中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2020/1/9~1/16]

後払いサービスの「Paidy」を悪用した新手の詐欺に注意 ほか

eHrach/Shutterstock.com

1. 後払いサービスの「Paidy」を悪用した新手の詐欺に注意

 後払いサービスの「Paidy」を悪用した新手の詐欺が話題となっている(ケータイWatch)。手口の概略はソースとなっている記事を見てもらいたいが、一般メディアでも時間を割いて報道されるほどの事件になった。すでに、各EC事業者は被害拡大を止めるために対応を進めているようだが、今後、模倣犯はもとより、さらに巧妙な手法が現れないとも限らない。フィッシングなどともあわせて、フリマやECのユーザーは引き続き十分に留意をしていく必要がある事案だ。

ニュースソース

  • 後払いサービスの「Paidy」を悪用した詐欺、サービス提供を一部制限へ[ケータイWatch

2. NHKがインターネットでの番組の常時同時配信を開始へ

 NHKが放送中番組のインターネットでの同時配信「NHKプラス」を4月1日より開始する(Impress Watch)。1月14日に総務省が認可を発表した。

 外出先などからのスマートフォンなどによる番組視聴機会が拡大することが期待される一方で、業界としては、放送と通信の関係の再定義や、新たなインフラ投資や著作権処理のコストなどの増大と、それに伴う新たな(広告)収入などの可能性のバランスから同時配信にはあまり積極的ではないともいわれる民放各局、さらにはローカル局との関係性など、いくつもの論点で議論されてきた。

 各局とも、長年の間、多額の費用をかけて制作してきた放送コンテンツのさらなる価値向上、すなわち新たな技術基盤を前提とするビジネスモデルの再構築をする時期を迎えているという点で、デジタルインフラが十分に普及したことによる象徴的なできごとともいえるだろう。

ニュースソース

  • NHK、放送と同時のネット配信は4月開始。総務省が条件付き認可[Impress Watch

3. グーグルがChromeでのCookieの制限とユーザーエージェント文字列の扱いの変更を発表

 ウェブブラウザーでのプライバシー保護を目的とした動きがさらに進む。グーグルがウェブブラウザー「Chrome」でサードパーティによるCookieのサポートを制限することと、ユーザーエージェント文字列の縮小を発表している。これらはウェブ閲覧者にとっての操作性を高めるためや、効率的なインターネット広告を掲出するために利用されてきた仕組みだが、一般ユーザーからはその仕組みが見えにくく、かつ、昨今の技術進歩によって、これらが過度に利用されることでユーザーのプライバシーがないがしろにされていると認識されつつあり、国際的なプライバシー保護意識の高まりなどを受け、このような変更がなされることとなった。

 また、ウェブの発明者であるティム・バーナーズ=リー氏もウェブでのプライバシー問題への懸念についてことあるごとに言及してきている。

 今後、それに代わる仕組みも開発されていくことになると思われるが、ウェブに対する技術的な知識を持たないユーザーにとっても、透明性や納得性の高い実装、すなわちウェブでの利便性を保ちつつも、その上での経済活動を成立させる仕組みを標準化していく時期にある。

ニュースソース

  • Google、サードパーティー製CookieのChromeでのサポートを2年以内に終了へ[ITmedia
  • グーグル、「Chrome」でユーザーエージェント文字列の利用縮小へ--プライバシー保護強化の一環[CNET Japan
  • マイクロソフト、新しい「Edge」を正式提供--「Chromium」ベースで互換性強化[CNET Japan

4. CES 2020:まだまだある将来を見据えた注目ポイント

 すでに、先週のこのコーナーではCES 2020の主要なトピックスについてまとめたが、それ以外にも興味深い出展があった。かつての展示会のように、すぐに市場で手に入るような新製品として発表されたものではないにしても、将来の社会のコンセプトを示すものとしては十分な意味があるものも多かったようだ。

 とりわけ、ソニーが開発した車の詳細(WIRED日本版)、空飛ぶ自動車の話題(WIRED日本版)、ラスベガスで実際に運行されていた自動運転タクシーについてのレポート(Impress Watch)を見ると、これまで断片的に語られてきた未来の交通システムが、近い将来には本当に実現するのだということを実感できる材料だ。家庭においても、パナソニックの「ユーザー行動の自動認識」(家電Watch)は、要素技術の高度化が進むことでさらに現実味を帯びそうなデモである。

ニュースソース

  • "人工人間"「NEON」がCESで話題--デジタル労働力の新たな未来に?[ZDnet Japan
  • 【CES 2020】オムロン、国内未発売の「心電計付き血圧計」、「スマホ連動型ピルケース」を展示[家電Watch
  • 【CES 2020】パナソニック、HomeXをより進化させる「ユーザー行動の自動認識」デモを展示[家電Watch
  • 【CES 2020】モップを自動洗浄でき、吸引・拭き掃除が可能なロボット掃除機「Narwal」[家電Watch
  • CES 2020: IBM、ブロックチェーンでコーヒーの供給を追跡可能に[The Bridge
  • CES 2020: P&Gが披露した、スマートトイレタリー製品7選[The Bridge
  • CES 2020:「空飛ぶタクシー」に自動車メーカーも参入、その技術は着実に進化している[WIRED日本版
  • CES 2020:Bluetoothの新しい音声規格が、ワイヤレスイヤフォンをもっと便利にする[WIRED日本版
  • CES 2020:イヴァンカ・トランプが語った「働き方の未来」は、本当に「労働者のため」のものなのか[WIRED日本版
  • CES 2020:インテルが考えるノートPCの未来は、「AI」と「折り畳み」がキーワードになる[WIRED日本版
  • CES 2020:ソニーがつくった初めての「クルマ」から、自動車分野にかける“決意”が見えてきた[WIRED日本版
  • CES 2020:画面を折り畳めるノートPC「ThinkPad X1 Fold」で、レノボは新たな価値を打ち出せるか[WIRED日本版
  • CES 2020から見えた5Gスマホの最新動向 ミドルレンジ化が想定以上に進みそう[ITmedia
  • CES 2020とビジョンの時代。新製品発表が減ったCESと今年のトレンド[Impress Watch
  • CES 2020に登場のスマートミラーは肌分析やバーチャル試着も! GDPR準拠の「Poseidon」[ガジェット通信
  • CES復帰、アップルの狙い プライバシー保護を強調[朝日新聞デジタル
  • アマゾンの展示から、アメリカ人が理想とする“スマートライフ”が見えた - CES 2020[マイナビニュース
  • パナソニック新4K有機ELテレビの「ハリウッド画質」を体験した - CES 2020[マイナビニュース
  • ラスベガスでLyftの「自動運転タクシー」に乗る。日常となった自動運転[Impress Watch

5. イベントカレンダー:5G国際シンポジウム2020(総務省)

 総務省は、2020年の第5世代移動通信システム(5G)の実現に向けた取組の一環として、これまでに行ってきた5G総合実証試験の成果を発表するため、「5G国際シンポジウム2020」を開催すると発表した(総務省)。日程は2月19日・20日で、場所はTFTホール(東京都江東区有明)だ。詳細は公式ページ(5G国際シンポジウム2020)を参照のこと。

ニュースソース

  • 「5G国際シンポジウム2020」の開催[総務省

中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。