ニュース

キーボード付きデュアルディスプレイのAndroidデバイス「Cosmo Communicator」が正式発表

 タッチパネルが携帯電話の操作法として主流になって久しいが、ハードキーボードのデバイスを恋しく思う方はきっと少なくないのではないだろうか。

日本語キーボードモデル

 昨年、Android搭載のキーボードつきデバイス「Gemini(ジェミニ)」を発売したイギリスの小型デバイスメーカーPlanet Computersが、新たなデバイス「Cosmo Commnicator(コスモ コミュニケーター)」を正式に発表した。日本での発売時期と価格については、最速で9月末。価格は10万円前後を見込んでいる。

デュアルディスプレイ搭載のPDA

 同社が昨年発売した「Gemini」は、希少なキーボードつきのAndroidデバイスとして好評を博し、日本でも発売された。今回発売される新モデル「Cosmo Communicator」は、「Gemini」のスペック強化版といったところ。

 ハードスペックとしては、チップセットにMediatekのHelio P70を搭載、6GMのRAMを搭載し、128GBのROMを備えている。NFC、Bluetooth 5.0とGPSに対応する。microSDは512GBまでの認識を確認しているという。また、4220mAhの大容量バッテリーを搭載している。

白いボタンはサブディスプレイのオン/オフ
ディスプレイ側下部にSIMスロットとmicroSDスロットがある
サブディスプレイの待ち受け画面

 標準搭載のOSはAndroidとなるが、「Cosmo Communicator」はSailfish、Debian、KALIの合計で4つのOSに対応する。「ロボット、魚、ペンギンにドラゴンと好きなのを選べる」とは、Planet Computers CEOのJanko Mrsic-Flogel氏の言葉。USBからHDMI接続することで、デスクトップPCのように使うこともできる。

 特徴的なのは、デュアルディスプレイを採用したことだ。「Gemini」では、6インチのメインディスプレイのみだったが、「Cosmo Commnicator」では、6インチディスプレイに加えて、本体背面に約2インチのサブディスプレイを搭載している。これにより、電話に応答する際にデバイスを開いて確認する必要がなくなった。

背面には通話用のスピーカーとトグルスイッチを装備

 サブディスプレイの上下に「スマートスピーカー」と呼ばれるスピーカーを搭載しており、本体の向きを気にしなくても耳を当てた方から相手の声が聞こえてくる。このため、一般的なストレート型スマートフォンのような通話が可能だ。

着信時は下のLEDが緑と赤に光り、応答/拒否ができる。上下のスリットは通話スピーカー
トグルスイッチはサブディスプレイの戻るボタンにも

 サブディスプレイと並んで搭載されるトグルスイッチは指紋センサーと電話の応答/拒否のスイッチを兼ねており、このディスプレイから連絡先を選択して電話をかけることも、Spotifyなどの音楽プレイヤーを操作することも可能だ。

機能呼び出し画面。ここから電話やカメラ、フラッシュライトも起動できる
キーパッド。下のボタンから電話帳と着信履歴も操作できる
音楽プレイヤーを表示した様子

 上からスワイプダウンすることで、通知の確認もできる。24メガピクセルのカメラはこのサブディスプレイをモニターとして使うことで、高画質な自撮りができる。

 このディスプレイはAndroidの機能によるものではなく、独立したシステムという。

 また、両側に搭載したUSB Type-Cポートは向かって左側はMediatekの急速充電技術「Pump Express」に対応している。

キーボードはバックライト付きに

 キックスタンドを内蔵しており、本体を開くと自動的に立ち上がってくる。「Gemini」と異なり、「Cosmo Commnicator」はバックライト付きキーボードを備えている。ショートカットキーの操作で明るさを5段階に調節可能。

バックライトを点灯した様子
ヒンジ部分にキックスタンドが見える

 キーレイアウトは日本語含め24種類用意されるが、日本での代理店となるリンクスインターナショナルによると、日本向けに投入されるモデルは日本語キーボードモデルのみとなる予定という。

2つのSIMトレイとeSIMを搭載

 「Cosmo Communicator」は、microSDと排他利用となる2つのSIMスロットに加えてeSIMを搭載している。対応するFDD LTEバンドは、1、2、3、4、5、7、8、11、18、19、26、28、41、71に対応する。

 Janko氏によると、前モデル「Gemini」の日本市場の需要が予想以上に高かったため、対応バンドは日本向けに特別に合わせたという。デュアル4Gスタンバイが可能だが、SIMを2枚セットしてeSIMも通信可能な状態の場合、eSIMとSIMスロット2は、どちらかを選択して接続することになる。

Janko氏が思う日本で「Gemini」が売れた理由

 Planet Computersの製品は、日本、米国、ドイツで売上の65%を占めているが中でも、日本の売上は一国で25.8%と他の国と比べても非常に高い。

 このことについて、Janko氏は「驚いている。『Gemini』をリリースした当初は、英国が売上でトップになると予測していたが、実際には二番手につけていた」と語る。

Janko Mrsic-Flogel氏

 日本でのシェアが高い理由については、日本特有の文化があるのではないかという。日本では古くから、シャープなどが小型のキーボードデバイスを出したり、ソニーが小型のノートパソコンを出していた。こうしたことが小型のキーボード内蔵デバイスに対する理解を醸成する理由だったのではないかという見方を示した。

 また、諸外国では、「描く」ということに重点を置くことに対して、日本ではタイピングが好まれているということ、小型のものを好む日本の文化がマッチしたのではないかという。

Janko氏は、ポケットに入れられるデバイスはとてもパーソナルなものであり、モバイルパソコンは持ち歩けるものの、ポケットに入れられるようなデバイスほどは気軽さはない。スマートフォンやPDAのような、コンパクトな小型のデバイスはよりライフスタイルに密着した使い方ができるという。

 同時に、キーボードがついているデバイスは、何かを創造したいならとても重要だとJanko氏。キーボード付きのデバイスはコンテンツを消費するだけでなく、生み出せるものだという。

左からJanko Mrsic-Flogel氏、クリス・ヘファー氏、リンクスインターナショナル代表取締役川島義之氏

 Janko氏は「『Cosmo Communicator』で豊かなデジタルライフをおくってほしいと思う。(令和という)新しい時代を迎えるにあたって、新たなデバイス『Cosmo Commnicator』をご紹介できたことは光栄だ」とコメントした。

駐日英国大使館 公使参事官のクリス・ヘファー氏も挨拶