ファーウェイの独自OS「Androidに対抗しないが性能は勝る」～オープンソースで開発促す

　ファーウェイ（華為技術）が9日、中国・東莞市で開催したグローバル開発者大会で、開発を進めていた独自OSを正式発表した。中国語のOS名「鴻蒙」は中国神話の「天地創造」という意味を持つが、英語名は「Harmony（ハーモニー）OS」とし、世界や開発者との「協調」姿勢を全面に押し出した。

　Harmony OSは、汎用性が高いOS機能のみを搭載する「マイクロカーネル」なOSで、スマホだけでなく、ウェアラブルウォッチ、スマートテレビ、車載設備、スマートスピーカーなど、さまざまなデバイスを統合的に操作する前提で設計された。

　ファーウェイのリチャード・ユー（余承東）コンシューマービジネスグループCEOは「全てのIoT機器でスムーズかつ安全に動く。また、JAVA、Kotlinなどさまざまなプログラミング言語に対応する」と特徴を語る。

　ファーウェイの独自OSプロジェクトは、トランプ米大統領が同社に対する輸出規制を発動し、グーグルがAndroidの提供を打ち切ると報じられた直後に明らかになった。そのため、「グーグルやアップルに対抗するOS」との印象が広がったが、ユー氏は、「ファーウェイは生活の全場面にITが搭載されるスマート時代の到来を見越し、全てのデバイスに対応するOSが必要だと考えるようになった。10年前からその意識を持っており、Android、iOSとは競争関係にない」と強調した。

　また、OSの名前について、「鴻蒙を英訳するとGenesis（天地創造）が最も近いが、我々は世界に平和と利便性をもたらすことを願い、Harmonyの名前にした」と説明する。

　ユー氏は「Androidに対抗するものではない」と繰り返しながらも、「Androidは少なくとも3GBのメモリがないとスムーズに動かない。コストが高く効率も悪い。IoT機器の多くはメモリが小さく、Androidはスムーズに動かない。だが、スマートフォン、ウェアラブルウォッチなどデバイスごとにOSを開発するのは、非常に負担が重い」「Harmony OSはAndroidに比べ、性能も安全性も高い」などと、Harmony OSの優位性に言及した。

　ファーウェイは、「OSの発展の鍵はエコシステムにあり、エコシステム発展の鍵はアプリと開発者にある」とし、世界の開発者にソースコードを無償公開し、オープンソースでの開発を促す非営利団体の設立も支援する。開発者に対しては、「5G+AI+IoTの時代に、最小限の労力で最大のユーザーをカバーできる」とアピール。

　ファーウェイはHarmony OSをまず、10日に発表するスマートテレビに搭載。今後3年でウェアラブル端末、自動車などに広げていく。