三井住友カードは1月15日、「新たなキャッシュレス決済エクスペリエンス」を発表した。同社のプロパーカード(非提携カード)のデザインを30年ぶりに変更する他、カード発行申し込みから最短5分でカード番号を発行する取り組みや、クレジットカードの子カードとして家族向けプリペイドカードを発行する取り組みなども行う。
三井住友カードのプロパーカードといえば、「パルテノン神殿」をあしらったデザインが特徴的だったが、それが30年ぶりに刷新されることになった。変更期日はカードによって2月3日または3月2日(予定)となる。
新カードは「未来を映し出す光と足元を照らす光」をイメージしたデザインを採用。一般(クラシック)、ゴールド、プラチナでそれぞれ2種類のパターンを用意している。ただし、パターンを選択できるのは一部のカードのみとなる。
カード番号を安易に見られることを防ぐニーズに応えるため、カード番号と有効期限の表記は裏面に回された。Visaブランドの顔写真なしカード(※1)では、カード番号を「Visaクイックリード」で表記し、Webショッピングなどで入力する際の視認性を高めている。なお、「デザインガイドラインの都合」(関係者)で、クリックリードを採用したカードでは署名欄(サインパネル)のサイズも極小化されている。
(※1)不正利用防止の観点から、三井住友カードのプロパーカードでは利用者の「顔写真付きカード」も選択できる
新カードは非接触決済にも対応している。ただし、カードのブランドによって使える規格が以下の通り異なる。
Mastercardブランドのカードに対するNFC決済(Mastercard Contactless)の実装は「現在調整中」(関係者)で、準備ができ次第追加するという(※2)。
(※2)Mastercardブランドのカードを「Apple Pay」に登録すれば、FeliCa決済に対応するiPhoneやApple WatchでNFC決済を利用できる
デザイン変更の対象となるプロパーカードは、名称も変更される。
既に対象カードを持っている場合、デザイン変更日以降、Vpass(カード会員用Webサービス)や請求書などには新カード名が表示される。手持ちのカードは、次回更新時に新デザインとなる。
「更新を待たずに新デザインに切り替えたい!」という人は、Webサイトまたは電話窓口でデザインの変更を申し込める。デザイン変更に伴う再発行は無料で行える。
2月3日にデザイン変更を行うカードについては、1月30日午後5時までデザイン変更の予約を受け付けている。3月2日にデザイン変更を行う予定のカードについても後日、変更予約を受け付ける予定だ。
デザインと名称の変更に関する詳細は、三井住友カードの特設サイトを参照してほしい。
カードデザイン変更を記念して、期間中に「三井住友カード」(旧クラシックカード)を申し込むと、年会費(1250円)を永年無料とするキャンペーンを実施する。
申し込み期間以外の条件は特にないという。
3月以降、日中にWebからクレジットカードを申し込むと、最短5分でカード番号、有効期限とセキュリティコード(※3)が通知されるようになる。
通知されたカード番号はオンライン加盟店で利用できる他、「Apple Pay」「Google Pay」を介してiDを使ったリアル店舗決済にも対応する(※2)。
(※3)手元にカードがあることを確認するための番号
3月以降、クレジットカード会員向けの「三井住友カードアプリ」に大幅な機能追加を実施して「Walletアプリ」化する。
2019年3月にリニューアルしたユーザーインタフェース(UI)は継承しつつ、以下の新機能が実装される。
情報の一括管理機能は、他社のクレジットカード、各種電子マネー、ポイントプログラム、Visaプリペイドカード、銀行口座などの情報を一覧表示できる。口座残高不足アラートは、登録した銀行口座が同社カードの支払い口座になっている場合に、残高が引き落とし額未満である場合に警告してくれる機能だ。
カードの利用制限設定は、「海外利用」「インターネットショッピング」「全てのカード利用」に関する制限をアプリからの簡単な操作で行えるようにしたもの。従来は電話窓口に問い合わせて設定する必要があったが、3月以降はアプリからワンタッチで設定できるようになる。
3月から、子どもへのお小遣い付与や遠隔地に住む家族への仕送り用途に使えるVisaプリペイドカード「かぞくのおさいふ」のサービスを開始する。
従来のVisaプリペイドカードでは、カードごとに残高をチャージする形態を取っている。そのため、個々の利用を把握することが難しい面がある(※4)。一方、クレジットカードの「家族カード」なら個々の利用状況を把握しやすいものの、持てる人に年齢制限がある上、使いすぎてしまうリスクを排除しきれないという課題がある。
(※4)「親が与えたプリペイドカードを渡せば良いのではないか?」という意見もあるが、クレジットカード加盟店で使えるプリペイドカードの多くは、名義人(アカウント登録者や署名者を含む)以外の第三者が残高を利用することを規約で禁止している
そこで、かぞくのおさいふでは家族全員で1つのプリペイド残高を共有し、そこから「個々のおさいふ」(カード単位の残高)にチャージするという形態で利用できるようになっている。
かぞくのおさいふの管理者は、自動または手動で個々のおさいふにチャージすることで送った資金を把握できる。個々のおさいふの利用状況はメールで通知を受けられる他、アプリで明細や残高をリアルタイムに確認することもできるので、使われ方の把握もできる。個々のおさいふ間で残高を融通することも可能だ。
夫婦で家計を共有するケースを想定して、個々のおさいふを作らずに1つのプリペイド残高を複数枚のプリペイドカードで共有する設定もできる。
かぞくのおさいふ用のVisaプリペイドカードは、6歳以上の個人を対象に発行する。Visaのタッチ決済や接触IC決済にも対応する。
カードのデザインを含むサービスの詳細は、後日発表される予定となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.