【CES 2020】

筋トレから座禅まで、CESで見つけた貴方を鍛えるフィットネス系デバイスたち

 フィットネス関連もCESではそこそこ目立っている展示テーマだ。ヘルス&ウェルネスやウェアラブルなどと同様に、会場ではフィットネステーマ専用ゾーンが設けられ、さまざまな製品が展示されている。

 ここではそうしたフィットネスをテーマとした製品の中から、ただのアクティビティトラッカーなどではない、専用デバイスならではの特徴を持ったようなユニークな製品を中心にピックアップして紹介する。

スマホ連動する筋トレデバイス

お姉さんが踏んづけているのがMAXPRO CONNECTED。コードを引っ張る強度は本体左右のダイヤルで調整できる

 「MAXPRO CONNECTED」はスマートフォンと連動する筋トレデバイスだ。筋トレの定番アイテムのひとつであるゴムバンド(トレーニングチューブ)のように使う。床に置いて足で踏みつつ、左右のコードを引っ張り上げるというのが基本の利用方法だが、扉に固定するための器具が付属し、水平方向に負荷をかける使い方にも使える。

 連動するスマートフォンアプリではワークアウト中に回数や時間をカウントしたり、ワークアウト履歴の管理や分析ができる。MAXPRO CONNECTEDは549ドルで、今月末より出荷予定。日本での発売予定はいまのところ未定。

ユーザのレベルに合わせたコーチングをしてくれるスマートヨガマット

YogiFi。表面は柔らかいヨガマットっぽい素材だが、1枚めくるとセンサーシートが顔を出す。上端側に通信モジュールやスピーカーが入っている
YogiFiの上でなかなかの難易度なヨガポーズを決めているが、実はこのとき、無線接続に異常があって実機デモが行なえていない(この手の展示会のあるあるネタ)

 「YogiFi」はスマートフォンと連動するヨガマット。内蔵する圧力センサでユーザーの体勢を認識し、正しいヨガのポーズが取れているかどうかをコーチングする機能がある。専用アプリにはユーザーの熟練度も判定し、それに合わせたトレーニングプログラムを組む機能もある。また、マットにはスピーカーも内蔵されていて、スマホアプリからのガイド音声を再生することもできる。

 すでに発売中のデバイスで、価格は299ドル。プレミアムプログラムには別途月額19ドルの料金がかかる。

ウェアラブルタイプのヨガコーチングデバイス

Yoganotch。体幹部に巻くセンサーだけバンドが長いが、センサーモジュール自体は同じで、主に傾きを検出する
こちらも取材時には実機実演が行われていなかったが、要するに4つのセンサーから身体の姿勢を推測してヨガ的なコーチングを行なうデバイスである

 「Yoganotch」はウェアラブルタイプのヨガ用デバイス。両モモと下腹部、胸部にそれぞれセンサーを装着し、ユーザーの体勢を認識して、アプリがヨガのコーチングをする。こちらのデバイスも発売中で、価格は199ドル。

 前述のYogiFiとやっていることは同じだが、こちらは専用のヨガマットが不要で、価格も安い反面、ウェアラブルデバイスを毎回装着する必要がある。

効率的に筋肉に負荷をかけられる電動トレーニングマシン「Higatrec」

Higatrec。

 日本のスタートアップ、All You Need Isは、同社が開発している電動のウェイトトレーニングジム「Higatrec」を展示している。こちらは個人向けの製品ではなく、ジムなどに設置することを想定した巨大なデバイスだ。

 2本の柱の間に1本のバーがあるという形状で、このバーをウェイトトレーニングのバーベルのように上下に押したり引いたりしてトレーニングを行なう。負荷は内蔵するアクチュエーターが作り出すため、本物のバーベルでは不可能な負荷のかけ方も可能となる。

 展示では、実機で実際に行なわれているベンチプレス系のトレーニングプログラムを試すことができた。このプログラムではまず最初にバーを持ち上げるのだが、このときバーにかかる負荷は徐々に変化していき、どこまで持ち上がるかで最適な負荷を計測する。本番でもバーを上下に動かしていくのだが、上げるときの負荷はそこまで大きくないので高速で引き上げ、下げるときは負荷が増えるので抵抗しつつゆっくりと引き下げるというプログラムになっていた。

履歴データでは細かい力のかかり方もチェックできるので、正しく筋肉を使えているかの判定にも役立てられる

 負荷をトレーニング中に動的に変化させることも可能で、負荷調整の手間が不要なだけでなく、ウェイトでは不可能なトレーニングが可能となる。また、トレーニングに不要な領域にまで動くことがないので、たとえばベンチプレスの最中に手が滑っても怪我をする心配はない。また、データはスマートフォンなどから参照することも可能で、力のかかり方を見ることで正しくトレーニングができているかどうかも確認できる。

 同デバイスは個人向けに販売されるものではなく、主にジム向けに販売される。価格は320万円。すでに都内のジム1カ所にて稼働している。

ランニングフォームを解析するアシックスのランニングシューズ

開発中のランニングシューズ。靴底がかなり湾曲している

 アシックスはトラッキングセンサーを内蔵する開発中のランニングシューズを展示している。こちらのトラッキングセンサーは、カロリーや走行距離を測るのが主目的ではなく、より細かく足運びを計測し、正しいランニングフォームが取れているかどうかを判定することを目的としている。

 アシックスは、アシックス原宿フラッグシップとアシックスストア東京、アシックスストア大阪でランニングフォームを解析するアシックスランニングラボを開設している。同施設ではトレッドミルで走る姿をビデオ撮影し、ランニングフォームを解析している。今回発表されたランニングシューズは、このランニングラボのようなランニングフォーム解析をどこでも使えるようにする製品というような位置づけだ。

 このランニングシューズは「ORPHE」を手がけるスタートアップのno new folk studioと共同開発をしている。

センサモジュールはソールの中に内蔵されている
ランニングラボで使われている画像によるランニングフォーム解析

禅の呼吸を指導してくれる和尚のようなクッション

thewhu。下側の土台にセンサーが仕込まれている

 「thewhu」は座禅をサポートしてくれるスマート座蒲(ざふ、座禅用の座布団)。土台部に高精度な荷重センサーが入っていて、それにより乗っている人の姿勢と呼吸を細かく解析する。座禅のポイントのひとつは呼吸方法にあるとのことで、thewhuは正しい座禅の呼吸ができているかを測定し、アプリ上で診断するようになっている。

 日本のスタートアップによる製品で、曹洞宗僧侶の藤田一照氏や東北大学と共同開発している。CESに合わせてクラウドファンディングプロジェクトが開始され、製品化はそちらに依存する。クラウドファンディングの値段は1万9800円から。

 座禅は欧米では人気があり、故スティーブ・ジョブズが学んだり、大手IT企業が社内福利に取り入れたりしている。そうしたところをターゲットとした製品で、日本の文化をテーマとした日本のスタートアップの製品ながら、製品情報やクラウドファンディングのページはいまのところ英語しか用意されていない。

thewhuを使うときはこんな感じであぐらをかく
解析アプリ。日本っぽさはかなりなくされている