ転送される際の通話料金もかかりません。海外出張の多い諸先輩はもはや当たり前のように活用しているテクニックですが、もしご存じなければ、こんな方法もあると覚えておいて損はないと思います。

SoftBankオンラインショップ
iPhoneの情報をチェック