法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

AI対応トリプルカメラを搭載したハイコストパフォーマンスモデル「HUAWEI P30 lite」

 2019年3月、フランス・パリで開催されたイベントで発表された「HUAWEI P30」シリーズ。その普及モデルに位置付けられるのが「HUAWEI P30 lite」だ。従来モデル「HUAWEI P20 lite」もコストパフォーマンスの高さから、国内市場でベストセラーを記録するほどの売れ行きを記録した。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。

ベストセラーモデルの後継機種

 ここ数年、急速に拡大したSIMフリースマートフォンを中心としたオープン市場において、高い人気を得てきたのがファーウェイだ。同社は「HUAWEI P20 Pro」や「HUAWEI Mate 20 Pro」といった上位モデルで、ドイツの老舗光学機器メーカーのLeica(ライカ)との協業によるマルチカメラが高い評価を得ているが、3~4万円程度の価格帯で購入できる普及モデルも好調で、昨年6月に発売された「HUAWEI P20 lite」は各社の販売ランキングにおいて、国内でもっとも高いシェアを持つiPhoneを一時的に上回るほどの売れ行きを記録している。

ファーウェイ「HUAWEI P30 lite」、約152.9mm(高さ)×72.7mm(幅)×7.4mm(厚さ)、約159g(重量)、ピーコックブルー(写真)、パールホワイト、ミッドナイトブラックをラインアップ

 そんなベストセラーモデルの後継に位置付けられるのが「HUAWEI P30 lite」だ。「HUAWEI P30」シリーズは今年3月、フランス・パリで開催されたイベントで発表され、今年5月に開催された国内向けの発表会で「HUAWEI P30」と共に、オープン市場向けに投入することが発表されている。

背面にはカメラや指紋センサーを装備。カメラやブランドネームの位置を含め、上位機種同様の横デザイン

 しかし、今年5月に米商務省産業安全局のエンティティリスト(禁輸措置対象リスト)に、ファーウェイと同社の日本法人を含む関連68社が登録されたことを受け、国内では各携帯電話会社やMVNO各社が相次いで発売の延期を発表し、家電量販店やオンラインショップも取り扱いを見合わせることになってしまった。その結果、本来の発売日であった5月24日の段階では、家電量販店のヨドバシカメラとビックカメラなどが扱うのみとなったが、逆にこうした状況下においても製品を扱う両店に共感する声を上げる人も見受けられた。その後、MVNOではイオンモバイルが5月下旬から販売を開始し、Amazon.co.jpも6月上旬から取り扱いを再開している。

 しばらく各社の動きがないままの状態が続いたが、8月に入り、auが「HUAWEI P30 lite Premium HWV33」の発売を発表し、UQモバイルとワイモバイルも「HUAWEI P30 lite」の販売開始をアナウンス。これにMVNO各社も続き、「HUAWEI P30 lite」は家電量販店でもMVNO各社でもごく普通に購入することが可能になった。ちなみに、同じHUAWEI P30シリーズの内、NTTドコモの「HUAWEI P30 Pro HW-02L」については、各社の販売開始以降も事前予約受付が停止されていたままだったが、8月21日10時から事前予約が再開されることが発表された。

 米商務省産業安全局のエンティティリストへの掲載に端を発したファーウェイ製品の取り扱いの見合わせだが、ユーザーとして、もっとも気になるのはAndroidプラットフォームのサポートだろう。この点については、すでにファーウェイ自身が「発売中、発表済みの製品については、今後も継続してサポートする」と明言している。Androidプラットフォームを提供するGoogleも「アップデートやセキュリティパッチが提供されない端末が数多く存在することになれば、かえってセキュリティのリスクが高まる」とホワイトハウスに進言したと伝えられており、事実上、ファーウェイの「現行商品については問題ない」という主張を追認した形となっている。エンティティリストへの掲載発表後も国内で販売されるファーウェイ製端末については、各携帯電話会社向けに供給する端末もSIMフリー端末も順調にセキュリティパッチやAndroidプラットフォームのバージョンアップが提供されており、現時点においては、何の問題もなく、利用できている。当面は安心して、利用できる状態が続くと見て、ほぼ間違いないだろう。

 一方、製品については、従来モデルを本誌で何度も取り上げているように、ファーウェイはここ数年、秋に大画面モデルの「HUAWEI Mate」シリーズ、春にスタンダードサイズの「HUAWEI P」シリーズを発表し、それぞれのシリーズにハイエンドモデル、ミッドレンジモデル、普及モデルをラインアップしている。今回、取り上げる「HUAWEI P30 lite」は、HUAWEI P30シリーズの普及モデルに位置付けられ、店頭価格は3万円前後という購入しやすい価格が設定されている。5月下旬の発売以降、販路は限られていたものの、売れ行きは順調だったようだが、8月上旬のUQモバイルやワイモバイル、MVNO各社の販売開始を機に、売れ行きに弾みがついたようで、すでに各所の販売ランキングでもトップ争いをくり広げるほどの勢いを見せている。

フルHD+対応約6.15インチTFT液晶ディスプレイを搭載

 まず、外観からチェックしてみよう。HUAWEI Pシリーズは大画面ディスプレイを特徴とするHUAWEI Mateシリーズに比べ、スリムでコンパクトなデザインが採用されてきたが、今回の「HUAWEI P30 lite」も従来の「HUAWEI P20 lite」に比べ、厚みこそ変わらないものの、縦が約3mm、幅が約1.7mm増え、重量も15g増えている。ひと回り大きくなったほどではないものの、少し縦方向に伸びた印象が目を引く。

HUAWEI P30 lite(左)とHUAWEI P20 lite(右)の前面。ブランドネームロゴの有無、インカメラの処理などが異なる
HUAWEI P30 lite(手前)とHUAWEI P20 lite(奥)の背面。カメラ部の大きさ(長さ)などが異なるほか、背面の角のラウンド処理も異なる

 ボディ全体としては従来モデルのデザインを継承しているが、下部がスパッと切り落とされた形状に変更されたり、3Dガラス仕上げの背面が湾曲した形状になったりするなど、少しイメージが変更されている。従来モデルではプリントされていた本体前面のネームロゴがなくなり、背面のみにプリントされる。ちなみに、防水防塵については「HUAWEI P30」や「HUAWEI P30 Pro」が対応しているのに対し、「HUAWEI P30 lite」は非対応のため、水を扱うところでの利用は注意が必要だ。

上部にはピンでトレイを取り出すタイプのSIMカードスロットを備える。ピンを挿すのは外側の穴。間違えで内側の穴に挿さないようにしたい

 本体前面には2312×1080ドット表示が可能なフルHD+対応6.15インチカラー液晶ディスプレイを搭載する。最上位モデルのHUAWEI P30 Proは有機ELを採用しているのに対し、HUAWEI P30 liteとHUAWEI P30はどちらもフルHD+TFTカラー液晶という違いがある。発色などに違いがあり、映像コンテンツ視聴時などには差が出やすいが、実用面での差はそれほど大きくない。

下部にはUSB Type-C外部接続端子、3.5mmイヤホン端子を備える

 ディスプレイの上部には水滴型ノッチ(切り欠き)があり、インカメラが内蔵される。従来モデルの凹型ノッチに比べると、すっきりとしたデザインに仕上がった印象だ。ちなみに、水滴型ノッチは設定を変更することにより、ノッチの左右の部分を非表示に切り替え、画面最上部の表示を自然なストレートな表示に設定することも可能だ。

ディスプレイ上部の水滴型ノッチにインカメラを内蔵する

 ボタン類のレイアウトは基本的に他のファーウェイ製端末と同じで、右側面に音量キーと電源ボタンを備え、背面に指紋認証センサー、下部にUSB Type-C外部接続端子と3.5mmイヤホンマイク端子を備える。指紋センサーは指紋認証による画面ロック解除などに利用するが、インカメラを利用した顔認証にも対応する。顔認証はよく似た人での解除ができる可能性もあるので、セキュアに利用したいときは指紋認証のみを利用するのが確実だ。ちなみに、パッケージにはクリアタイプのカバーが同梱されている。

右側面にはシーソー式の音量キー、電源ボタンが並ぶ。自然な位置で操作しやすい

 チップセットはKirin 710を採用し、メモリーは4GB RAMと64GB ROMという構成で、最大512GBのmicroSDメモリーカードも装着することができる。ちなみに、auから販売される「HUAWEI P30 lite Premium HWV33」は、ROMを128GBまで拡張しており、より多くのアプリやデータを保存しておくことができる。より大容量を求めるなら、「HUAWEI P30 lite Premium HWV33」が候補になるが、最近はmicroSDメモリーカードも低価格化が進み、名前の知られたブランドでも128GBで2000~3000円程度、256GBで5000円弱、512GBで1万円弱程度で購入できるので、そちらを利用するのも手だ。

左側面は何もボタン類がない。カメラの突起もそれほど大きくないが、できれば、カバーを装着して利用したい

 バッテリーは3340mAhの大容量バッテリーを内蔵しており、パッケージに同梱されるACアダプタによる急速充電にも対応する。ユーザーによって、利用スタイルはさまざまだが、比較的、利用時間が長いユーザーのニーズにも十分、応えられるだけの連続稼働時間を実現している。

パッケージにはACアダプタ、USBケーブル、イヤホンのほかに、クリアタイプのカバーも同梱される

 ネットワークについてはFDD-LTE、TDD-LTE、W-CDMA、GSMのネットワークに対応する。対応バンドはファーウェイの製品情報ページなどを参照していただきたいが、実際に各社のSIMカードを挿してみたところ、モバイルデータ通信はNTTドコモ及びNTTドコモ系MVNO、au系MVNO(UQモバイル)、ソフトバンク(ワイモバイル)及びソフトバンク系MVNOのいずれでも利用できた。au系MVNOについてはau自身が「HUAWEI P30 lite Premium」を販売していることもあり、au VoLTEによる音声通話も確認できた。ワイモバイルもVoLTEでの動作が確認できており、幅広い環境でVoLTEが利用することが可能だ。

NTTドコモのネットワークを利用したMVNOなどのAPN一覧
auのネットワークを利用したMVNOなどのAPN一覧
ソフトバンクのネットワークを利用したMVNOなどのAPN一覧

 SIMカードはnanoSIMカードを採用し、DSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)に対応する。2枚目のSIMカードはmicroSDメモリーカードとの排他利用になる。オープン市場向けに販売されるSIMフリー版、UQモバイルが販売する端末、MVNO各社が販売する端末は、いずれもDSDV対応で、SIMロックがかけられていないが、ワイモバイルが販売するモデルはSIMカードトレイが同じであるものの、2枚目のトレイの位置にnanoSIMカードを装着しても認識しない仕様となっている。

デュアルSIMのメニュー。デュアル4Gで利用可能。SIMカード横の名前はユーザーが自分で入力する

 ちなみに、auが販売する「HUAWEI P30 lite Premium」はシングルSIMで、microSDメモリーカードを装着して、利用できる。事業者によって、仕様が異なるが、これはUQモバイルがKDDIからネットワークを借り受けている『MVNO』という立場であるのに対し、ワイモバイルはソフトバンク自身が提供するサブブランド(MVNOではない)という位置付けとなっているためだ。

SIMカードトレイはデュアルSIM対応。2枚目のnanoSIMカードとmicroSDメモリーカードは排他利用

 Wi-Fiは普及価格帯のモデルでありながら、2.4/5GHz帯の両対応で、IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応の無線LANアクセスポイントなどに接続できる。ちなみに、パソコンと同じWi-Fiネットワーク(無線LANアクセスポイント)に接続されている状態では、パソコンとファイル共有ができる「HUAWEI Share 3.0」にも対応する。HUAWEI Shareはファーウェイ製端末同士のファイルのやり取りにも利用できる。

意外に充実しているのがイヤホンを利用するときのオーディオ機能。ヘッドセットタイプを選べるほか、効果も好みに合わせて設定可能

 スピーカーは本体下部に内蔵されているのみだが、有線によるイヤホン接続ではサウンドの効果を変更できる「HUAWEI Histen」も搭載される。

Android 9 Pieを搭載

 プラットフォームについては、最新のAndroid 9 Pieが搭載されており、ファーウェイ独自のユーザーインターフェイスも「EMUI 9」が採用される。5月下旬のSIMフリー版出荷後、アップデートが数回、公開されており、現在はEMUIが9.1.0、Androidセキュリティパッチは2019年8月1日版が適用されている。

システムナビゲーションは3種類から選んで使うことができる
もっとも標準的な3つのキーによるナビゲーションもキーの配列を変更可能。ナビゲーションキーを非表示に設定することもできる
ナビゲーションキーを表示せず、ジェスチャーによる操作も可能。少し慣れが必要だが、画面を広く利用できる

 前述のように、Androidプラットフォームのサポートを不安視する声があるが、現時点で2019年8月1日版のAndroidセキュリティパッチが適用されたSIMフリースマートフォンは数少なく、ファーウェイとして、Androidプラットフォームに積極的に取り組む姿勢がうかがえる。

標準設定時のホーム画面。時刻や天気予報がわかるウィジェットが標準で設定されている
簡単モード(シンプルモード)を設定したときのホーム画面。アイコンの間隔が広くなり、文字もひと回り大きく表示される
画面表示を細かく設定可能。通信事業者や通信速度が表示できるのも面白い
ノッチは好みに合わせて、隠したり、カスタマイズすることが可能
大きな画面を片手で操作するためのワンハンドUIには画面を一時的に縮小表示するミニ画面表示の機能が用意されている

 ユーザーインターフェイスは他のファーウェイ端末同様で、ホーム画面とアプリ一覧の操作は設定画面の[画面]-[ホーム画面と壁紙]-[ホーム画面のスタイル]で[標準]と[ドロワー]を選ぶことができる。はじめてスマートフォンを持つユーザーをはじめ、文字やアイコンの表示を大きくしたいシニア世代のユーザーのニーズにも応えるため、「簡易モード」(シンプルモード)も用意されており、設定画面の[システム]-[簡易モード]で設定できる。

通知パネルは並べ替えなどのカスタマイズも可能

 ナビゲーションキーのカスタマイズも従来モデルを継承し、設定画面の[システム]-[システムナビゲーション]で[ジェスチャー][3つのキーによるナビゲーション][ナビゲーションメニュー]を選ぶことができ、いずれも設定時にグラフィカルなガイドで操作を試しながら、確認できる。

モーションコントロールでは端末の動きに合わせた機能を設定可能
着信やアラーム鳴動時に端末を伏せると、消音させることが可能
着信やアラーム鳴動時に端末を持ち上げると、音を小さくできる。画面オフの状態から持ち上げると、画面をオンに切り替えることも可能
3本指で下方向にドラッグすると、スクリーンショットを撮ることができる
着信時に端末を耳に近づけると、着信に応答できる機能も用意される

 本体を動かしてのモーションコントロールにも対応し、着信時に伏せて消音、持ち上げて画面オン、耳に近づけて着信に応答や発信、3本指でスクリーンショットなどの機能が用意されている。

AI対応トリプルカメラを搭載

 ファーウェイ製端末で、多くのユーザーがもっとも多く期待を寄せているのがカメラだ。上位モデルについては、ドイツの老舗光学機器メーカー「Leica(ライカ)」と共同で開発した「Leicaカメラ」が高い評価を受けている。今回のHUAWEI P30シリーズでは最上位モデルの「HUAWEI P30 Pro」がLeicaクアッドカメラ、「HUAWEI P30」がLeicaトリプルカメラを搭載するが、「HUAWEI P30 lite」はLeica仕様のカメラではなく、ファーウェイ仕様のAI対応トリプルカメラが搭載される。

上位モデルと同じようにデザインされたトリプルカメラを搭載

 背面には上位モデルと同じように、左側に寄せた形でカメラモジュールが搭載されている。上部側から順に、200万画素のイメージセンサーとF2.4のレンズを組み合わせた被写界深度カメラ、800万画素のイメージセンサーにF2.4のレンズを組み褪せた画角120度の超広角カメラ、2400万画素のイメージセンサーにF1.8のレンズを組み合わせた広角カメラが搭載される。インカメラは2400万画素のイメージセンサーにF2.0のレンズを組み合わせたものが搭載される。リアカメラがオートフォーカスに対応しているのに対し、インカメラは固定フォーカスとなっている。

カメラモードで[その他]を選ぶと、多くの撮影モードを選ぶことができる
ファーウェイ製端末で人気のビューティーモードも健在

 カメラは通常の[写真]や[ビデオ]のほか、[夜景][ポートレート]などのモードを左右にフリックして、切り替えることができ、[その他]を選ぶと、細かい設定が可能な[プロ]や背景をぼかす[アパーチャ]、[スロー][コマ抜き][アニメーション写真][文書]など、さまざまな撮影モードを設定できる。[ARレンズ]を選ぶと、インカメラを利用して、顔にさまざまなエフェクトを加えた写真を撮ることもできる。

おなじみの薄暗いバーでの撮影。暗いところでもしっかりと撮影できている

 HUAWEI P30 liteのカメラで注目すべき点は、上位モデルにも採用されているAIによる自動認識だろう。アウトカメラは犬や猫、パンダ、月、花、雪、滝などの22種類、インカメラは花、月、雪などの8種類を認識し、それぞれに最適な設定で写真を撮ることができる。しかも面倒な設定が必要なく、カメラを起動し、[写真]を選んでいる状態で、被写体にカメラを向ければ、数秒で被写体を認識し、カメラの設定が切り替わる。ただ、被写体によっては意図しないものに認識されてしまうことがあるので、その場合はファインダーの上段に表示されている[AI]ボタンをタップすれば、AIカメラをオフにできる。

背景をぼかしながら、人物を撮影モデル:るびぃ(ボンボンファミンプロダクション)
インカメラで自分撮り。標準設定のままでは背景をあまりぼかさずに撮影する

 上位モデルに搭載されるLeicaカメラには及ばないかもしれないが、基本的な画像処理のノウハウなどは継承しているようで、暗いところでの撮影も非常にクリアで、夜景なども美しく撮影できている。

超広角カメラを使い、ニューヨークタイムズスクエアで撮影
夜のライトアップされたプールを撮影。背後の建物も含め、明るく撮影できている
ライトアップされた建物を撮影。非常に美しく撮影できており、夜景の撮影が楽しくなる印象

 超広角カメラはカメラの性質上、周囲が少し歪んだように写るが、ワイドに撮影できるのは魅力的で、旅先で写真を撮るときなどには非常に有用なカメラと言えそうだ。

普及価格帯を超えるポテンシャルを持つおすすめの一台

 今年のモバイル市場は国内外ともに、製品そのものではなく、政治的な要素に振り回されることが増えている。端末で言えば、今回取り上げた「HUAWEI P30 lite」が顕著な例で、SIMフリー版の発売日から約2カ月以上を経過して、ようやく各携帯電話会社やMVNO各社から発売されることになった。

 元々、昨年の「HUAWEI P20 lite」がベストセラーを記録するほどのモデルであり、今年の「HUAWEI P30 lite」にも各方面からの多くの期待が寄せられていた中での一部販売見合わせだったが、製品そのものは本稿でも説明したように、昨年のモデルにも増して、非常に完成度が高く、3万円台という普及価格帯のスマートフォンとは思えないほどの仕上がりとなっている。

 もちろん、予算に余裕があれば、上位モデルを狙うのも手だが、「HUAWEI P30 lite」は価格と性能のバランスをいい意味で裏切るほどの出来であり、SIMフリースマートフォンの一台目としてもおすすめできるモデルとなっている。ぜひ、実機を手に取り、そのポテンシャルの高さを実感していただきたい。

法林 岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話・スマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるゼロからはじめるiPhone XS/XS Max/XR超入門」、「できるゼロからはじめるiPad超入門 Apple Pencil&新iPad/Pro/mini 4対応」、「できるゼロからはじめるAndroidスマートフォン超入門 改訂3版」、「できるポケット docomo HUAWEI P20 Pro基本&活用ワザ 完全ガイド」、「できるゼロからはじめるAndroidタブレット超入門」、「できるWindows 10 改訂4版」(インプレス)など、著書も多数。ホームページはこちらImpress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。