本日の一品

USB Type-AとType-Cを両方搭載、最大出力45WでノートPCも充電できるUSB PD充電器

 昨今のUSB充電器のトレンドになっているのが、USB Type-AとType-Cを両方搭載したモデルだ。最近はType-Cに対応したスマートフォンやタブレットも増え、またiPhone 11シリーズでは製品添付のUSBアダプタがType-Cに変更されるなど、かつてと比べるとType-Cのニーズは増している。

USB Type-AとType-Cを各1ポート搭載。なお製品ページには「60W」という見出しが踊っているが、これは合計値で、Type-Cは最大45Wだ

 その一方、世間でなお多数派を占めるmicroB仕様のデバイスを充電するためには、USB Type-Aポートは欠かせない。それゆえ、USB Type-AとType-Cの両方を搭載した充電器が人気を集めているというわけだ。特に旅行や出張など、充電器を1台で済ませたい場合は、この構成は最適と言える。

プラグ直結タイプ。折り畳めるので持ち歩きには最適だ
通電中は正面パネル上部のLEDが青く点灯する

 こうしたモデルの中で人気が高く、身近で見かける機会も多いのが、Ankerの「PowerPort Atom III (Two Ports)」だ。USB Type-AとType-Cの両方を搭載し、かつType-Cは最大出力45WまでのUSB PDに対応する。45Wの出力があればスマートフォンやタブレットだけでなく、多くのノートPCをも充電できる。

iPhone 11 Pro/iPad Pro付属のApple製USB-C充電器(右)との比較。容量が大きく、かつ2ポート搭載するため本製品のほうがかなり大柄だ
もっともApple製USB-C充電器はプラグが折り畳めないので、体積的にはせいぜい1.5倍といったところ

 ボディサイズは最大出力45WのUSB PD充電器としては普通で、発熱が少なく小型化に恩恵のある窒化ガリウム(GaN)を採用していることを考えるとむしろ大柄だが、小型化にばかり注力した他社製品では充電中にすさまじく熱を帯びる製品もあるので、まあ妥当な範囲だろう。筐体もしっかりしており、頼りなげなイメージはまったくない。

 賛否が分かれるとすれば、本製品がサポートするPowerIQ 3.0なる高速充電機能だ。このPowerIQ 3.0はUSB PDとの互換性をうたっているが、完全準拠ではなく、規格上は「5V/3A」でなくてはいけないところ「5V/2.4A」と、USB PDの規格を部分的に逸脱している。つまり本来5V/3Aが最適値のデバイスとつないだ時、わずかに充電速度が遅くなる可能性がある。

 規格通りに設計されたUSB PD充電器は、出力が大きな製品を選んでおけば、下位のUSB PD対応機器でも問題なく使えるが、本製品は上記の仕様により、未知のデバイスとの組み合わせで、挙動が読めないという問題がある。大きな出力を中心に使うには問題なく、逆に高速に充電できるケースもあるはずだが、ただでさえわかりにくいUSB PDにブラックボックスの独自仕様を入れてくるのは、やや疑問符がつく。

USB Type-AとType-Cそれぞれでデバイスを充電できる。前者も最大15W(9V/1.66Aまたは12V/1.25A)という特殊な仕様

 もっとも、パッケージや本体に表記されているアンペア数そのものを偽っている一部メーカーの製品よりはるかにマシだし、また持ち歩きを前提に折りたためるプラグや、明るすぎないLEDなど、細部にわたって気が利いている。USB Type-AとType-Cの両方を搭載した充電器を選ぶ場合は、現時点で候補の最右翼に挙げられる製品なのは間違いない。

製品名発売元実売価格
PowerPort Atom III (Two Ports)Anker4299円