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第948回:アンカーバンドとは

 アンカーバンドとは、5G NSA方式で、5G NRでの無線接続と同時に使われる「4Gでの無線接続」のことです。

 5G NR接続と4G(LTE/eLTE)接続を併用するNSA方式の5G通信では、4Gの無線通信をモビリティーや通信制御を行う「アンカー」として用い、5Gの無線通信を「ユーザーデータ」の送受信と分けて通信を行っています。

なぜアンカーバンドを使うのか

 2020年3月現在、各事業者から発表された5Gの提供方式は、既存のLTE周波数帯域と5G用周波数帯域を同時に利用したNSA方式のネットワーク構成です。

 なぜこのアンカーバンドを使用するNSA方式の5G通信が、SA方式よりに先にサービスインしたのでしょうか?

 それは、現状、5Gの基地局はスモールセル、あるいはスポットセルで構築されておりエリアは、どこででもつかえるような密度で覆われているわけではない、ということが挙げられます。LTEをアンカーとすることで5Gのスムーズな導入を促進できるからと言ってもいいでしょう。

 NSA方式では、端末が5Gエリアに居るときには、通信で使うC-Plane(コントロールプレイン、モビリティーや通信の制御に関する管理データが入っている)を既存のLTE周波数帯域で提供することにより、モビリティや接続性をカバーしつつ、U-Plane(ユーザープレイン、実際にユーザーが利用する送受信データ)はより広帯域が使える5G用の周波数帯域を活用することにより、柔軟で効率のよいサービスを提供できます。

 そして、端末が5Gエリアから外れた場合は、そのままシームレスに4Gの通信につなげてユーザーデータを送受信し続けることが可能になるわけです。

 ユーザーにとっては5Gから4Gのエリアに出て通信切り替えがあったとしても(ピクト表示や通信速度の低下以外は)それほど大きな違和感を感じることなく通信をし続けることができることになるわけです。

5G端末の互換性はnXXだけではわからない

 以上のことから、NSA方式においては手持ちの5G端末が使いたい5Gエリアでつながるかどうかは、5GNRのバンドだけでは分からないということになります。つまり、アンカーバンドであるLTEバンドにも対応していないと使うことができないわけです。

 これを「ENDC」と呼びます。英語の“E-UTRAN New Radio - Dual Connectivity”の略なのですが、ENDCが適合して、初めてその端末が、NSAの5Gの基地局にユーザー機器が接続できる、つまりその事業者の5Gサービスに接続できることになります。

 たとえば、事業者側がアンカーバンドとして機能するLTEをBand41、5G NR側をn78でサービスしている5Gを利用したいとすると、EN-DCの組み合わせとしては「DC_41A_n78A」が利用可能な端末が必要になります。単純にn78に対応しているだけでは使えるかどうかわからないのです。