ニュース

総務省「モバイル研究会」第12回、改正電気通信事業法施行に向けた意見交換

 総務省は、「モバイル市場の競争環境に関する研究会」(モバイル研究会)の第12回を開催した。今回は、一部のテーマや構成員が重複する「ICTサービス安心・安全研究会 消費者保護ルールの検証に関するWG」第10回と合同で開催された。

 今回のモバイル研究会では、5月10日に参議院本会議で可決された改正電気通信事業法の施行に向けた検討事項について話し合われた。

 改正電気通信事業法のポイントは、通信料金と端末代金の“完全分離”と行き過ぎた囲い込みの是正による「モバイル市場の競争の促進」、不適切な販売を是正していく上で実効性を担保するための「販売代理店の届出制度の導入」、固定回線の光コラボレーションモデルなどにおいて相談件数が増加している“自己の名称を告げずに勧誘する”行為などを抑止して利用者利益を保護する「事業者・販売代理店の勧誘の適正化」の3点。

 分離プランの義務化や行き過ぎた囲い込みの禁止については、施行にあたって総務省令で規定するべき部分が残されており、完全分離を義務付ける上でどのような内容・形式の「利益の提供」を禁止するか、現行のガイドラインでは規制対象としていない型落ち機種やフィーチャーフォンの扱いはどうするのか、といった詳細を詰めていくための意見交換が行われた。

 構成員である野村総合研究所の北俊一氏は、行き過ぎた端末購入補助を抑制するにあたって、韓国のようにキャリアと代理店それぞれの割引上限を設けるべきか、端末メーカーを介した新たな購入補助の流れが出てきた際にどのようにコントロールしていくのかなど、実際の運用にあたって想定される課題を指摘した。

 あわせて北氏は、各キャリアが法人顧客を獲得するための競争中で起きる「相対契約」にも言及。規定の料金プラン(=タリフ)からは外れて通信・端末ともに破格で提供しているケースがあることに触れつつ、これらにも完全分離を適用した場合、今後の5GやIoTの進展、通信キャリアと各企業の“共創”にブレーキをかけることにもなりかねないと指摘。法人契約についてはモバイルだけでなくビジネス全体への影響を考慮しながら、対象範囲を見極める必要があることを示した。