ニュース

5Gと8Kが生み出す新たな世界へ、シャープが5G対応デバイスを発表

 シャープは17日、Androidスマートフォン「AQUOS R」シリーズの新型機「AQUOS R5G」と5G対応モバイルルーターを発表した。発売時期は5G商用サービスがスタートする春頃を予定している。

2019年は国内AndroidスマートフォンNo.1メーカーに

 通信事業本部 本部長の中野吉朗氏は2019年、シャープが2019年に日本国内のAndroidスマートフォン市場で販売台数No1のメーカーになったことを紹介。8K+5GとAIoT」で世界を変えるというビジョンで企業活動しているシャープは、5G標準特許数で日本のメーカーとしてはトップとされ、日本における「5Gリーディングカンパニー」としての地位を築いたと言える。

 「通信の最先端である5Gと、映像の最先端である8Kが生み出す新しい世界」を誰もがもっと簡単に作り出せる環境を提供することで、あらゆる体験がクリエイティビティになることを目指していると、中野氏は語る。

中野吉朗氏

 現在、8K映像は主にテレビ局などのプロのカメラマンが撮影し、編集されたものを楽しむのが一般的だ。しかし、シャープでは撮影、編集、共有ができるエコシステムの構築に取り組んでいるという。これによって新しい体験がもっと身近なところで生まれるのではないかと中野氏。コミュニケーションのみならず新しい映像エンターテイメントの発祥やビジネスにおいても、仕事のクオリティが大幅に向上するだろうとした。

 そのさきがけになるのが、発表された「AQUOS R5G」と「5G モバイルルーター」だ。

 さらに同社では、2021年度中にAQUOSシリーズのスマートフォンをすべて5G対応させるという。

日本初の5G対応スマートフォン

 通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏は2017年に始まったAQUOS Rシリーズが累計で250万台以上の出荷実績を挙げたことを紹介し、「究極のレスポンス」と「究極のリアリティ」を追求したモデルであることをアピール。

小林繁氏

 カメラ機能にはこだわりを見せており、他メーカーにさきがけて広角レンズや動画用カメラの搭載や、AIが撮影や編集を手助けしてくれるAIライブ・コンセプトなども熟成させてきており、「5G時代に備えた機能」と小林氏。

 5Gも目前に迫った今、AQUOS R5Gはさらにカメラに磨きがかかった1台だ。大きな進化点の内の1つは「新しい撮影体験」。AQUOS R5Gでは4つのカメラを搭載する「クワッドカメラ」を採用する。

 一番上のカメラは12.2Mのズームカメラ。2つ目は48Mのスーパーワイドカメラ。「クワッドベイヤーセンサー」と呼ばれる隣接する画素を1つのセンサーとして検出し、12Mの高感度カメラとしても動作する機能を備える。標準ワイドはF1.7のデュアルピクセルカメラが搭載される。4つ目のカメラとしては被写体との距離を測るToFカメラが備えられる。

 しかしカメラの数は重要ではない。ユーザーの使い方によって複数のカメラを組み合わせることで最適な画質で最適な写真を撮影できるのだという。これらはポートレート写真などで、背景をボカした写真の撮影などで威力を発揮する。またズームして撮影する場合は12Mの高感度カメラとして利用でき、光学手ブレ補正が備えられる。

 また、ToFカメラは5G時代を見据えているもので、将来的にリリースされるであろうARアプリやゲームなどでの利用を見込む。

 特筆すべき点として、8K動画の撮影が可能になったことが挙げられる。「シャープとして初めて、8K動画の撮影、共有を可能にしたスマートフォン」と小林氏。シャープで開発中の8K対応ノートパソコン「dynabook」ではクラウドにアップロードした8K動画をダウンロード、編集する機能を備える予定という。

 またAQUOS R5Gには、8Kテレビや対応パソコンを持っていなくても8Kを実感できる機能として「フォーカス再生」が備えられる。8Kの映像を再生中にフォーカス再生に切り替えることで、AIが判定したメインの被写体にズームして再生できる。1つの動画で「ワイド再生」と「アップ再生」を楽しめる。

スマホが「ファーストディスプレイ」に

 スマートフォンは、通信制限やモバイルネットワークでは安定してゲームができないという課題が残されていたが、これらは5Gが一気に解決してくれると小林氏。さまざまな映像サービスがスマートフォンから展開されるようになり、スマートフォンが「ファーストディスプレイ」になるのが5G時代だ。

 スマートフォンがテレビやパソコンなどと異なるのはさまざまな環境に持ち運ばれるということ。どんな場所にも適した画質を提供できなくてはならない。また、HDRやSDRなどさまざまなコンテンツにも対応できなくてはならず、スマートフォンはそれらに対応している必要がある。

 AQUOS R5Gは6.5インチのディスプレイを備える。10億色の表現に対応し、「Dolby Vision」やHDR10などさまざまなコンテンツに対応できる。また、バックライトの改良により最高で1000カンデラの明るさを実現。直射日光の下でも太陽光に負けない視認性の高い表示ができる。

 また、周囲の明るさや色合いを最適化し、ディスプレイの色温度を変化させる「スマートカラーマッチング」や環境に応じてバックライトの輝度を制御、白飛びや黒つぶれを抑える「HDRエンハンサー」を搭載する。

 また、進化したスペックに合わせて放熱性能もさらに強化された。「放熱ブロック・シールド」には純銅を用いた新構造を採用。AQUOS R3との比較でSoC温度が20度低下している。なお、AQUOS zeroなどにも用いられている2つの充電ICで充電の熱を低減するパラレル充電も搭載する。

5G対応のモバイルルーターも

 発表会の場では、5G対応のモバイルルーターも発表された。ミリ波とSub-6の両方に対応し、5G受信は最大で約4Gbps、送信では約0.8Gbpsそして4Gの受信速度では約1.6Gbpsの通信速度を実現する。

 5Gモバイルルーターが生み出す価値は、「高速通信での新たな用途の開拓」「高速通信のシェア」という。固定回線は十分な速度はあるものの、外で自由に使うことはできない。これまでのモバイルルーターは通信速度での課題があった。しかし、5Gモバイルルーターであれば、これらの課題を解決し外でも複数人が高速通信を利用できる新しいワークスタイルが生み出せる可能性を秘めている。

 Wi-Fi接続、有線接続、USBの3つの接続方法を選ぶことができる。2.5GBASE-T対応で複数のギガビット環境を共有することができる。Wi-Fiについても最大で1.2GbpsのWi-Fi6に対応。また、これらの接続方法は全て同時に利用できる。

 WPA3に対応し、プライバシーセパレーター、ステルスSSIDなどセキュリティ機能を備えており、管理者が接続端末を一括で管理できるツールも用意される。また、ミリ波アンテナは3つの異なる方向に向けられ、直進性の強い電波でもキャッチできるよう設計されている。