ケータイ用語の基礎知識

第874回:モバイル充電安全認証 とは

 「モバイル充電安全認証」は、スマートフォンなどの充電に用いるACアダプターやモバイルバッテリー、ケーブルの安全性を示す仕組みとして用意されたものです。

 通信キャリアやハードウェアメーカー、ソフトウェアメーカーらが参画する業界団体「MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)」により、所定の試験に合格した製品に対して付与されます。

 充電、バッテリーに関しては、火災などの事故が発生しないよう取り組む必要があります。「モバイル充電安全認証」は安心・安全な充電機器の普及促進のために用意された仕組みの1つです。「認証に沿う製品は一定のレベルの安全を確保できているということを示す」というマークとなります。

 モバイル充電安全認証を取得するには、主にモバイル機器側の基本性能・各種保護機能・焼損防止といった対策が必要となります。

MCPC認証ロゴマーク。これが記されていれば、製品がMCPCの定める基準に適合しているということを、明確に知ることができるマークだ

 試験を受けたメーカーは、その製品に対してモバイル充電安全認証を使用することができ、ユーザーはその製品がMCPCの定める基準に適合しているということを明確に知ることができます。

 つまり、ユーザーにとって、少なくとも購入時の状態では。充電に関して、ある程度安全が担保された機器だといえるわけです。

USB充電で発生する事故事例とは

 「MCPC TR-021 USB 充電インタフェース安全設計ガイドライン」というMCPCから配布されている資料によれば、USB充電では、受電側(つまり携帯電話・スマートフォン側)が原因で、いくつかの事故事例があります。

 充電事故を避けるには、それらが起こりうる状況を避けて充電機器は設計されなければなりません。

充電端子のハーフショート

 端子に金属や水分が付着し、金属が腐食。そのため端子間、端子とコネクタシェルの間が半ば電気が通った状態となり、発熱や焼損となる可能性があります。

microUSB/USB Type-C端子の変形によるショート

 ユーザーが使う中で、端子が曲がるなど変形してしまい、ショートしてしまう。充電機器にショート保護機能が実装されていなければ、発熱したり焼損したりする可能性があります。

指定外充電機器の利用や被充電機器の接続

 充電する側/される側は、両方の仕様がマッチする必要があります。充電ケーブルは、充電器と充電対象の機器が指定するものを利用する必要があります。指定外の機器、ケーブルを使うと、ショートや発熱、焼損の可能性があります。

過電流/過電圧保護機能が実装されていない

 過電流や過電圧に対する保護機能が実装されていない機器を使うと、能力以上の電流が流れ、発熱・焼損することがあります。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)