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KDDI、富士山5合目でドローン山岳救助支援システムの実証実験に成功

御殿場市とは5G/IoTによる地域活性化で包括連携協定締結

実証実験の様子

 KDDIは、静岡県御殿場市、ヤマップ、ウェザーニューズの協力の下、遭難者救助を目的としたドローン山岳救助支援システムの実証実験に成功したと発表した。

 今回の実証実験では、4G LTE対応の自律飛行のドローンを活用。ヤマップの位置情報通知・監視サービスやウェザーニューズの高精細気象予測システムと組み合わせ、遭難者を発見するまでの手順やソリューションとしての有効性が確認された。

 実証実験は10月25日に富士山5合目で実施された。位置情報通知デバイスを持った登山者役が遭難したと想定。家族が登山者の位置情報から遭難を把握し、捜索を依頼。高精細気象予測システムによりドローンの飛行可否や飛行ルートを設定し、ドローンが現場に急行。遭難者を発見し、状況を確認した。

 登山中の遭難者救助においては、遭難位置や現場の状況を把握することが困難で、救助が長期化したり、天候不良により救助が難しくなるといった課題がある。KDDIでは、ドローンを活用することで、迅速に現場の状況を確認できるようにすることで、救助のスピード向上と効率化を図りたいとしており、2019年の富士山開山期間での実運用を目指す。

左からウェザーニューズ 執行役員の石橋知博氏、御殿場市長の若林洋平氏、KDDI 理事 商品・CS統括本部 副統括本部長の山田靖久氏、ヤマップ 取締役 COO・CFOの高橋勲氏

 15日に都内で開催された発表会では、KDDI 理事 商品・CS統括本部 副統括本部長の山田靖久氏が今回の実証実験の概要を説明した。

 同氏によれば、一般的なものに比べ、山岳地帯で使用するドローンには、高高度飛行、耐風性能、耐水性能、可搬性といった特殊な要件が求められる。このため、今回の実証実験用に開発されたドローンは、標高6000mでの飛行が可能で、最大18mの強風下での運用にも耐える。IP55相当の防水性能があり、雨や霧といった天候でも飛行できる。20分程度の飛行が可能で、折りたたんで持ち運べるようにもなっている。

 発表会に同席した首都大学東京 都市環境科学研究科 助教で一般社団法人日本山岳救助隊 技術アドバイザーの泉岳樹氏は、近年の中高年の登山ブームや山ガールブームの影響もあり、登山者の遭難が急増しているというデータを示した上で、「山岳救助ヘリは救助の切り札だが、リスクも高く、それに伴って救助ヘリ関連の事故も増えている」と指摘。遭難の原因の1位は「道迷い」で、今回のシステムによって迅速な確認が行えるようになれば、現場の負担軽減につながるとの期待感を述べた。

 同システムはLTEのエリア内での運用を前提に開発されているため、電波が届かない圏外では使用できない。また、厳しい気象条件でも飛行できるように設計されているが、実際の運用にあたっての飛行ルールも検討していく必要がある。

 山田氏は、こうした課題をクリアしながら、「ドローンでできることを幅広く検討して提供していきたい。物資を運ぶということもあるし、片方向の映像だけでなく、音声も含めてコミュニケーションできるようになると、より迅速な救助につながる。そういったところも広げてやっていきたい」と語った。

実証実験用に開発された山岳ドローン
LTE対応の通信モジュールを搭載
カメラで遭難者の状況を確認する
CEREVOの映像中継用ユニットを使用
首都大学東京 都市環境科学研究科 助教で一般社団法人日本山岳救助隊 技術アドバイザーの泉岳樹氏のプレゼンテーション

 11月15日には、KDDIと御殿場市が地域活性化を目的に5GやIoTを活用していくことで包括連携協定を締結。同市が抱えるさまざまな課題解決に取り組んでいくとしている。

 また、今回の発表にあわせ、KDDIとウェザーニューズは、KDDIが構築・運用する「スマートドローンプラットフォーム」において、250mメッシュ、高度10m単位で気象予測を行うシステムが利用できるようになったことを明らかにしている。

KDDIと御殿場市が包括連携協定に署名。右はKDDI 理事 中部総支社長の渡辺道治氏
ウェザーニューズの高精細気象予測システム
ヤマップの位置情報通知監視サービス