本日の一品
意欲の塊！Insta360 ONE R
2020年1月15日 00:00
アクションカムという言葉が人口に膾炙するようになって久しい。超小型で高精細な動画撮影が可能なカメラ、というのが定義だろうが、バラエティ番組で演者が身に着けているのを目にするのも、もはや日常的になったといえる。小型高性能でありながら廉価なことが普及した要因だろう。ドローンにセットしての撮影も、もはや珍しい光景ではない。
そんな中、これまでも画期的なアクションカメラ製品群を発売してきた中国のInsta360から、意欲の塊のようなカメラ「Insta360 ONE R」が発売されることになった。試用の機会を得られたのでレビューしたい。
「Insta360 ONE R」は小型アクションカメラシステムの総称、というのが正しいだろう。製品名ではなくシステムと言うのには訳がある。主要パーツをモジュール化したことで、パーツの入れ替えによって柔軟な運用ができるからだ。土台となるバッテリーベースに、カメラを制御するキューブ状のコア部分と、同じくキューブ状のカメラユニットを接続することで動作する。このカメラユニットを入れ替えることで、カメラ自体の機能を大胆に切り替えられる。
アクションカムなので、横幅は約7cm、奥行き約5cm程度とコンパクト。重さもモジュールを組み立てた状態で120～130gと軽量だ。コア部の背面にはタッチ操作対応の液晶画面がついており、画面は小さいが、撮影設定自体は容易に操作が可能だ。
4K広角モジュールを装着すると、一般的なデジカメやアクションカムのように動作する。35mm換算で約16mmの画角で、4k（4000×3000）の最大解像度で動画・静止画の撮影ができる。開放F値2.8でズームもないが、アクションカムとしては近年のトレンドを押さえたつくりと言える。
さらに、Insta360という社名のいわれにもなっている、同社お得意の360度撮影機能も特徴の一つ。360度モジュールを装着すると、全天球撮影が可能となる。35mm換算で7.2mmの180度近い撮影ユニットを前後に二つ張り合わせた形状で、2つのユニットで撮影したものを合成する形で360度全天球撮影を実現している。静止画はもちろん、動画撮影にも対応している。
今回は試用できなかったが、1インチセンサーユニットを搭載したモジュールも用意されている。ライカ社と共同開発した35mm換算で14.4mmの広角レンズに、1インチの撮像素子を組み合わせて5.3k画質の撮影が可能とのことだ。
実際に撮影してみたが、コアモジュールの背面液晶は小さいながらも操作性に優れ、タッチパネルはスマホのようにスワイプ/タップで自然に操作できる。カメラになれた人ならマニュアルを読まずとも追い込み設定も可能だろうと思うが、カメラ任せでもハイクオリティな出力が得られることが売りだ。いくつか作例を例示しているが、撮って出しながらも質の高い結果となっている。
撮影後の加工は、本体とスマホをWi-Fi接続で読み出して、スマホのアプリで行うという今どきのつくりになっている。露出調整やフィルターなど、細かい加工はここで行って出力、さらに各種SNSへのアップロードまでアプリでワンストップで行える、モダンな設計と言えるだろう。
360度写真は専用の共有サイトにアップすると360度対応でのビューアーで閲覧できる。作例はHDRモード。晴天の逆光、反対側は順光という意地悪な条件だったが、白飛びも少なく自然な仕上がりだ。
センサーやレンズを一体化してモジュール化したことで、従来のレンズ交換型カメラとは違った柔軟性を持ちあわせるに至った。アクションカムをベースとして開発されているので、標準で5m防水を実現しており、気軽に使えるのも素晴らしい。他にも高容量ベースバッテリー、深度撮影用の水中ハウジング、棒自体が見えなくなる自撮り棒などなど、最初から至れり尽くせりのオプションが用意されている。
アプリでも、バレットタイムやスターラプスなど、ワンタッチで多様な表現ができる機能が多数用意されており、短い試用期間ではすべての機能を試すことはできなかったほど要素は盛りだくさんだ。
撮像センサーとレンズを入れ替えるというコンセプトのデジカメ製品はこれまでにも存在したが、短命に終わっている。本製品では初手からライカとの共同開発モジュールを準備するなど、意欲的な態勢で挑んできている。新モジュールやオプションなど、今後の展開がとてもわくわくする「意欲の塊」のような製品群だ。
なお、掲示した作例やスペックは全て試用版によるものであるため、実際の製品とは異なる可能性がある事にご留意いただきたい。