スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

一足先にBOSCHのe-bike用新型ディスプレイを試す

VektronのIntuviaをPurionへ換装!

 もうアレですね、「Vektron」「Intuvia」「Purion」といった単語が並んじゃうと、普通は意味不明ですね。すみません。e-bikeこと電動アシストスポーツ自転車の話です。

 具体的には、Ternの「Vektron S10」(レビュー記事)というe-bikeに装着されている「Intuvia(イントゥービア)」というディスプレイを、近々日本でも発売される「Purion(ピュリオン)」というディスプレイに交換してみたヨ! てな話。

Ternの「Vektron S10」(公式ページ)。ドライブユニットとしてBOSCH(ボッシュ)の「Active Line Plus」(公式ページ)を採用した、ミニベロタイプの折り畳み式e-bikeです。見かけによらず速い! 登坂能力もバッチリ! 折り畳み式なのに高い剛性感がある。サイコーなe-bikeです。メーカー税別価格は29万8000円。
左がIntuviaディスプレイ。現在日本で発売中のBOSCH Active Line Plus採用e-bikeに搭載されているディスプレイです。右が近々日本でも発売されるPurionディスプレイ。Intuviaよりだいぶ小さく、操作ボタン一体型です。

 BOSCHのe-bike用のドライブユニットは世界的に有名ですが、そのうちMTB向けの「Performance Line CX(パフォーマンス ライン シーエックス)」がフルモデルチェンジして世界同時発売され、日本でも2020年に発売が予定されています。また、同時期にPurionも日本国内でも発売されるとのこと。

 そのPurion、小型で良さそう。現行のIntuviaは操作ボタン部とディスプレイ部が個別になっていますが、Purionは一体化されていて、省スペースでスッキリしています。

左が現行のIntuvia。ディスプレイと操作ボタンが個別になっています。右がPurion。ディスプレイと操作ボタン部が一体化しているうえ、全体的にコンパクトになっています。
両ディスプレイを並べた様子。

 ちょっとイイなぁ、Purion。小さいし一体型だし、ハンドル周辺にスペースが確保できるので、アクセサリー類の取り付け自由度が高まるし。

 ん〜Purion、試してみたいな〜。とか思っていたらe-bike部メンバーが極秘ルートで調達してくれたっていうか、BOSCHの人から借りてきてくれました。試してイイよ、と。

 えっでもPurionってPerformance Line CXドライブユニット用じゃないの? と思ったら、Performance Line CXにもActive Line Plusにも装着可能だそう。筆者の愛車Vektron S10にも取り付け可能なのね! じゃあVektronのIntuviaをPurionに換装してみましょう♪

実際に換装してみる

 IntuviaからPurionへの換装は、ドライブユニット部のプラグの抜き差しだけで行えるそうです。また、BOSCHのドライブユニット内にオドメーター(Odometer;積算走行距離計)のデータがあるので、ディスプレイを換装しても走行距離がリセットされることはないそうです(時計は再設定する必要アリ)。
 で、どこにつなぐのか? と考えていたら、BOSCHの人が極秘データを手渡してくれたっていうか、販売店用のマニュアルの一部を見せてくれました。Active Line Plusドライブユニットの配線図です。

Active Line Plusの電気的接続図。②のコネクターがディスプレイ用であることがわかりました。
こちらはお借りしたPurion。ケーブルの端にコネクターが装着されているので、ドライブユニットのコネクターに挿すだけで使えるようです。

 なーんだ簡単そう! Purionさえ入手できれば、自分でディスプレイの換装はできちゃいそうですね。

 ただし、こういうパーツ交換を行うと、e-bike完成車が取得した型式認定外となってしまいます。型式認定が外れるとどうなるか? 完成車メーカーの保証を受けられなくなる可能性があります。厳密に言えば、ハンドルやサドルなどのパーツ交換を行っても型式認定から外れるわけですが、実際このあたりはわりとグレーゾーンで、「サドルを交換してあるからメーカー保証外です」となるかどうかは、状況によると思います。

 なお、型式認定が外れることについては、法律違反ではありません。ただし、アシストユニットの出力を変えたり、ホイールサイズやタイヤ周長を変えたりすると、電動アシスト自転車として法律違反になりますので注意してください。もちろん、法律違反になると同時に型式認定も外れます。

 話が逸れましたが、さっそくディスプレイの換装を。手間はかかるかな?

まずActive Line Plusドライブユニットの左側のカバーを外します。上側の黒いカバーだけ外せば、コネクター類にアクセスできます。
外したカバー。2本のネジを緩めて外します。ネジはトルクスネジ。
緑色や黄色を含む4本のケーブルがあるコネクターが、ディスプレイ用です。このコネクターを差し替えるだけ。
Vektronのハンドル部。プロムナードハンドルに替えてあります。ビフォー・アフターの写真で、左がIntuviaディスプレイ、右がPurionディスプレイ。

 Purionにしたら、予想以上のスッキリ感です。ハンドル上に新たなアクセサリーを装着できる余裕が増えました。

 ディスプレイの換装ですが、上の写真だとササッと換装しているふうに見えます。でも実際は、ドライブユニット上部のフレームにある穴からドライブユニットへとディスプレイ用ケーブルを通すのがちょっと厄介。単にケーブルを押し込んだだけでは通らず、最終的には細い針金を使ってケーブルを引っ張るようにして通しました。

 ちなみに、Purionディスプレイは完成車販売店向けのサービスパーツとして11月頃から取り扱いが始まるそうです。IntuviaからPurionへの換装を行いたい場合、完成車販売店に相談してみるのが近道ですね。なお、現在のところPurionの販売価格は未定ですが、ヨーロッパなどでは1万2000円相当(工賃別)で売られていますので、日本でもそのくらいの値段になると思われます。

Purionディスプレイの使用感は?

 さて、IntuviaからPurionへの換装が済んだので、Purionを使ってサイクリングしてみました。Purionをひと通り使ったので、その使用感について見ていきましょう。

取り付け終えたPurion。ハンドル左側グリップ付近で、様々な情報を確認できつつ、アシストモードの変更などを行えます。
ディスプレイ左側に2つのボタンがあり、上部には電源ボタンがあります。
ディスプレイ右側下にはmicroUSBポートがありますが、これはメンテナンス用。USB給電機能はありません。
ディスプレイ手前側にはWalk Assistボタン。急坂でe-bikeを押して上がる時などに時速6kmまでアシストしてくれる「WALKモード」を使うためのボタンですが、法律上、日本国内では機能しません。右は各ボタン機能をまとめたもの。「+」と「−」はアシストモード切り替えボタンですが、長押しするとライトのオンオフや表示の切り替え、走行距離(Trip)のリセットを行えます。
TRIP(走行距離)表示とTOTAL(オドメーター)表示。
RANGE(航続可能距離)表示とアシストモード表示。アシストモード表示はモード切替時に一定時間表示されるだけです。

 Purionディスプレイの使用感を述べますと、コンパクトかつシンプルで操作性も悪くなく、ハンドル周辺がスッキリすることも含めて好印象ではあります。ただ、従来のIntuviaディスプレイのほうが操作性も視認性も情報表示の細かさも勝っています。

 例えばPurionは長押し操作が多めで、表示を切り替えるのに一手間かかる感じがありますが、Intuviaはクイックかつスムーズに表示を切り替えられます。距離表示などは、Intuviaでは10〜100m単位まで表示されますが、Purionはkm単位。

 また、そもそもIntuviaのほうが表示できる情報が豊富です。Intuviaで表示でできる情報は、走行距離/時計/最高速度/平均速度/走行時間/航続距離/オドメーターですが、PurionではTRIP(走行距離)/TOTAL(オドメーター)TRIP(走行距離)。また、Intuviaではアシストモードが常に表示されますが、Purionではアシストモード切り替え時に一定時間表示されるだけです。ご参考までに、Intuviaでの表示をひととおり見てみましょう。

Intuviaは、ディスプレイ部で電源オンオフ/リセット/表示切り替え/ライトオンオフを行えて、操作ボタン部でアシストモードの切り替えと表示切り替えを行えます。また、RESET以外は長押し操作を使いません。走行距離は10〜100m単位で表示されます。
時計表示と最高速度表示。時計表示はナニゲに便利です。
平均速度と走行時間。アシストモードは右上に常に表示されます。
航続可能距離とオドメーター。

 視認性がよく、表示項目も多く、ボタン操作もしやすいIntuvia。快適に使えますが、でもハンドル上のスペースを多く取って、なーんか邪魔。一方で、省スペース性に優れたPurion。どちらも一長一短あるわけですね。

 もうひとつ、両ディスプレイともハンドルにネジで固定しますが、Intuviaはディスプレイ部を外すことができます。ディスプレイ部を外すとActive Line Plusの電源を入れられませんので、+αの盗難防止にもなります。Purionは実質上外せず、いつでも電源オンにできますので、駐車時は施錠を徹底するなどより注意深い盗難防止策が必要です。

 こんなふうに、いろいろ異なるPurionディスプレイとIntuviaディスプレイ。どちらを選ぶか迷うところですが、でもこういった部分の選択肢は多いほうが愉快ですよね。

 てな感じで、もうじき日本でも発売されるPurionディスプレイを試用してみたという話でした。ご参考になれば幸いです。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。