「報酬はいらない」の声が多数 mineoが“アンバサダー制度”を始める狙いMVNOに聞く(1/4 ページ)

» 2019年03月25日 06時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 MVNO業界では「UQ mobile」「Y!mobile」「LINEモバイル」といったキャリアのサブブランドが勢力を伸ばす反動で、それ以外の個人向けMVNOでは苦戦を強いられているところが多い。ケイ・オプティコムが提供している「mineo」もその1つだ。mineoは2018年4月に100万契約を超えたあたりから伸びが鈍化しており、2019年1月時点で113万契約にとどまっている。

 こうした状況を打破しようと、同社はユーザーがサービス創出やサポートに参加できる「アンバサダー制度」を開始する。特に、ファンと共に新たなサービスを作る「共創アンバサダー」と、ユーザーが初心者に向けてビデオチャットでサポートをする「サポートアンバサダー」は、他社にはないユニークな取り組みだ。一方、アンバサダー制度は基本的に無報酬で、ユーザーの善意に委ねられていることもあり、どれだけ続くのか、トラブル対策は大丈夫なのか、という懸念もある。

mineo ユーザーとの共創を推進すべく、3つのアンバサダー制度を開始する

 こうした取り組みの狙いについて、ケイ・オプティコムでMVNO事業を率いる、経営本部 モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏と、モバイル事業戦略グループの高谷一朗氏に話を聞いた。

サポートアンバサダーのトラブル対策は?

mineo ケイ・オプティコムの上田晃穂氏

―― アンバサダー制度を発表してからの反響はいかがですか?

上田氏 今までそういうことをやっている事業者はなかったので、「そこまでするのか」という良い反響をいただいています。

―― 実際の申し込み状況は?

上田氏 (mineoに紹介したユーザー数の実績に応じた電子マネーギフトをプレゼントする)「紹介アンバサダー」の募集はスタートしていますが、サポートアンバサダーは募集していて、今(3月上旬時点)は7人ぐらい応募いただいています。(コミュニティーサイト)「マイネ王」のQ&Aでベストアンサーを取っているコアなユーザーが、アンバサダー制度でも声を挙げていただいています。

―― サポートアンバサダーは、どういう流れでサポートをするのでしょうか。

上田氏 サポートアンバサダーに任命されると、自分のサポートできる時間帯をカレンダーで登録し、それがマイネ王で公開されます。その後、サポートを受けたい方が、この時間帯にサポートしてほしいと予約を入れる。それをマッチングさせます。

mineo ビデオチャットを使って、mineoのユーザー同士でサポートを行う「サポートアンバサダー」

―― サポートはいつごろから始まりますか?

上田氏 早くとも4月ぐらいを予定しています。

高谷氏 ビデオチャットの使い方について、いったん事務局とアンバサダーとの方でやりとりをしていただき、分からないところをヒアリングした上でお願いします。そういった所を加味すると、(サービス開始までは)時間をいただくことになるのかなと。

―― サポートをする側と受ける側とのトラブルが懸念されますが、その対策はどうしていますか。

上田氏 アンバサダー側の対策と、サポートを受ける側の対策があります。アンバサダー側の対策としては、もともとマイネ王のQ&Aでご活躍いただいている方、ベストアンサーを5回以上取られている方、そもそも知識やサポートの経験がある方を応募条件にしているので、スキルは担保しています。

 サポートを受ける側の対策は、何か間違ったことを教えたとしても、責任がどうなるか(自己責任になること)は、あらかじめ規約に明記しています。マイネ王のQ&Aでも、間違った答えを言うこともあります。

 また、サポートのやりとりは録画しています。

―― サポートの時間は決まっているのですか。

高谷氏 30分単位で予約をできますが、30分で切られるわけではないので、アンバサダーの裁量で延長することはできます。アンバサダー側の画面には、次の予約がいつ入っているのかが分かるようにしています。

―― マイネ王のQ&Aだけでは足りないのですか。

上田氏 そうですね。やはりこういうふうに操作するというのを、文字情報だけでやりとりするのは難しい。実際に動く、視覚的にも分かる、ビデオチャットのツールも併用することで、よりサポートがやりやすくなると考えました。

―― ツールはSkypeなど汎用(はんよう)的なものを使うのでしょうか。それとも専用ツールを用意するのでしょうか。

上田氏 あるメーカーさんが作った専用のビデオチャットを使います。録画機能、プライバシーをも守るためのモザイク機能など、全ての項目で合致したツールを採用しました。ツールはWebサイトで公開します。

―― ツールの品質は大丈夫でしょうか。先日の発表会は、サポートのツールを使って中継をしていましたが、音声が途切れることがあり、うまく機能していなかったようですが。

上田氏 あのときは、実際とは違うツールを使いました。あんな感じの画面になるという。あれをもう少しカスタマイズして使います。

―― スマートフォンでもビデオチャットは使えるのですか?

高谷氏 はい、スマホでもできます。サポートはブラウザ上で行いますが、スマートフォンの初期設定を目的としているので、PCを想定しています。

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