スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

秋から冬は双眼鏡の季節なのダ!

超絶お気に入りの双眼鏡×6台

 行楽の秋ということで、今回は筆者の独断と偏見でオススメの双眼鏡をご紹介。全部で3種類、合計6台あります。

 あ、ナゼに双眼鏡かと申しますと、まず両目で見るので遠近感・立体感をしっかり味わえるから。他意はありませんが、風景などを立体的にジックリ見るならやはり双眼鏡です。

 また、秋から冬にかけては晴天も多く空気も乾いています。ので、クリアな視界が得られる。双眼鏡を使えば、遠景の細部なども立体的かつクリアな視界で観察して楽しめるというわけです。
 紅葉狩りに双眼鏡なんてサイコーですよ! ただでさえ美しい紅葉ですが、遠くの紅葉群をアップで楽しめますし、頭上の紅葉の葉の一枚一枚を観察することもできます。そこに鳥なんか居たら、いつもは見えない羽の美しいディテールやよく動く可愛い頭などをつぶさに観察できて愉快♪ なのでゼヒ!

 さておき、まずご紹介したい1台目は、ニコンのフラッグシップ双眼鏡「EDG 7x42」(公式ページ)です。EDG(エッジ)シリーズ双眼鏡5台(公式ページ)のうち、倍率的にいちばん扱いやすい1台だと思います。……EDGって書いてエッジって読ませるんですね~イーディージーかと思ってました。

ニコンの「EDG 7x42」。倍率7倍の双眼鏡で、EDガラスを採用していて高画質。5mの深さに10分間浸かっても大丈夫な防水設計だったりもします。メーカー希望小売価格21万2000円(税別)。

 メーカー価格21万2000円! ということで、全然買う気はありませんでした。しかし、ショールームとかカメラ系のショーとかで実機に触れてみると、一目瞭然でわかるシャープでクリアな視界。やっぱ高級双眼鏡は違うわ~! と感動したものでした。

 余談ですが、カメラ系のショーにあったりなかったりする「双眼鏡・望遠鏡展示」は、空いていてオススメ。超高級望遠鏡&双眼鏡を並ぶことなく端から試したりできますのでゼヒ!

 さておき、先日、知人から「ニコンダイレクトストアが2019年秋で閉店で、あり得ない価格のアウトレット品が売られている」という情報を得ました。ニコンダイレクトストア(公式ページ)はニコン直営のアウトレット店で、御殿場、神戸三田、木更津にありました(現在は各店舗とも閉業)。

 てゅーかニコンってアウトレット店とかあったんだ! という好奇心とともに、お買い得品とかあるかな~? と思って早速、閉業間近のニコン木更津アウトレット店に行ってみました。

 そこにあったのがニコン「EDG 7x42」。上の写真のメーカー希望小売価格21万2000円の双眼鏡ですが、まず驚いたのがアウトレット価格が12万円ということ。実勢価格が18万円前後ですからかなり安価。展示品かもしれませんが、実機を見せてもらったらほぼ新品という感じ。

 ちょっと店員さんと話をしたら、何と閉店セールでさらに割引があり、税込88000円となるそう。マジで! あっじゃあ今すぐ直ちに買いますコレください! てな流れで高級双眼鏡を激安購入! ラッキー♪

 購入後即座に使い始めましたが、いや~何を見てもシャープでクリア。色収差もほとんど見えないし、視野の中央も端もヌケがいい。対象をそのまま拡大して視界を満たしてくれる、という感覚。あとやや暗めの状況とかでも、対象の暗部から明部までよく見えて、非常に自然な階調が感じられる。何というか、望遠鏡越しに見ているという感覚が希薄で、対象が大きくなってそこに存在するといった使用感です。

 すっげぇ~イーディージーじゃなくてエッジ! 光学メーカーのフラッグシップ双眼鏡って素晴らしい。双眼鏡に強い興味があるなら、ぜひ一度試用することをオススメします。

 余談ですが、その後、ライカのフラッグシップ方面の双眼鏡を試用する機会がありましたが、それはまた別の意味で素晴らしかった。色乗りがイイというかちょっと彩度が高く見えるというか、独特の眼福感がありました。そーゆーのもいずれ欲しいかも……。

とりあえず買っても後悔しない、オールマイティな双眼鏡×2台

 続いて、リコーのペンタックス「Papilio II 8.5x21」と「Papilio II 6.5x21」の2台(公式ページ)。倍率6.5倍と8.5倍の双眼鏡です。画質的にはソコソコなんですが、オールマイティに使えてコストパフォーマンスも高いという観点からは、もしかしたらツカエル度は最強無双の双眼鏡かもしれません。

ペンタックスのPapilio II双眼鏡。コンパクトで軽めの双眼鏡です。
倍率違いで2種類あり、「Papilio II 8.5x21」が倍率8.5倍、「Papilio II 6.5x21」が倍率6.5倍。普通の双眼鏡として使えるのに加え、上部のシールのとおり、0.5mからピントが合う「マクロ観察」に強い双眼鏡です。実勢価格は「Papilio II 8.5x21」が1万4000円前後、「Papilio II 6.5x21」が1万2000円前後。

 普通のコンパクトな双眼鏡なんですが、上記のとおり「0.5mからピントが合う」というのが大きな特徴であり最大の強み。普通一般の双眼鏡の場合、ピントが合う最短距離は3mとか5mとか。ある程度遠くのものを見るために作られています。

 一方Papilio IIシリーズは、普通の双眼鏡のように遠景を拡大して見られるのに加え、近くのものを観察する使い方もできます。50cmからピントが合うからです。これは接眼レンズ(目の前に位置するレンズ)あたりからの距離だと思いますので、例えば近くにあるカレンダーや時計なんかを双眼鏡で観察できます。8.5倍や6.5倍に拡大して、です。ルーペのように使える感覚。

 そういうコトができるので、例えば草花や虫などの観察に便利。それらに近づかずとも、グッとアップにして対象を観察できます。あるいは美術館で十分近寄れない美術品を鑑賞する場合にも便利。「もうちょっと拡大して観察したい!」というシチュエーションで役立ちまくりの双眼鏡がPapilio IIシリーズです。

 筆者的な使い方としては、人間を警戒しているけどそこそこ近づいてくる動物の観察があります。スズメとかハトとか野猫とかですね。触ろうとすると逃げる、的な。じゃあPapilio IIでドアップで観察してやる! あら~可愛い! みたいな。

 もうひとつ、老眼鏡が必要な人にとっても便利なPapilio IIシリーズ。老眼鏡で近くは見えるが、見える範囲が限られる。近すぎても、ちょっと距離があっても、やっぱり見えにくい。そんな時にPapilio IIシリーズを使うと「ジックリ観察できる!」という快適さが得られたりします。

 そんなPapilio IIシリーズ、近くの対象がどんな感じで見えるのか? そのイメージを写真で見てみましょう。

Papilio IIシリーズで近くの対象が見えるのは、人間の目のように「近くのものを見る時にはレンズが寄り目状態になるから」です。これらはレンズを正面から見た写真ですが、左から、遠くにピントが合った様子、やや遠くにピントが合った様子、接眼レンズから50cmくらいあたりにピントが合った様子です。近い距離にピントが合うほど、2つのレンズが中央に寄って「寄り目状態」になっていることがわかります。
目から1mくらいの距離にある置物を見た様子。写真左は肉眼で見たときのイメージです。もうこれ以上近づけないけど、細部をジックリ観察したい……。そこでPapilio IIシリーズ。中央はPapilio II 6.5x21(倍率6.5倍)で見たイメージで、右はPapilio II 8.5x21(倍率8.5倍)で見たイメージ。対象の細部まで詳細かつ立体的に観察できるので、美術館などの展示をジックリ鑑賞したいときには超便利です♪
立ったまま床の生物を見た様子。生物っていうかカエルのオモチャですが、イメージということでヒトツ。目から生物までは1.5mくらいの距離があります。左がその時の視野のイメージで、中央と右が6.5倍や8.5倍のPapilio IIで観察したイメージです。地面の草花や生物を立ったままジックリ観察可能。ラクな姿勢でルーペ的に対象を観察したり、近づけない対象をやはりルーペ的に観察したりできますので、非常に幅広い用途に使えます。

 上のイメージですが、肉眼/6.5倍/8.5倍だと、実際はもうちょっと見え方に差があるように思います。実際にPapilio IIを使っていると「こんなに拡大できるのか~!」と度々驚かされます。そしてもちろん、普通の双眼鏡と同じように遠くの景色を楽しむのにも適しています。

 あとPapilio II、細かい部分の作りもイイ感じ。実用品としてとても使いやすく作られています。

付属の接眼レンズキャップ。付属ストラップに通して使う、シンプルですが使いやすいキャップです。対物レンズのキャップはありませんが、対物レンズ前方はガラスカバーで覆われていますので実用上問題ないでしょう。
付属ストラップはワンタッチで脱着できるタイプ。ストラップが煩わしい時、ストラップが不要な時などに、パチッとストラップを外せのはとても便利です。
付属ケース。軽量で開閉しやすく、ベルトに通して使うこともできます。

 今回紹介している6台の双眼鏡のうち、最もオススメなのはこれら2台のPapilio IIシリーズです。前述の通り、至近距離の対象を詳細に観察することも遠景をアップで見ることもできつつ、価格レンジが1万円ちょっとと手頃で、細かな部分の使い勝手もいいからです。

 倍率8.5倍と6.5倍の2製品がありますが、望遠鏡を使い慣れていない、たまにしか望遠鏡を使わない、という方には6.5倍がオススメ。倍率が高いほど遠くの対象も近くの対象も大きく観察できるわけですが、倍率が高いほど手ブレが出がちで映像も揺れがち。また、6.5倍くらいあれば、山の稜線を見たり樹の葉を見たり花に止まる蝶を見たりしても、そんなに不満は出ないような気がします。

 ともあれ、「たまに望遠鏡使いたくなるけど、こだわりはそんなにない。使いやすくて便利なのない?」みたいなスタンスなら、Papilio IIシリーズをチェックしてみてください。、Papilio IIシリーズの汎用性があれば、とりあえず「望遠鏡による立体視の楽しさ」のオイシイとこ取りができると思います。

手ブレ補正機構付き双眼鏡はラク!

 最後に、手ブレ補正機構付きの双眼鏡を3台。具体的にはキヤノンの「8×25 IS」(公式ページ)「12×36 IS III」(公式ページ)「18×50 IS AW」(公式ページ)。筆者が使用中のものですが、現在はさらに高性能になったモデルがいくつも発売されています。キヤノンの公式双眼鏡一覧ページはコチラ

倍率8倍のキヤノン「8×25 IS」。上のボタンを押している間だけ光学式手ブレ補正機構が働きます。電池はCR123Aリチウム電池×1本で、電池別の質量は約490g。手ブレ補正の連続動作時間は常温(25℃)で約6時間。わりとコンパクトで気軽に持いて使えます。メーカー希望小売価格は税別5万5000円で、実勢価格は2万8000円前後。
倍率12倍のキヤノン「12×36 IS III」。上のボタンを押している間だけ光学式手ブレ補正機構が働きます。電池は単3形乾電池×2本(ニッケル水素電池にも対応)。電池別の質量は約660g。手ブレ補正の連続動作時間は常温(25℃)で約9時間(アルカリ電池使用時)。やや重め大きめという感じ。メーカー希望小売価格は税別11万3000円で、実勢価格は8万3000円前後。
倍率18倍のキヤノン「18×50 IS AW」。上のボタンを押すと光学式手ブレ補正が効き、約5分間ブレ補正が持続します(ロックスイッチ)。なのでボタンを押しっぱなしにする必要がなく、ちょっとラクに使用可能。電池は単3形乾電池×2本(リチウム電池も使用可能)で、電池別の質量は約1180g。手ブレ補正の連続動作時間は常温(25℃)で約2.5時間(アルカリ電池使用時)/約8時間(リチウム電池使用時)。けっこう重く大きいので、やや気合を入れて携帯する必要があります。なお裏面には三脚ネジ穴もあります。メーカー希望小売価格は税別18万9000円で、実勢価格は14万円前後。

 これら3台は2016年に購入した製品。3年以上使っているわけですが、今もなお「やっぱ手ブレしなくてイイわ~♪」と感じるほど、手ブレ補正機構内蔵の双眼鏡は快適です。

 なお、これら機種のレビューは本連載バックナンバー「凄いぞ手ブレ補正双眼鏡! キヤノン「18×50 IS AW」など3機種をズギャッと購入!」で書いていますので、ぜひご一読を。3年以上前のレビューですが、その使用感など印象は現在もほとんど変わりません。

 手ブレ補正機構内蔵の双眼鏡ですが、単純明快に使用時の手ブレを抑えられるのが大きな実用性です。手ブレ補正機構ナシの双眼鏡は、当然ですが手ブレが起きがちで、視野が揺れがち。それを抑えようと手が疲れがちで肩が凝りがち。快適に安定的な視野を得ようとしたら、三脚など固定具を使うか、あるいは手ブレ補正機構内蔵の双眼鏡か、ということになります。

 でもまあ、じっくり腰を据えて使うのでなければ、手ブレ補正機構内蔵の方が何かと快適&便利。また、手ブレ補正機構があると、従来では手持ちでの使用が現実的でなかった倍率の双眼鏡も手持ちで使えちゃいます。

 例えば上の3台の双眼鏡のうち、手ブレ補正をオフにしても手持ちで快適に使えるのは倍率8倍の「8×25 IS」だけ。ほかの12倍や18倍のものだと……12倍くらいまでなら何とか手持ちでもイケる感じですが、18倍になると「手ブレ補正ナシでは厳しいな」と。対象が見えないわけではなんですが、視野全体がプルプル震えっぱなしになったり。でも手ブレ補正をオンにすると、そのプルプルがフッと消え、18倍でも問題なく手持ち使用が可能になります。

 まあ、手ブレ補正機構付きの双眼鏡はどれも比較的に高価ですし、ちょっと重め大きめだったりもします。ですが、長時間使うなら断然ラク!

 また、最近はラグビーが人気ですし、来年は東京オリンピック。双眼鏡があれば選手たちをよりリアルに見ることができます。キヤノンもそれを見据えてか、キヤノンの手ブレ補正双眼鏡公式ページには「NEW」すなわち新製品もけっこう登場しています。

 ……ぶっちゃけた話、双眼鏡の新製品なんてそうそう出てこないんですけどね。上で出てきた8倍や18倍の双眼鏡なんて2006年発売モデルなんですよ。息が長いと言えばそうですが、買い替え需要があまり起きないガテゴリーなんです。そもそも双眼鏡ユーザーが少ないし、有名メーカーの高性能双眼鏡は一度買ったら一生モノ。双眼鏡ってチョー楽しいのに、光学機器メーカーの双眼鏡部門の人は製品があまり売れなくてカワイソウだよな~とか思う双眼鏡大好き野郎の筆者なのでした。

 余談ですけど、目下心配なのは、双眼鏡不足。来年はオリンピックイヤーで、双眼鏡でガッツリ観戦したいという人が激増すると思います。そうなると現在の双眼鏡在庫なんか一瞬で売り切れじゃないでしょうか? そうなった時、双眼鏡の生産台数がオリンピックイヤーの双眼鏡需要に追いつ……かなそうですね。チケット買ってオリンピック会場に入って「選手案外遠いな……あっそうか~双眼鏡買っとけば良かったんだ!」と気づいてはもう遅いので、今からバッチリしっかり見えるいい双眼鏡を買いましょう! 快適に見るために手ブレ補正付きの買うのもいいですよね~! アナタも今日から双眼鏡ユーザーになってクリアでリッチな立体視の世界を楽しみましょう! って無理やり洗脳しようとしても、双眼鏡ユーザー増加は難しいっスかね? ホント楽しんですよ、双眼鏡。

 ともあれ、以上、筆者が愛用している6台の双眼鏡でした。双眼鏡に興味があるけど手を出していない的な方にとってご参考になれば幸いです!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。