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ドコモのテーマは「For All」、夏モデルと新サービスで幅広く

 16日、NTTドコモは2018年夏モデルや、新たなサービスを発表した。スマートフォン10機種にタブレット1機種を揃え、ユーザーの選択肢を充実させる中、「dポイント」の会員基盤を軸として、新たにAIエージェントや、投資サービスを提供することになった。

 代表取締役社長の吉澤和弘氏は、今回のテーマが「For All」と説明。全てのユーザーに向けて、期待を超える感動と驚きを届けたい、と意気込んだ。

AIサービスに注目集まる

 「iコンシェル」や「しゃべってコンシェル」など、先駆けて携帯電話向けのエージェントサービスを提供してきた同社だが、ここ最近、話題になっていたのはアップルの「Siri」や、グーグルのGoogleアシスタントのほか、Amazonの「Alexa」が搭載されるスマートスピーカーなどだった。

 こうした中、他社よりも後発に見えるドコモの新サービス「my daiz」は、ユーザーの行動を的確に支援するべく、位置情報や、スケジュールなどを活用する“先読み”を強みに打ち出す。

吉澤社長
「昨年10月に発表したものが本格的に始動する。一番身近なスマートフォンだからこそ、誰よりもお客さまを理解する。スマートフォンだからこそ、外出先でも自宅でもどこでも利用できる。そしてパートナーが参加し、多様なサービスを提供する」

 デバイスについては、スマートフォンやタブレットがまず挙げられるが、メーカーとの協力も視野に入れる。APIは公開されているとのことで、ドコモに対してメーカー側からアプローチすることも歓迎する姿勢だ。

ファーウェイ「P20 Pro」はドコモ専売

 ドコモとしては、5年ぶりに扱うファーウェイ製のAndroidスマートフォンとなる「P20 Pro」。SIMロックフリー市場で存在感を高めてきたファーウェイは、ここ数年、技術開発にも投資し、スマートフォンでも市場をリードするようになってきた。ドコモではそうした面を評価したとのことで、今回ラインアップに追加。ドコモだけで取り扱うモデルになるという。

 CMキャラクターの綾野剛、高畑充希、堤真一が登場した際にも、ガジェットへの熱を隠さない綾野は今回の一押し機種として「P20 Pro」を紹介。ライカレンズを採用したトリプルカメラでは、撮影後もボケやピントを調整できることに触れると、高畑や堤が感心して声を挙げる場面もあった。

囲み取材一問一答

――dポイントの会員基盤を中心にするとのことで、あらためてdポイントの位置づけを教えて欲しい。

吉澤社長
 契約から会員へと軸を切り替えることにしたが、会員の一番大きな枠組みはポイントプログラム。ポイントを中心に会員を拡げる。しかしポイントは、ドコモのサービスだけでは増えにくく、使いづらい。そこで使える場所を増やしており、利便性を高めていっている。今回のポイント投資サービスも、投資の疑似体験をしてもらった上で、初めての(現金)投資をしてもらい運用額に応じてポイントが付与される仕組みにしている。好循環を作ってドコモのメリットを感じてもらえれば会員も増える。回線契約はサービスのひとつで、重要な存在だが、日本国内ではなかなか増えない。ポイントをフックに、会員を増やす戦略であり、投資もあり、AIネットワークの「my daiz」からポイント残高もわかるようにしており、パーソナルな連携ができる。全て繋がっている。

――ドコモブランドには安心感もある。投資サービスはリスクもあるが、安心を担保するような仕掛けはあるのか。

担当者
 ポイントであれ現金であれ上昇したり、下降したりする。お客さまには注意喚起をきちんとするのが基本。アクティブコースとバランスコースを用意しており、お客さまがリスク志向を選べるようにしている。

――ドコモショップ店頭でも投資サービスのユーザーを獲得していくのか。

担当者
 販路はネットで考えており、ドコモショップでオススメすることは想定していません。

――my daizは、ユーザーの接点との大きなポイントと考えているのか。

吉澤社長
 個人的には、今まで以上に、ユーザー接点を近くするものだと考えている。mydocomoというユーザー向けサイトがあるが、そういったところと連携することで、コールセンターなどに加えて、新たに繋がるツールになり得る。契約更新の時期を知らせたり、機種変更でオススメの機種をお伝えするなど、ユーザーの近くへいけるサービスだと思っている。

――my daizのパートナー企業を2020年までに150社という目標が明らかにされたが、その狙うところは?

吉澤社長
 my daizのユーザー数は、2020年までに1500万人を目指していく。

担当者
 150社という数値は、ユーザーの生活での行動支援において、暮らしやショッピングなどのカテゴリーで、一緒にサービスを届けていくパートナーの数。各カテゴリーではもっともっと増やしていきたい。

吉澤社長
 こちらからアプローチしていくのが150社。APIを開示することもあり、ドコモに対してご提案をいただくこともあればもっと増えるだろう。

――my daizでは月額100円のサービスもあるとのことだが、収益モデルは。

吉澤社長
 APIをオープンにしていくが、いずれAPI課金のような形も考えている。パートナーが参入する中でのプラスアルファを考えている。

担当者
 間接的になるが、my daizはドコモが提供するさまざまなサービスの利用を促進する役目も果たしていく。またパートナーのサービスも増やしたいが、最終的に決済へ繋げていけると思っている。

吉澤社長
 パーソナライズすると、1人1人にマーケティングできる。都度課金のサービスも利用していただけるようになる。そこも狙っているところ。

――とはいえ、既にGoogleアシスタントなど、他社のアシスタントサービスが組み込まれている。

担当者
 my daizではパーソナライズということで、お客さまからいただいたデータを学習しつつ、1人1人へ届けていくほか、パートナーの存在が強みになる。

吉澤社長
 パートナーをいかにたくさん集められるか。自分たちの仕組みとしてワントゥーワンマーケティングをするための仕掛けをいかに作るか。そして土台となる会員基盤。そのあたりが差別化に繋がる。

―――今年度のmy daizの目標ユーザー数は?

吉澤社長
 既存サービスのiコンシェルが700万程度。my daizではiコンシェル以上の機能を実現しており、そのままシフトしてもらいつつ、700~800万くらいにはいきたい。そして2020年度の1500万人以上を狙いたい。

――iコンシェルは、登場時インパクトが大きかった。その後あまり進化しなかった印象がある。ドコモとしてなぜ注力しなかったのか。

吉澤社長
 ドコモとしてはある程度注力していたが、iコンシェルは多くのユーザーからの声を認識したり、何億回との利用を蓄積した。自然対話エンジンはそうしたところで発展した。ただ、検索だけではユーザーの行動の支援になっていない。今回は先読みエンジンをいかに充実させるか。1人1人の先へいかに行くのか。そこをやるのがmy daiz。たとえば家電との連携もある。IoTとの連携も今年度中に実現させる。今までアピールできていなかったところが実現できる。

――docomo withの対象機種は、以前3万円台半ばという価格帯だったが、今回の「LG style」は4万円弱になっている。

吉澤社長
 docomo with開始時に端末価格が3万5000円~4万円程度であればと考えていた。LG Styleはギリギリだと思う。

――iPhone SEのような機種は難しいのか。

吉澤社長
 iPhoneのある機種を対象にするかどうか、調達価格によるところはあるが、検討はしていく状況になるかなと思うが、今は考えていない。

――ファーウェイの「P20 Pro」を採用したが、ハイエンドな機種だ。docomo with向けの機種ではなくハイエンドを採用した考えは。

担当者
 できるだけお客さまに受け入れていただくものをラインアップしたいと考えている。今回もそういう考えで用意している。

吉澤社長
 P20もいくつかのレベルがあるが、ハイエンドなものは他の製品との関係もあって採用した。今後も比較検討していきたい。