インタビュー

KDDIのキーパーソンが語る、5G時代のXR

 クアルコムのプライベートイベントで、XRハード向けの「Snapdragon XR2」の発表にあわせ、ARやVRの取り組みを語ったKDDIサービス本部長の山田靖久氏と、KDDIプロダクト開発1部副部長の上月勝博氏が日本メディアのグループインタビューに応えた。

山田氏(左)と上月氏(右)

――XRで注目する分野は

上月氏
 海外はエンタープライズ(法人)分野のようです。たとえばドイツは、自動車メーカーが多いためか、そういう用途が示されています。

 一方、KDDIはコンシューマーにこだわってやっていこうと。

――nrealを選んだ理由は?

上月氏
 あらゆるものを試しましたが、コンシューマーを届けられる価格設定で、現実的だと判断したのです。

 ビジネスモデルとしては、周辺機器としての展開が、ビジネスモデルとしては現実的だと考えています。auショップ、オンラインを通じて物販を進めたい。その後、従来以上に、映像ストリーミングなど消費が進むのではないでしょうか。

 6DoF対応であれば、カメラの映像を解析する必要があります。つまりストリームでサーバーにあげる必要がある。データ消費が増えるでしょう。

山田氏
 物販だけでは利用シーンが限られます。サービスとのセットをきちんと考える必要がありますね。

――現在のXRの課題は?

上月氏
 デバイスの使いやすさが伴っていなかった。熱い、重い、疲れると。主に女性からは、視界を覆われる恐怖感や髪型の乱れを指摘されることもありました。VR酔いもありますね。

――このところFacebook、AWSとの提携が続々と発表されました。

上月氏
 Facebookとの提携を発表後、小売分野から問い合わせが増えました。ECもそうなのですが、店頭でのショッピング体験をいかに拡張するか検討されておられるようです。

 AWSでは自社のMEC(モバイルエッジコンピューティング)も検証していますが、5G内でMECが使えるのでVPS(バーチャルポジショニングシステム)を高速に使えるのはMECの特徴になります。今は研究目的で虎ノ門のデジタルゲート(DIGITAL GATE)に置いていますが、栃木県小山市にある当社施設に設置し、物理的な距離が変わってもさほど大きな違いはありません。

――商用化時期のターゲットは?

山田氏
 社内で決まったものはありません。5Gを来春に予定しており、来年度のどこかでやっていきたいですね。

上月氏
 消費者向け製品で考えると、ARグラスはまだ満足できるものはありません。

 ただ、nrealさんと一緒に取り組みを進めていたりすると、ARはVRよりも閉塞感が少ないですね。リラックスできて、その分、コンテンツへ集中できる印象があります。ARグラスでVRコンテンツを見るのも悪くありません。ARグラスの視野角が広がればもっといいですね。

――XR2はどう見たか。

上月氏
 特に消費電力を抑える点は重要です。モバイルでは鍵になる部分。処理が効率的になれば、さまざまな改善に繋がると思います。

山田氏
 自社ブランドでのXRハードの開発は考えていません。これまでと同じようにメーカーとともに進めるでしょう。