自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第18回

メッシュWi-Fiを活用しよう(1)

【メッシュWi-Fiって何? 中継機との違いと選び方】

 使いこなし編は、まずWi-Fiの電波状況を良くすることにフォーカスしている。前回までは、Wi-Fi中継機を使って電波の届くエリアの拡張を試してみたが、今回からは流行の“メッシュWi-Fi”を使って、広めの自宅全てを電波圏内に入れ、Wi-Fiの快適度をアップさせてみよう。

今回からは流行のメッシュWi-Fiを導入してエリアを拡張を実践してみよう。3階建てなどやや広い1戸建てや、作りが入り組んだファミリータイプのマンションに向いている

「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧

 ここまでの連載で使っていたWi-Fi中継機(エクステンダー)もメッシュWi-Fiも、メインのWi-Fiルーターを使っているエリアで、ちょっと電波が弱くなる箇所を補完してくれるものだ。この2つの大きな違いは、中継機がWi-Fiルーターのメーカーを問わずに使えるのに対し、メッシュWi-Fiが使えるのは同一メーカーの対応機種のみになることだ。

メッシュWi-Fiはルーターの買い替えが前提設定の簡単さや増設の柔軟さにメリット

 そのため、メッシュWi-Fiを使うには、Wi-Fiルーターもろとも全て買い換えるしかない[*1]。なので、買い替えのタイミングで一気に導入するといいだろう。このようにセットでの使用が前提となることもあり、メッシュWi-Fi製品は、Wi-Fiルーターとサテライト(ノードとも)と呼ばれる子機が、スターターキットとしてセットで販売されているケースが多い。サテライトは、もちろん必要に応じて後から追加もできる。

[*1]……ちょっと変わっているのが、ASUSのルーターだ。同社独自のメッシュWi-Fi機能「AiMesh」対応のルーター(最近発売されたASUS製ルーターはほぼ対応している)であれば、後からでも接続してメッシュWi-Fiを構築できる。エリア拡張まで必要なのか判断に困る場合、徐々に増やしていくというワザが使える。この機能はこちらでも詳しく解説している

 メッシュWi-Fiのもう1つの特徴は、エリアを広げるサテライト増設での柔軟性だ。中継機は多くの台数を接続しても相互に補完するようには動作しない。一方のメッシュWi-Fiでは、ルーターとサテライトなど複数の機器が互いを網目のように接続して[*2]、最適な通信経路を自動的に設定してくれる。さらに、スマホが通信を行う際には、接続先として最適なサテライトが自動的に選ばれる。

[*2]……このメッシュWi-Fiのルーターやサテライトの間の通信経路は“バックホール”と呼ばれる

 いずれにせよ、複数の機器を使うメッシュWi-Fiでも、SSIDは1つだけを設定する。5GHz帯と2.4GHz帯の選択も含め、メッシュWi-Fi機器側が自動で最適な状態になるよう、機器側が判断してくれるわけだ。

 中継機では、SSIDを統一するかどうかや使用バンドなどの設定が、自動で最適化されることはなく、使う側で設定を選び、条件のいい状態にする必要がある。

メッシュWi-Fiは2台セットがオススメ高速だが高価なトライバンド、スマホ数台ならデュアルバンドで十分

 さて、メッシュWi-Fi製品を選ぶときには、まず「2台がセットになった製品を選ぶ」ようにしよう。3~4台のセットは、3階建てを含め通常の1戸建てでは無用だ。そもそも予算も余計に掛かるし、無線の帯域も余計に消費するので混雑してしまう。2台がセットであれば、サテライトとWi-Fiルーターの通信は1チャンネルのみで済む。実際に使いはじめてみて、どうしても2台でカバーできない場合のみ、サテライトを追加で購入すればいいだろう。

 そして、セットで購入すれば、通常は相互接続が設定済みであるケースが多いので、サテライトとWi-Fiルーター間の接続設定をしなくて済む。

 もう1つ、メッシュWi-Fi製品には、デュアルバンド(2.4GHz帯+5GHz帯)機とトライバンド(2.4GHz帯+5GHz帯+5GHz帯)機がある。トライバンドでは、5GHz帯の1つのチャンネルをルーターとサテライト間の通信専用に確保し、その間を高速通信できるようにしている。

 デュアルバンド機は、2.4GHz帯と5GHz帯の両方にWi-Fi子機をつなぐと、ルーターとサテライト間の通信はどちらかの帯域を共有することになる。この“共有する”というのは、断続的に複数デバイスを切り替えながら通信するというコトだ。本来連続するものを細切れに通信する状態となるので、結果的に速度が遅くなる。

 ただし、スマホを数台繋げて、ウェブブラウジングや、YouTubeでHD再生をする程度までなら、速度低下はおそらく体感できないだろう。そうした環境では、デュアルバンドのメッシュWi-Fiでも十分だ。

 一方のトライバンドは、安定して高速通信ができるのがメリットだが、それだけ高価でもある。PCなど多くのWi-Fi子機をつなぐ環境で、もし予算があるのならトライバンドを視野に入れるのもアリだ。

デュアルバンドのエレコム「WMC-DLGST2-W」でメッシュWi-Fiの導入を試してみよう

 今回のメッシュWi-Fiの実践に選んだのは、エレコムの「WMC-DLGST2-W」。Wi-Fiルーターとサテライト各1台ずつ2台セットのパッケージとなる。

実践として選択したエレコムの「WMC-DLGST2-W」
パッと見では区別が付かないが、ポートのある背面を見るとルーター(右)とサテライト(左)の区別が付く

 IEEE 802.11ac、2×2 MU-MIMO、ビームフォーミングに対応しており、独自の「e-Mesh」と呼ぶメッシュWi-Fiを使って効率よくエリアを広げられる。最大通信速度は867Mbps(5GHz帯接続時)または400Mbps(2.4GHz接続時)。

 通信状況を見て、空き周波数帯のどちらかを使ってメッシュWi-Fiを構築してくれる。セットのルーターとサテライト同士は、あらかじめ接続設定がされているので、メッシュWi-Fiだからといっても特別難しく感じることはないハズだ。

 インターネット回線への接続では、国内メーカー製品らしくIPoE IPv6への対応も万全だ。アンテナは外付けではないが、DXアンテナとの共同開発で2.4GHz帯と5GHz帯用がそれぞれ独立したアンテナが本体に内蔵されていて、縦横どちらに本体を設置しても、効率よく電波を送受信してくれる設計になっている。

 デュアルバンド機としては、1万7740円(税別)と比較的リーズナブルなのも、スマホ向けのメッシュWi-Fiとしてチョイスしたポイントだ。トレンドマイクロの技術を採用したセキュリティソリューション「Trend Micro Smart Home Network」が利用できるのも、セキュリティーがおろそかになりやすいスマホ活用にありがたい機能。次回から、こちらでメッシュWi-Fiを実際に試してみよう。

今回の教訓(ポイント)

メッシュWi-Fiを使えば、広いエリアをWi-Fiでカバーするのもすごく簡単
スマホ活用ならリーズナブルなデュアルバンドのメッシュWi-Fiでも十分だ

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。