ケータイ用語の基礎知識

第933回:サブ6GHz帯とは

 サブ6GHz帯とは、5G携帯電話の新周波数の中で「FR1」と呼ばれる周波数帯のうち、6GHzに近い部分を指していいます。「Sub-6」とも書かれ、これで「サブロク」「サブシックス」などと呼びます。

 5Gで使われる周波数帯は、大きく分けて、次の2つに分類されています。1つはFR1(Frequency Range 1) 450~6000Mhz、そしてFR2(Frequency Range 2) 24250~52600MHzです。このうち、日本では、5Gには3.7GHz帯/4.5GHz帯が使われます。この部分を指してサブ6GHz帯と呼んでいるのです(FR2の方は、「ミリ波帯」と呼ばれる周波数帯です)。

 サブ6GHz帯は、これまでもLTE・LTE-Advancedや、無線LANなどで使用されるなど、近年非常によく使われている周波数です。そのため、無線特性など技術的な課題は比較的解決済みなものが多く、場合によってはLTE・LTE-Advanced・HSPAなどで使用されてきた技術を流用できるなどのメリットがあります。

 そのため、各社2020年春に本格的に開始予定の5Gサービスは、まずサブ6GHz帯のサービスの方が本格利用が進むだろうとされています。ただし、サブ6GHz帯のデメリットとしては、既にLTEや無線LANでも使われているため、まとまって広い周波数帯域を確保しにくいことが挙げられます。

サブ6・n78が世界共通のバンドに

 5Gの新無線周波数バンドは番号の頭に“n”を付けて「n77」「n260」というように表現します。これはITU-R(国際電気通信連合 無線通信部門)が定めたもので世界共通です。

 日本で使われるサブ6GHzの周波数帯と事業者は以下のような関係になっています。

 2019年4月のサブ6GHz帯の割当時には、全部で6枠(1枠は100MHz幅、3.7GHz帯が5枠で4.5GHz帯が1枠)ドコモ、KDDI、ソフトバンクの主要3キャリアがいずれも2枠、楽天モバイルが1枠を希望しましたが、総務省の審査の結果、NTTドコモとKDDIが2枠、ソフトバンクと楽天が1枠となりました。

日本のキャリアに割り当てられた5G周波数(Sub6)一覧
バンド名周波数使用する事業者
n773.6~3.7GHzNTTドコモ
n773.7~3.8GHzKDDI
n773.8~3.9GHz楽天
n773.9~4.0GHzソフトバンク
n774.0~4.1GHzKDDI
n783.3~3.8GHzN/A
n794.5~4.6GHzNTTドコモ

※日本で使用可能な周波数はn77(n78)=3.6GHz~4.2GHz、n79=4.4GHz~4.9GHz

 n77はn78を含んでいるという関係になっています。また、n77・n78、特にn78は、世界でも非常に多くの国が採用するバンドであり、国際的な機器の協調利用(たとえば国際ローミングサービスなど)はここから始まるだろうと考えられています。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)