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KDDI東海林氏が語る「au新料金」「アップグレードプログラムDX」導入の背景

 12日、KDDIが、改正電気通信事業法への対応と新型iPhoneに向け、新たな料金プラン5種類と、端末購入支援サービスの「アップグレードプログラムDX」を発表した。10月から導入される。

 プレゼンテーションに登壇したKDDI取締役執行役員専務 コンシューマ事業本部長の東海林崇氏は、会見冒頭、台風15号の被害を受けた地域へ「心からお見舞い申し上げます」と述べ、KDDIとしても停電などの影響で通信障害が起きていることを踏まえて、「全社一丸となって復旧に努める」と説明。そして、12日に発表する内容を踏まえ、事業環境が変化するものの、「お客さまに喜んでいただけるよう頑張っていく」と意気込みを見せる。

 今回の発表は、料金、端末購入支援、ポイントプログラムの改定と幅広い内容となった。新型iPhoneの登場時期でもあり、10月から改正された電気通信事業法が施行されることが影響した格好だ。あわせて発表されたポイントプログラムの改定は、端末と通信回線の「完全分離」が法的に義務化される時代において、ユーザーのエンゲージメントを深めようとするauの戦略でもある。

 一方、前日の11日、総務省の有識者会合では、ソフトバンク「半額サポート+」への異論が噴出。「アップグレードプログラムDX」は「半額サポート+」と同等とあって、12日のKDDI会見では、そうした点についても質問が多く寄せられた。

auのネットワークは6CC CAに

 2024年度までに5Gの基地局4万局の展開を予定するKDDI。東海林氏は「5Gの世界では、繋がり続けるのはもちろん、大量のデータを瞬時にストレスなく伝える必要がある。Webはこれまでテキストが主だったが今後は動画になると東海林氏。KDDIでは、NSA(ノンスタンドアローン、4Gと組み合わせる5Gの方式)から5Gを導入する予定であり、セットになる4Gのネットワーク品質を向上させ「ピカピカにしていく」と説明。

 さらに今回の新型iPhoneでは、6つの周波数を束ねて高速化をはかる「6CC CA」を導入、下り最大の理論値が約1Gbpsに達することを明らかにした。またauひかりホームは、最新規格のWi-Fi 6に対応する。

料金プランの多さはニーズの反映

 新たな料金プラン5種類を発表した今回、報道陣からは、その名称やプラン数が与える複雑な印象や、他社との違いなどについて質問が挙がる。

 東海林氏は「2年前に(定額の)ピタットプランを始めて以来、毎月、ユーザーの通信量は上がってきたが7GBで収まる人が多く、そこがボリュームゾーン。今春の7GBプランを提供して以来、相当な方が加入した」と説明。

 プラン数の多さについては「2年前、分離プランとしてピタットプランとフラットプランの2本だけにした。しかし提供し始めるともっと少ない容量がいいなどいろいろなお声をいただくようになった。ものすごく基本的な考え方として、スマートフォンのエントリー向けには(段階制の)ピタットプランをオススメしている。そうした方がスマートフォンを使っていると通信量が増えてくる。そこで『もっとお得なプランはないの?』と、エントリーから卒業した方や、当社の営業からもそうした声が増えた。そこで25GBなどのプランを用意した」と語る。

 1000円という解除料と2年契約で170円安いという形にしたことについては、「法令に従って作った。2年契約で、解除料を設定するのは他の産業でもあることだと思う。解除料なしのプランも用意した」と選択肢があることを示す。

 料金プランの名称について「わかりにくいのでは」と指摘を受けると、東海林氏は「申し訳ございません」と謝罪しつつ、「N」というアルファベットが付くプランは、法改正に対応したプランであることを判別しやすくするためのものと説明。10月以降、旧来のプランへの加入ができなくなることで、自然とユーザーの使うプランが集約され、整理されるとの見通しを示す。

 また、ポイントプログラムの改定において、auひかりが対象に含まれていないことについてはスマートバリューがあるためとのこと。ポイントプログラムのステージ判定に用いるサービスは半年ごとに見直すとした。

SIMロックを設定している理由、「ガイドラインが変われば対応する」姿勢も

 総務省の有識者会合で100日間のSIMロックがかかっていることが議論になり、今後、見直しが示唆される中で、現時点での見解を問われると、「アップグレードプログラムDXも100日間のSIMロックがかかっている。これは現在のルールに従ったもの。不正防止や端末の詐取を防ぐためで、割賦販売する上で最初の支払いを確認するまでの期間という形。今後、指針の見直しがあれば、その内容にあわせて適切に対応したい」と東海林氏は説明する。

 10月以降、通信回線に紐付かない物販として端末を販売する形になり、KDDIが指定した機種へ買い換えることが条件になっている「アップグレードプログラムDX」。これは先行した「半額サポート+」も同様だが、11日の総務省有識者会合ではそうした点も「結果的に縛りでは?」と問題視する意見が出た。東海林氏は「現時点で(今後指定する)買い換え対象機種は未定だが、できるだけ選択肢が多くなるよう努力したい」とコメント。

楽天対抗策は?

 今回導入する料金が、携帯電話事業へ参入する楽天の動きをどの程度にらんだものだったのか。東海林氏は「正直、意識してなかった」と語っていた。