スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

いいネ! ロジクールのハイエンドマウス「MX Master 3」

けっこーサイコーですよコレ♪

 ロジクールから2019年9月18日に発売されたハイエンドマウス「MX Master 3」(公式ページ)。筆者の場合、確か2004年にロジクール製レーザー式ワイヤレスマウスを使って感動してから、マウスはもっぱらロジクール製を使用。MX Master 3も即予約注文して購入しました。

ロジクールのMX Master 3。7つのボタンと2つのホイールを備えたUSB充電式ワイヤレスマウスで、PCとの接続は付属のUnifyingレシーバーもしくはBluetoothを使用します。センサーとしてロジクールDarkfieldを搭載し、解像度は200dpi~4000dpi(50dpiの増分で設定可能)サイズは高さ51×幅84.3×奥行き124.9mmで質量は141g。対応OSはWindows 7以降(BluetoothはWindows 8以降)、macOS 10.13以降。カラーバリエーションはグラファイト コントラストとミッドグレイの2色。メーカー税別価格は1万3500円。

 筆者はこれまで多数のロジクール製マウスを使ってきました。ご参考までに、筆者が使用・レビューしたロジクール製マウス記事のリンクを以下に提示しておきます。

・2004年10月「Logicool MX-1000」(レビュー記事
・2006年10月「Logicool MX Revolution」(レビュー記事
・2009年10月「Logicool Performance Mouse M950」(レビュー記事
・2013年5月「Logicool G700s Rechargable Wireless Gaming Mouse」(レビュー記事
・2013年10月「Logicool G602 WIRELESS GAMING MOUSE」(レビュー記事
・2015年4月「MX Master(型番:MX2000)」(レビュー記事
・2017年10月「MX MASTER 2S」(レビュー記事
・2018年10月「MX Vertical」(レビュー記事

 こんな感じで乗り換えて使ってきました。最後のMX Verticalは短期間で使用頻度が下がってMX MASTER 2Sばかり使うようになりましたが、ともあれ、都度「マウスの乗り換え」をしてきたカタチ。今回は、2年前に発売されたMX MASTER 2Sから、最新のMX Master 3への乗り換えです。

 毎回、乗り換えの度に使用感の違いを検証しつつレビューを書いたりしていますが、新機種が出る度に乗り換えていますので、乗り換え時の使用感の差というのはあまり大きくなかったりします。しかし、今回のMX MASTER 2S→MX Master 3の乗り換えについては「あらっ、一変した!」と感じました。しかも好印象な方への一変。これまでにないほど、乗り換え時に大きな使用感の差を感じました。

 そんなMX Master 3を約1ヶ月間使ってきました。その印象をまず書いてしまいますと、これまで使ったロジクール製マウスの中で、操作感と機能性のバランスが最も高いという感じ。使用感は上々で、その機能性は生産性を高めてくれました。まあ、ざっくり言ってサイコー! という使用感です。というわけで、以下、MX Master 3のレビューをば。

いきなりフィット! MX Masterシリーズユーザーならすぐ慣れられる!?

 MX Master 3の特徴やスペックについてはロジクールの製品紹介ページをご覧いただくとして、まずは手にした感じから。MX Masterシリーズの前の2機種と比べると、高さが増したり形状が変わったりもしているんですが、筆者の手にはいきなりフィットしました。

左から(古い順に)MX Master、MX MASTER 2S、MX Master 3。MX MasterとMX MASTER 2Sの形状はほぼ同じですが、MX Master 3はけっこう形状が変わりました。
左はMX Masterを手にした様子、右はMX Master 3を手にした様子。MX Master 3は人差し指の付け根部分がやや高く、最初は少々違和感がありましたが、その違和感も使い始めの3日くらいで消滅しました。

 上記のとおり、人差し指の付け根に違和感を感じたものの、この違和感もすぐに消滅。また、後述しますが左側のボタン位置が変更になったので、使用開始当初はその点にも少々違和感はありました。

 驚いたのは、それらの違和感以外は、ほぼ前のMX Masterと同じ感触だったことです。基本的な使用感が同じ。なので、手にしたその時から「既に十分に使い慣れたマウス」という感触でした。

 まあ、MX MasterとMX MASTER 2Sは形状がほぼ同じなので、MX Master→MX MASTER 2Sへの乗り換え時も同様に違和感がありませんでした。しかしけっこう形状が変わったMX Master 3でも違和感ナシってのは意外なオドロキです。同時に「基本的な使用感が一変したりせずに良かった~」という安堵もありました。

 ただし、基本的な使用感が一変しなかった一方で、使いやすさや機能性といった面では前の機種から一変した感じがします。そのことについては後述します。

 話を戻して、前機種から乗り換えての違和感としては、電池残量LEDランプが変わったことや、充電用のUSBポートがmicroUSBからUSB-Cに変わったことがあります。大きな変化として左側面のボタン位置変更がありますが、これは後述します。

 電池残量LEDランプについては、旧機種ではランプ×3のインジケーター式で、電池残量に応じた数のLEDが点灯しました。電池残量がだいたいわかるので、充電のタイミングを知ることができてちょっと便利でした。MX Master 3では、1つのLEDランプだけになり、電池残量が100~10%なら緑点灯で、10%以下だと赤点灯になります。電池残量表示がちょっと大雑把になった感じです。

左写真で、マウス側面にあるサムホイールの右に見えるのが電池残量を示すLED。中央写真は、マウス前方にある充電用USBポートです(充電専用/PCとUSB接続しての有線マウス使用には非対応)。右写真はMX Master 3底面で、電源ボタンの他に3つの接続先変更ボタンもあります。

 MX Master 3はフル充電後最長で70日使えて、電池が切れても1分の充電で3時間使えるようになる急速充電対応なので、まあ実際は電池残量表示面で不都合はないかな、と。USB-Cポートとなりプラグの挿抜がよりスムーズ化して快適です。

しっかりブラッシュアップされたハードウェア

 従来機種との大きな差となったのはホイール類と左サイドのボタン位置です。どちらも、使い始めてすぐに「おっ変わった!」とわかる違い。筆者的には、これらの差を「非常に良いブラッシュアップ点」だと感じました。

 まずMX Masterシリーズの大きな特徴であるSmartShift(スマートシフト)機能のフィーリングが一変しました。これはマウス上部にあるスクロールホイールをゆっくり回すと「コリコリコリ」というラチェット機構の感触とともに画面がゆっくりスクロール(ラチェットモードで動作)し、ホイールを速く転がすように回すとラチェットの感触が消えてホイールが高速回転し画面が超高速スクロール(フリースピンモードで動作)するという機能です。長いページをスクロールさせるなどの時に超便利な機能。

 MX Master 3ではスクロールホイールの内部機構が一新され、独自開発のMagSpeed電磁気スクロールホイールとなりました。従来機種のスクロールホイールよりも性能が上がり、90%高速になり87%正確になり、動作音も非常に静かになったとのこと。

上部にあるスクロールホイールでSmartShift機能を利用できます。専用アプリ「Logicool Options」(公式ダウンロードページ)を使い、SmartShift機能を含めたマウスの詳細設定を行えます。スクロールホイール近くにある四角いモードシフトボタンを使い、スクロールホイールの動作モードを常に抵抗なく高速回転するフリースピンに切り替えることができます。また、SmartShift機能をオフにし、モードシフトボタンによりラチェットモードとフリースピンモードを任意に切り替えることもできます。

 MX Master 3でのSmartShiftは、スクロールホイールがコリコリする感じのラチェットモードでも、抵抗なく回転するフリースピンモードでも、非常にスムーズでありかつ静音性が高い。従来機種だと、ラチェットモードは「ガリガリガリ」という感じの音が出て、普通のホイールよりも騒音が目立ちました。フリースピンモードはまあまあ静かでしたが、そこからラチェットモードへ戻る時に「カチッ」とスイッチのような音がして、これも少々耳障り。

 一方、MX Master 3では、まずラチェットモードが上品。スクロールホイールを回す指先にコリコリというラチェット的な感触が伝わりますが、ラチェットのような音はほぼ出ません。ラチェットモードでもフリースピンモードでも、スクロールホイール回転時の音はほとんどナシ。フリースピンモードからラチェットモードに戻るときの音も小さく「コッ」という音が聞こえるくらいで、うるさい感じではない。

 SmartShiftの機能性・利便性はまあ似たようなものなんですが、その使用感が洗練されたという印象です。格段に洗練され、なんというか優雅さや高級感さえ醸し出す使用感になりました。まあこの感触が好きかどうかはユーザーの好み次第ではありますが。
 あとこのホイール、ステンレス製だそうです。見た目がキレイ。回転もしやすいとのこと。

左はMX Masterのスクロールホイール。右がMX Master 3のスクロールホイールで、ステンレス製です。

 ステンレス製ホイールかそうでないかという違いよりも、筆者的にはホイールの滑り止めとしてラバーのようなパーツが使われなくなった点が嬉しい。あのラバーの滑り止めには、ゴミやホコリが付きやすく、掃除しにくかったんです。それがMX Master 3だとゴミなどが付着しにくく、掃除もしやすくなりました。いつも清潔に使えるピカピカのホイール。かなりイイ気分で使えます♪

 それから、左サイドのボタン配置が大きく見直されました。従来機種のボタン配置は、まあ便利ではあったけれどやや特殊で、使うのに慣れが必要でした。が、MX Master 3のボタン配置は「マトモ化した」という感じで、クセのないボタン位置になりました。

左がMX Masterのボタン配置で、MX MASTER 2Sも同様です。進む・戻るに使われるボタンが重なっていて、スムーズに使うには慣れが必要でした。右はMX Master 3のボタン配置で、至って普通な感じに。サムホイールも大きくなり、自然な感覚で使えるようになりました。

 まあMX Master 3になって「やっとサイドボタンから強いクセが抜けた」って感じなんですけどね。ともあれ従来機種より使いやすくなりました。

ボタン機能のカスタマイズで生産性UP!

 MX Master 3では、より手軽&自由にボタン機能をカスタマイズできるようになりました。ボタン機能カスタマイズは専用アプリ「Logicool Options」で行い、これまでのMX Masterシリーズでも行えました。MX Master 3では新たに特定アプリ用プロファイル(事前に定義されたボタン機能設定集)を利用できるようになりました。

 例えばAdobe Photoshopのプロファイルを適用してPhotoshopを使った場合、スクロールホイールはパン(画像を掴んで上下左右に動かす操作)、サムホイールにはブラシサイズ変更、戻る&進むボタンにはやり直し&元に戻す(Undo&Redo)という動作になります。プロファイルを使うことで、やや複雑なカスタマイズも手軽に行えるというわけです。

特定のアプリに関して、あらかじめボタン機能がカスタマイズされたプロファイルを適用することができます。中央と右はAdobe Photoshopのプロファイルを選んでいる様子。初期設定はスクロールホイールがパン、サムホイールがブラシサイズ変更。これら以外の設定も選択可能で、ユーザー独自のキーストロークを割り当てることもできます。なお「特定のアプリ」は現在のところ、Adobe Photoshop、Adobe Premiere Pro、Apple Final Cut Pro、Google Chrome、Apple Safari、Microsoft Word、Microsoft Excel、Microsoft PowerPoint、Microsoft Edgeの9本。

 筆者の場合、MX Master 3の各ボタンにプロファイル内の好みの機能を割り振っています。主にPhotoshopやSafariで使っていますが、頻繁に使う機能をマウス上のボタンでコントロールできるのは便利。キーボードショートカットの手間をかなり減らせて生産性を高められます。もちろんユーザーがマウスのボタンに特定キーボードショートカットを割り振っても同様の効率化を図れるわけですが、プロファイルの割り振り機能一覧から選ぶだけでカスタマイズできるのはハードルが低くてイイですね。

 それからMX Master 3は「Logicool Flow」(公式ページ)にも対応しています。これは「1つのマウス/キーボードで複数台のパソコンをシームレスに扱える」「複数台のパソコン間でテキストやファイルをシームレスにコピペできる」という機能。

 例えばWindows PCとMacがあるとします。Logicool Flow対応のマウスやキーボードを使えば、これら2台のPCで同じマウス・キーボードを使って作業可能。具体的には、マウスのポインタが2台のPC画面上を自由に行き来できるようになり、アクティブなポインタが表示されている側のPCが作業対象になります。

 また、Logicool FlowではPC間のファイルやテキストのコピー&ペーストも可能。Windows PC側でファイルをコピーし、カーソルをMac側に移動してペーストすれば、Windows→Macへのファイルコピーができるというわけです(もちろん逆も可能)。

Logicool Flowも専用アプリLogicool Optionsからセットアップしていきます。右はアプリに登録したMX Masterシリーズマウス各種ですが、このうち左のMX MasterはLogicool Flow非対応。MX Master選択・使用時はLogicool Flowを設定・利用できません。Logicool Flowは対応製品使用時のみ使える機能です。

 さて、ちょっと順序が逆って感じですが、MX Master 3の基本的な使用感を少々。MX Master 3はカーソル(ポインタ)の追従性も、ボタンの押し心地やホイールを回した感じも、完成の域に入っているという使用感です。ほとんど文句なし。

 でも敢えて文句を言うとすれば、左右ボタンのクリック音がちょっと大きい点。スクロールホイール手前のモードシフトボタンや左サイドの戻る&進むボタンのクリック音はかなり静かで、同社からは左右ボタンの音がMX Master 3よりずっと静かなマウスも発売されています。スクロールホイールがかなりの静音化を果たしたMX Master 3なので、この左右ボタンのクリック音はちょっと残念です。

 あと、最後にひとつ、MX Master 3に対する危惧を。MX Master→MX MASTER 2Sと使い継いできた筆者なんですけど、どちらのマウスも「ラバー質感の表面が加水分解でベタベタしてくる」という症状が出ました。MX Master 3もこれらマウスに似たラバー質感の素材が使われているので、MX Master 3もそのうちベタベタしてくるのかな~、と。

 使用環境や使い方などによってこういう症状が出たり出なかったりするとは思いますが、筆者的には「マウス全体をベタベタ加水分解症状が起きない素材で作って欲しい」というのが本音です。使用感のいいマウスがベタベタしてくると、けっこうサイテーの気分になるものです。……もしMX Master 3が加水分解でベタ付いてきたらメーカー保証で修理など可能かどうか相談してみることにしますけど。

 あ、ちょっと話が逸れますが、ラバー質感素材の加水分解が起きた時は、直射日光に当てると直るかもしれません。詳しくは「スタパ齋藤のコレに凝りました コレ凝り!」の「ちょいと便利な3つの小技」に書きましたが、樹脂素材にはピンキングという変色現象があるそうです。で、上の記事中ではMX MASTER 2Sに起きたピンキングを「日光に長時間当てる」という方法で解消しています。

 で、結果的に、太陽光をMX MASTER 2Sに当てたらピンキングが直り、ツイデにMX MASTER 2Sに生じていた加水分解のベタベタもなくなったんです。加水分解と日光の関係はよくわかりませんが、もしかしたら太陽光でベタベタを直せるのかもしれない。なお、筆者の身近で加水分解しがちな製品についてはコチラに、その対症療法的な対応策についてはコチラに書きました。

 と、かなり脱線しましたが、ガッツリ愛用しているMX Master 3。筆者にとって現時点で最高だと思えるマウスとなりました。

 ただ、キーボードなどと同様に、マウスは直接触れる入力デバイスです。そしてMX Master 3はけっこうお高い。「買ってみたら自分の手には合わなかった!」的な失敗を避けるために、購入前はぜひ実機に触れて使用感を確かめてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。