スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

テレワークのビデオ会議をサクッと品質UP!!! 音質編

リモート会議の“かなめ”はサウンド!!!

 前回の「テレワークのビデオ会議をサクッと品質UP!!! 画質編」では、リモート会議での画質アップ方法をご紹介した。これに引き続き、今回は音質アップ方法について。

 ビデオ会議は音声で話し合いをする。ので、当然ながら音質が大切だ。自分の声がどれだけ明瞭に相手へと伝わるか、相手の声をどれだけしっかり聞き取れるか。このことがヒッジョーに大切である。

 ややもすると、ビデオ会議慣れするにつれ「シッカリと声を張って発言する」というクセがついてきたりする。以前の発言後に「はい? もう一度言ってください」と言われたためだったり、会議中に「音が伝わりにくいことがあるので、はっきり話すように心がけましょうね」というルールができたりして、誰もが「ビデオ会議だと案外声が伝わりにくいものだ」と実感し、意識して大きめの声で発言するようになったのだろう。

 でも、いろいろ問題スよね、“シッカリ声を張っての発言”。在宅勤務で家族が居たりするとウルサがられるし、大きめの声を出す本人だって疲れる。

 そこで、普通の声量で話しても内容がしっかり伝わるように、機材を整える方法をご紹介。自分の声をより明瞭に伝えるためのマイク類と、相手の声をしっかり聞き取るためのイヤホン類。

WebカメラやノートPCのマイクやスピーカーの代わりに、ヘッドセットやイヤホン、単体のマイクなどを使うと、ビデオ会議の音質をグッと底上げすることができる。

 今回はわりと機材頼み。使用中のビデオ会議環境に音質面で不満がある場合、ちょっとお金がかかっちゃいますな。ともあれ、どんな機材を使うと音質アップにつながるのかを見てゆきたいッ!!!

マイクは単体で用意すべき

 たとえば、最近のテレビのニュース番組などで、外部コメンテーターが自宅からリモート出演しているのをよく見かける。そして時々、コメンテーターが何を言っているのかよく聞き取れないことがある。「え〜今なんて言ったの〜?」とついついテレビのボリュームを上げた……と思ったらスタジオのアナウンサーの明瞭な声が大音量で流れてイラッとしたりして。

 要はコメンテーターの声がしっかり伝わってきていないわけですな。その原因の多くはマイクにあると思われる。Webカメラやイヤホンマイクやヘッドセットに内蔵されたマイクの性能が十分でないのであろう。っていうか実際、そういうオマケ的なマイクの性能は大して高くないことが多い。

サンワサプライ「USBマイクロホン MM-MCUSB25」

 こういう問題を解決するには、外付けのマイクを使うのが手っ取り早い。ただ、マイク選びはけっこう難しく、詰まるところ、実際に使ってみなければわからない。

 ビデオ会議用のマイク選びの指針としては「単一指向性(カーディオイドやスーパーカーディオイド)」で「ボーカル収録用」といったあたりがある。でもそれに合わせて適当なマイクを買って使ってみたら「音が小さい〜」「な〜んか無指向性っぽく周囲の雑音も入りがち〜」てなことが(民生品には)アリガチ。さらに言えば、「こういう機能があれば良かったんだけどな」みたいな機能不足もアリガチ。

 そこで、俺的結論として、現在最もテレワークのビデオ会議にマッチすると思われる製品をスギャッとご紹介。サンワサプライの「USBマイクロホン MM-MCUSB25」である。

サンワサプライ「USBマイクロホン MM-MCUSB25」。パソコンとUSB接続して使えるビデオ会議向けの単一指向性コンデンサーマイクだ。PCと接続しっぱなしにしても、マイク側のスイッチで電源のオンオフ(USB接続・解除)ができる。また、マイク側のスイッチでミュート(音声送信オフ)にすることもできる。長さ約23cmほどのフレキシブルアーム(グースネック)により、マイク部を話者の口元に向けやすい。実勢価格のレンジがやや広く2000円〜3000円くらい。※画像はメーカーWebサイトより抜粋

 この記事でオススメのマイクを見つけるにあたり、手軽&便利に使えるマイクを探しまくっていくつか購入した。条件は、USB接続タイプ(接続の手間ナシ)、ミュートスイッチ有り(音声ダダ漏れを防げる)、できれば電源スイッチも有り(USBプラグ挿抜せずに済む)、さらにできれば音量調整対応(十分な音量に調節したい)、とした。しかし全ての条件を満たすマイクは見つからず、条件に最も近かったのが「USBマイクロホン MM-MCUSB25」だった。

 で、価格も高くなく、仕様もイイ感じ(コンデンサーマークで単一指向性)だったので、試しに購入……してみたら!!! コレがヒッジョーに良かった。

 まず声をよく拾う。アームを曲げて指向性マイクで口元を狙うようにセットできつつ、マイク自体の感度も良好。わりと安いマイクなのにこんなに音がよく入る!!! と驚いた。
 また、マイク本体に電源スイッチがあるので、パソコンとUSB接続したままでOKってのも便利。スイッチのオンオフがUSB接続・解除になるわけですな。

 プラスして、ミュートボタンが実用的。Zoomなどのテレビ会議用アプリ使用時は、アプリ側の音声ミュート機能で「発言時のみミュート解除」とするのが基本なので、マイクのミュート機能は不要ではある。が、マウスなどで別の操作を行っている時にマイク側でミュートできるとチョイ便利、席を外す時などにマイク側でミュートしておけばうっかりミスで部屋の音がバーチャル会議室にだだ漏れみたいな心配もなくてチョイ安心、みたいな。

 というわけで、俺的には「USBマイクロホン MM-MCUSB25」がイチオシ。非常にコストパフォーマンスが高いUSBマイクだと思う。

 さらに音質をアップできる機材もある。俺が試したうちで非常に良かったのは、SHURE(シュアー)の「SM58」AKG(アーカーゲー)の「C747」だ。

 どちらもパソコンとの接続時にオーディオインターフェイスとしてBEHRINGER(ベリンガー)「UM2 U-PHORIA」を経由した。

SHURE「SM58」(実勢価格レンジ1万2000円〜1万4000円)
※画像はメーカーWebサイトより抜粋

 SHURE「SM58」はボーカル用の単一指向性ダイナミックマイクで、世界的に有名なド定番マイク。ボーカル用だからビデオ会議用にも向くだろうと思って使ってみたら、ヒッジョーに良い音であった。クリアで明瞭。前出の「USBマイクロホン MM-MCUSB25」の数ランク上の音質という感じ。ただ、それなりに大きめでマイクスタンドも必要で、PCとの接続はオーディオインターフェイス経由が現実的だと思うので、やや大掛かりになっちゃいますな。

AKG「C747」(実勢価格レンジ7万7000円前後)
※画像はメーカーWebサイトより抜粋

 AKG「C747」は……コレはネタっす。プロ用のスタジオマイクで放送局などで多用されている。昔に「スタパ齋藤のスタパバンド」という音声ストリーミングコンテンツを更新していた頃、その音声収録用に(古い型のC747を)所有していた。で、試しにビデオ会議に使ってみたら案の定、抜群の音質であった。でもマイクだけで7万円以上するし、使うにはファンタム電源供給対応のオーディオインターフェイスが必要だし……てな感じ。

BEHRINGER「UM2 U-PHORIA」(実勢価格レンジ6000円〜7000円)。※画像はメーカーWebサイトより抜粋。

 オーディオインターフェイスのBEHRINGER「UM2 U-PHORIA」は俺的にかなりオススメ。価格も高くなく、USBバスパワーで動作しつつファンタム電源供給可能(なので各種コンデンサーマイクを使用可能)で、操作性もシンプル。ビデオ会議やライブ配信のサウンド品質をさらに高めたいという時、まずこういうオーディオインターフェイスがあるとはかどると思う。

 たとえばSHURE「SM58」とBEHRINGER「UM2 U-PHORIA」を組み合わせて使えば、会社のVIPな方のビデオ会議音声品質を「さすがVIP」といったレベルにクオリティアップできると思う。いやお金があればAKG「C747」とかでもいいと思うが。

ヘッドセットやイヤホンマイクより、単体のワイヤレスイヤホンで

 まず、ビデオ会議用として使う“相手の声を聞くためのデバイス”は、強い理由がない限りスピーカーは避けるべきだ。家族に話が聞こえてしまうと、会社にとってのトラブルにつながるかもしれない。「パパがね〜新しいゲーム機の値段は○万円だって言ってたよ〜」と子供さんが学校でリークしたりすると全員不幸ですしネ。また、スピーカーから出た相手の声をマイクが拾って相手に戻る“不快な発言やまびこ的音声現象”が起きたりする可能性もある。なのでヘッドセットやイヤホンの使用が基本となる。

 ヘッドセットやイヤホンマイクは、通話用途を主眼に作られているし、スマートフォン購入時に付属しているイヤホンマイクが手元にあったりすることから、ビデオ会議の定番音声入出力アイテムになっていると思う。のだが、俺の独断と偏見と経験から言うと、音質的にイマイチであることが少なくない。

 具体的には、イヤホン部分はまあまあ問題ないことが多いが、マイク部分が貧弱だったりしがち。こもった音になるとか、高音が強調されがちとか、携帯型ラジオみたいな薄っぺらい音になったりとか、けっこう偏った音質で相手に声が伝わる。

 また、ヘッドセットも同様。ヘッドセットのアーム式マイクなんかは、実用性があって便利だったりはするが、より高音質の単体マイクと比べると音質的には劣るものが多い。あと耳パッドがあるヘッドセットは長時間使っていると耳が痛くなったり、夏場は暑かったり。

俺がそこそこ愛用中のBluetoothヘッドセット、ロジクール「Wireless Headset H800」(実勢価格1万2000円前後)。マイクの上げ下げでミュート・ミュート解除ができたりして便利。ヘッドホン部もマイク部も音質はそこそこ良好。ただ、長時間使うと耳が痛くなったり、髪の毛が潰れたり、夏場は暑かったりする。見栄えもやや物々しいですな

 で、俺的にオススメなのは、ワイヤレスイヤホン。PCなどとBluetooth接続できるイヤホンの、イヤホン機能だけを(PCのサウンド出力として)使う。マイクは前述の単体品を、イヤホンは以下で紹介するようなワイヤレスイヤホンを、という“音声入力と音声出力を別々の機材に割り振る”という使い方だ。

わりと多くの方に向けてイチオシなのが、ソニーの「MDR-EX31BN」(実勢価格レンジ8500円〜9000円)。ノイズキャンセリング機能を搭載しているので、周囲の騒音を抑えつつ相手の声をしっかり聞くことができる。本体部背面はクリップになっているので、衣服に装着して使える
音楽用としてもバッチリ使えるノイズキャンセル対応左右完全分離型のワイヤレスヘッドホンことソニー「WF-1000XM3」(実勢価格レンジ2万3000円〜2万5000円)
こちらもノイズキャンセル対応の左右完全分離型のワイヤレスヘッドホン、Apple「AirPods Pro」(実勢価格レンジ2万8000円〜3万1000円)

 こんな感じのワイヤレスイヤホンが俺的オススメ品。なのだが、正直、ある程度音が良い音楽向けのワイヤレスイヤホンなら、どれでもビデオ会議用としてしっかり通用すると思う。

 音質よりも、まずはワイヤレスである点が重要だ。単純な話、ちょっと席を離れてもビデオ会議の音声を聞き続けられて都合がいい。ケーブルという些細だけど意外と厄介な存在がないことが実用性と快適さに直結する。

 また、ノイズキャンセリング機能があるとなお良い。周囲の騒音がかなり抑えられるので、ビデオ会議の音声をよりクリアに聞くことができる。

 ということで、やはり完全分離型のノイズキャンセリング対応イヤホンがいいのではないだろうか? けっこうお高くなるものの、経済が回るではないか!!! てゅーか前々から欲しかったソニーのアレとかAppleのソレとかを、「より高品質なビデオ会議を実現するために必要なのだ!!! 落ち込んだ経済を少し支えられるし!!!」という理由で正々堂々と購入できるではないか!!! いいモノを買うチャ〜ンス!!! 的な?

 的な? じゃねーよって感じだが、ビデオ会議のサウンドクオリティを上げるための、単体のマイクと単体のワイヤレスイヤホン。追加するとビデオ会議の音声的快適さがグッと高まると思うので、気になる方はぜひ吟味してみてほしい♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。