スッキリ分かるWi-Fiルーター(ASUS編)

第19回

LAN内でファイルを共有してみよう(ASUS「RT-AC59U」編)

 本連載では、ASUSのWi-Fiルーター「RT-AC59U」を使った設定を行っている。前回までで、セキュリティを考慮したWi-Fiルーターの基本的な設定が完了し、友人の訪問時に便利なゲストネットワークの使い方も解説した。

 今回は、Wi-FiルーターでUSBメモリーのファイルを共有してみよう。写真や音楽、動画をLAN内で自由に見られるようになる。

 RT-AC59Uの背面には、USBポートが1つ用意されている。ここにUSBメモリーを装着すると、その中に保存したファイルをスマホなどから見られるようにできる。USBポートは2.0なので、安価なもので十分だ。ファイルはあらかじめPCを使って用意しておいても、閲覧できるように設定してスマホから転送してもいい。

RT-AC59Uの背面にあるUSBポートに、共有したいファイルを入れたUSBメモリーを接続する。電源は入れたままでOK

 これは、「Samba共有」というUnix系のOSに用意された技術を使っている。スマホだけでなく、PCのWindowsやmacOSから、同一LAN内でファイルを利用するためにも使われるものだ。そのため、ネットワーク共有フォルダーにアクセスするアプリやツールは、OS標準のものも含め、多数が用意されている。

 設定方法に難しいところは何もない。先にRT-AC59UにUSBメモリーを接続しておき、「ASUS Router」アプリを使って[設定]タブの[USB]から[Samba]を選び、Sambaをオンにしてゲストログインも有効にしておくだけだ。ゲストログインを有効にすると、Wi-Fiを含めLANに接続している誰でもが自由にアクセスできるようになる。家族が自由に読み書きできる場所として活用して欲しい。

「ASUS Router」アプリで[設定]タブの[USB]をタップ。[Samba]をタップして進める。使わないUSBメモリーを外すときは、ここで[USBを取り出し]を行う
[Sambaを有効化]をオンに切り替える。この後共有の警告が出るので、[OK]をタップして進める
[ゲストログインを許可]もオンにする。LAN内の誰もがアクセスできる点には注意したい
このように、両方をオンに設定しておく

 設定が済んだら、スマホからアクセスしてみよう。アクセス方法はOSなどの環境によって微妙に異なるが、ポイントは「SMB」プロトコルを選んでWi-FiルーターのIPアドレスを指定することと、ログインが不要な「匿名(ゲスト、Guestなどと書かれることも)」でアクセスすることだ。

 iPhoneであれば、iOS 13以降で使える標準アプリ「ファイル」を使ってアクセスできる。接続するアドレスは、「smb://192.168.50.1」となる。この「smb://」で、Sambaの共有フォルダーで使われている「SMB(Server Message Block)」という通信プロトコルを指定している。続く「192.168.50.1」はRT-AC59UのIPアドレスの初期値だ。変更しているなら、該当するIPアドレスを入力して欲しい。

 IPアドレスの指定に間違いがなければ、設定でゲストネットワークでの公開を選択しているので、ログイン不要で接続できるはずだ。

 利用しているプレーヤーアプリによっては、ネットワーク上の共有フォルダーにあるファイルの再生に対応している場合もあるし、共有フォルダーへのアップロードが可能なものもある。このあたりは、いろいろと好みで使い比べてみて欲しい。

iOS 13以降では共有フォルダー閲覧に「ファイル」が利用できる。右上の「…」をタップし、[サーバーへ接続]をタップ
[サーバ]に「smb://192.168.50.1」と入力し、[接続]をタップ
ユーザーの種類は[ゲスト]にチェックマークを付け、[次へ]をタップ
USBメモリーがフォルダーとして見える
フォルダーをタップすると、ファイルが閲覧できる
ファイルをタップすると表示される。写真以外に、環境によっては動画や音楽なら再生できることもある
アップロードを試してみよう。「写真」アプリで写真を選択し、左下の共有アイコンをタップ
このような画面になる。少し下にスクロールすると……
表示された[“ファイル”に保存]の項目をタップする
「192.168.50.1」のUSBメモリー内を指定し、[保存]をタップするとアップロードされる

 AndroidとiOS含め、多数のファイラーが公開されている。スマホのメーカーによっては、独自のファイラーが搭載されていることもある。ここでは、Androidでの例として、「Cx File Explorer」を使ってみよう。

「Cx File Explorer」で[ネットワーク]タブを表示する。「+」をタップ
[リモート]タブにある[SMB]をタップする
[ホスト]に「192.168.50.1」を入力。[匿名]にチェックマークを付け[OK]を選ぶ
USBメモリーにアクセスできる。音楽ファイルを再生してみた
ファイルを転送したい場合、Googleフォトなどの再生アプリでファイルを選択してから共有アイコンをタップし、[アプリで共有]で[CX ファイルエクスプローラ]を選ぶ
次に、保存先のフォルダーを選択して[保存]をタップすると、USBメモリーにファイルが転送される
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(協力:ASUS JAPAN株式会社)

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。