レビュー

「ネットが遅い」「つながらない」と甥っ子に言われたのでメッシュWi-Fiで解消した一部始終

 IT系ライターという仕事柄もあって、自宅のネットワークインフラは自分が担当しているが、ここ最近頭を悩ましているのが、家族からの「ネットにつながらない」というクレームだ。家族だけにその問い合わせは容赦なく、海外出張中でも連絡が来る。そこで、自宅内での安定したWi-Fiネットワーク環境構築のため、ネットギアジャパンのメッシュWi-Fiルーター「Orbi Micro」を導入。それまでのWi-Fi環境と比べてみた。

3台のOrbi Microで、1戸建てで隅々までWi-Fiの電波が届くように

電波が隅々まで届かない自宅Wi-Fi、甥っ子や姪っ子からクレームが……

現在使用しているONU一体形のWi-Fiルーター。IEEE 802.11acはExpressCardで拡張するタイプとなっている

 現在住んでいる1戸建てに引っ越してきてから約12年が経過しており、その間インターネットは光回線を契約している。当初は100Mbpsの回線で、ONUとWi-Fiルーター(2.4GHz帯のみ)を組み合わせて運用していたが、数年前にギガビットのサービスへ回線を切り替えた際に、ONUはレンタルされたWi-Fiルーター一体型のものに切り替わった。

 このONU一体型のWi-Fiルーターでの運用を始めた頃から「ネットにつながらない」という家族からのクレームが増え始めた。どうやら一体型のWi-Fiルーターは、配置場所や電波の指向性から、自宅とは相性があまり良くないようで、5GHz帯では1戸建ての宅内を隅々までカバーできていない上、2.4GHz帯も以前のルーターよりエリアが狭くなってしまった。

我が家の2階図面(左)と1階図面(右)。アルファベットがルーターやサテライトの配置場所。数字は速度などの計測ポイントとなる

 自宅は2階建てで、AポイントにONU一体型のWi-Fiルーターを設置している。実際どれくらいONU一体型Wi-Fiルーターの電波が自宅をカバーしているか、計測アプリでチェックしてみた。

ONU一体型Wi-Fiルーターのみ
電力比速度
地点1-44dBm702Mbps
地点2-69dBm234Mbps
地点3圏外
地点4-71dBm526Mbps
地点5圏外
地点6圏外
2階から1階まで有線LANケーブルを這わしているので、ちょっとみっともないのも気になるところ

 結果を見ると、2階のうち3分の2ほどのエリアと、1階の自室直下だけは、ある程度の電力比はあるものの、それ以外のエリアは圏外となってしまい計測ができないほど電波が弱かった。これでは使いものにならないので、2階のAポイントから1階のリビングにあたるCポイントまで有線LANケーブルを這わし、そこに以前ONUと組み合わせて使っていた旧型のWi-Fiルーターを接続。これでカバーエリアを広げることで、ここ何年か運用してきたのだ。

 ここまでがOrbi Microを導入する前のネットワーク環境だが、最近さらに「ネットにつながらない」というクレームが増えてきた。というのも、甥っ子や姪っ子などが成長して、それぞれスマートフォンやタブレットを持つようになり、家中で使うようになってきた。つまり、Wi-Fiの利用者と利用場所が増えたわけだ。

 さらに、「電子レンジを使うとネットにつながらない」という具体的なクレームも出てきた。確かに1階に設置した旧型ルーターの周波数帯は2.4GHz帯のみで電子レンジの電波とバッティングする。設置場所も数メートルしか離れていないので、影響を受けそうだ。しかもWi-Fiルーターは引っ越してきてからずっと使っているので、すでに10年選手。製品寿命といったところだろう。

古いルーターをOrbi Microへ、中継器でなくメッシュWi-Fiにした理由は……

 増え続ける家族からのクレームから、さすがにWi-Fiのネットワーク環境をイチから構築し直そうと考えて選んだのが「Orbi Micro」だ。ルーターとサテライト間を最適なチャンネルで自動接続し、広いWi-Fiエリアが構築できるメッシュWi-Fiシステムを構築できる。しかも、SSIDはどの機器からも同一に見える製品となる。

 例えば、Wi-Fiルーターを複数個、しかもメーカーが揃っていない状態で運用したり、Wi-Fiルーターと中継器を組み合わせたりすると、効率のいい電波の運用はあまり期待できない。さらに、Wi-Fiルーターや中継器のSSIDが異なるため、移動したときにはいちいち繋ぎ変えたりする必要が出てきて面倒でもある。その点、メッシュWi-Fiならば、SSIDは1つになるので、家族にひとつのSSIDとパスワードを伝えればいいので、分かりやすいわけだ。

「Orbi Micro」のルーターとサテライト。今回は合計3台を用意した。

 Orbi Microの無線のスペックは、IEEE 802.11ac/n/a/g/bに対応し、最大通信速度866Mbpsの5GHz帯×2、同400Mbpsの2.4GHz帯×1のトライバンドという構成になっている。ちなみに単体での利用時には、トライバンドをフルに利用できるが、メッシュを構成すると、5GHzのバンドひとつを、ほかのルーターやサテライトと通信を行うための中継専用に利用する。

 この5GHz帯の中継用バンドを用意しているのがOrbi Microのポイントだ。高速通信が可能な5GHz帯で機器間の通信を行うため、通信速度の低下を防いでくれる。さらに2.4GHz帯をWi-Fi子機との接続に利用可能なので、5GHz帯に対応していない機器でも利用できるのはうれしい。

親機としての役割を果たすOrbi Microのルーター
背面下部にポートやボタンなどが集まっている
左から、サテライトの接続やWPS設定に使用する「SYNC」ボタン、インターネットに接続しているモデムやONUからの有線LANケーブルを挿す「Internet」、有線LAN機器を接続する「Ethernet」、電源ボタン、電源コネクターが配置
親機のOrbi Microルーターは、天板の色がブルーになっている
こちらは「Orbi Micro」のサテライト
基本的なデザインや大きさはルーターと変わりない
WANのポートはなく、2つともEthernetとなっている以外は、見た目はルーターと変わらない
サテライトの天板の色は白

ルーターの入れ替えでWi-Fiのエリアが拡大、スマホアプリでカンタン設定

ONU一体型Wi-Fiルーターの無線LANポートからOrbi Microの黄色い「Internet」と書いてあるポートに有線でつなげる
アプリを起動して、説明通りに作業を進めていくだけなので簡単

 気になる設定方法だが、結論から言うと拍子抜けするほど簡単。本体を有線LANケーブルでONU一体型Wi-Fiルーターと接続し電源をオンにする。あとはスマートフォンに専用アプリ「Orbi」をインストールして、アプリから設定すればオーケー。スマートフォンのカメラ機能を使って接続設定を自動で読み込む機能もあるので、めんどうなパスワード入力も必要ない。

 接続終了後、電力比と速度をチェックしたところ、下記のような結果となった

 ONU一体型Wi-Fiルーターと比較すると、地点4での通信速度こそ低下しているが、圏外だった地点5でも通信ができるようになっており、エリアが広がっていることが分かる。

Orbi Micro1台設置時
電力比速度
地点1-32dBm86Mbps
地点2-61dBm234Mbps
地点3圏外
地点4-62dBm175Mbps
地点5-72dBm13Mbps
地点6圏外

追加を「置くだけ」でメッシュ化、設置場所は「ランプを見ながら部屋の中をウロウロ……」で

 ルーター単体を入れ替えただけでも、ある程度通信できるエリアは広がったが、まだまだ圏外のポイントもあるので、通信可能なエリアを広げるべく、サテライトを追加することにした。

 サテライトの追加も簡単だ。スマートフォンアプリから「サテライトの追加」をタップすると、設定方法がアナウンスされる。基本的にはセットしたルーターのそばでサテライトの電源を入れて起動してから、ルーターとサテライトの本体背面にある「SYNC」ボタンを押すだけだ。本体上部のLEDがブルーに光れば、接続が完了している。

やや分かりにくいが、電源投入直後は白色でLEDが点灯する
接続状態が良好な場合はブルーに点灯
接続不良の場合はマゼンタに点灯する

 接続設定が完了したら、サテライトを設置したいポイントに持って行って電源を入れるだけ。接続状態は本体上部のランプでチェックできるので、設置する際には、電源をつないだままで、ランプを見ながら部屋の中をウロウロすれば、ベストな設置場所が見つけられるようになっている。青点灯(3分間)なら良好、オレンジ点灯(3分間)なら普通、マゼンタでの点灯はルーターとの接続失敗を示すので、青点灯やオレンジで点灯するポイントに配置しよう。スマートフォンなどでは、ルーターからの電力比をチェックすることもできる。

 実際にAポイントにルーター、Bポイントにサテライトの2台を設置した場合と、AポイントとBポイントに加え、Cポイントにもサテライトを設置した3台の場合で、電力比と速度をチェックしてみたのが以下だ。

Orbi Micro2台/3台設置時
2台設置時(A,B)3台設置時(A,B,C)
電力比速度電力比速度
地点1-30dBm866Mbps-30dBm780Mbps
地点2-52dBm234Mbps-44dBm585Mbps
地点3-41dBm173Mbps-42dBm104Mbps
地点4-59dBm104Mbps-54dBm117Mbps
地点5-68dBm78Mbps-57dBm104Mbps
地点6-60dBm117Mbps-32dBm585Mbps

 その結果、2カ所に配置しただけでも圏外の地点はなくなり、2階建ての自宅は十分カバーできることが分かった。さらに追加して3カ所にセットした方が、ほとんどのポイントで通信速度もアップした。

結果:3カ所の設置で安定通信、家族からも好評

 ひとまず3カ所に「Orbi Micro」を配置して、家族に使ってもらったところ、かなり好評だ。ひとまず「ネットにつながらない」といったクレームはなくなった。特に姪っ子は最近の中学生らしく、YouTubeなどでの生配信を暇さえあると観ているが、家のどこでも安定して観られるので喜んでいる。

自宅内はどこに居ても100Mbps以上は出ているので、動画も快適に観られる

 また甥っ子はPS4のオンラインゲームを友だちと楽しんでいるようで、ゲームをしながら音声チャットをしている声が聞こえてくる。オンラインゲームや音声も以前より途切れず楽しめているそうだ。

PS4などのゲームもWi-Fiで接続しているが、オンライン対戦なども問題なくプレーできるとのこと

 ちなみにペアレンタルコントロールとしては、「Circle With Disney」が利用できる。利用者ごとにウェブサービスや通信のジャンルを指定しての制限が可能で、インターネットが勉強の邪魔や夜更かしの原因にならないよう、アクセスを制限できるので安心だ。

 さらに、自分としてはうれしいのが、外出先からでもネットワークの状況をチェックできること。スマートフォンアプリからは、稼働しているOrbi Microの状況が確認できる。もし海外出張中に「ネットにつながらない」と家族からクレームが来ても、ひとまず状況を確認できるのも便利だ。

外出先からのリモート操作にも対応
ルーターとサテライトの動作状況がチェックでき、不具合などがあればすぐに分かる

 3台のルーターをセットするのに1時間もかからず、それでいて家族からは満足のいく結果を得られた「Orbi Micro」。自宅のWi-Fi環境に悩んでいるのなら、導入を強くお勧めしたい製品だ。

【お詫びと訂正 12:01】
 記事初出時、電力比の単位に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

 正:dBm

 誤:db

(協力:ネットギアジャパン)