プラススタイルが5月に発売したSmartmi製の「スマート扇風機2S」。スマートフォンと連携して風量・風向などを調節でき、しかも内蔵バッテリーでケーブルレスで動作するという、なかなか面白そうな製品です。さっそく評価機を借りて体験してみました。

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    プラススタイルが発売した「スマート扇風機2S」の実機を体験した

凛としたデザインが好印象。心地よい風も気に入った

レビューを始める前に、Smartmiというブランドについて簡単に紹介しておきましょう。Smartmiは中国のスマホ・家電大手Xiaomi(シャオミ)の関連ブランドです。シャオミは多数の会社に出資することで、スマホと連動する「エコシステム製品」の品ぞろえを拡充させていますが、Smartmiブランドを擁する北京智米科技社もその1社となっています。Smartmiでは扇風機のほかに、エアコンや空気清浄機といった白物家電を展開しています。

スマート扇風機2Sの価格は税込12,980円。量販店では3,000円台の扇風機も多いなか、1万円以上を支払う価値はあるだろうか? と思う人もいるかもしれません。筆者も実際に試用してみるまで、気になっていました。

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    スタイリッシュなツヤ消しホワイトの仕上げが優美

Smartmiに限らず、シャオミ関連ブランドの家電はシンプルなデザインが特徴です。スマート扇風機2Sの場合、土台からブレードまで全身をツヤ消しのホワイトカラーで揃えています。土台部にボタンは一切なく、羽根の裏側にある電源ボタンと首振りボタンも色分けはなく、ほぼ目立ちません。思い切ったデザインですが、どんな内装でも自然に馴染むスタイリッシュさには大きな魅力があります。

製品は自分で組み立てる必要があります。とはいえ、組み立て方法は一般的な扇風機と変わりません。土台にポールを取り付け、羽根のパーツを順番に取り付けていくだけの作業です。羽根に部品を取り付ける順番を間違えなければ、おおよそ15分もあれば終えられるでしょう。ちなみに、外枠を開けている場合は安全機構が働き、扇風機のブレードは回らないようになっています。

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    簡易的な六角レンチとドライバーが付属し、自分で工具を用意せず組み立てられます

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    羽根部分の作りは扇風機としては一般的な構造。上下方向の首振り角度は手動で調節できます

高さは96cm(固定)と、成人男性の腰ほどあります。一般的な扇風機よりは高めですが、椅子に座ったときに身体に風を当てたり、ベッドで寝ているときに直接風が当たらないようにするのにはちょうど良く感じます。

本体のボタンは羽根の裏側にある「電源」と「首振り」の2つのみ。扇風機の風の強さは電源ボタンで4段階で調節できます。電源ボタンの後ろには4つのLEDを並べたインジケーターがあり、その点灯で風の強さを表示。奥には内蔵のWi-Fi機能の通信状況を示すインジケーターも備えています。

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    フローリングと椅子の生活に最適化されているためか、スマート扇風機2S(左)は一般的な扇風機(右)と比べて高く作られています

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    扇風機の首元に操作ボタンとインジケーターを集約。背が高いのでかがまずに操作できます

スタイリッシュなデザインに負けず劣らず、風の当たり心地も好印象。緻密に制御できるDCモーターを用い、7枚羽根で空気の流れを作ることで、安定した気流を発生させているようです。「自然風モード」と「強風モード」の2種類が選べますが、筆者は自然風モードが特に気に入りました。自然風モードの風は、春のそよ風のように感触が心地よく、デスクワークをしながら長時間当たっていても、快適に過ごせます。

この扇風機で特筆すべきことの1つは、バッテリーを内蔵し、電源ケーブルをつながなくても使えることでしょう。内蔵バッテリーは2,800mAhとスマホのような容量ですが、公称で最大20時間動作します。充電時間は約4時間です。

「配線不要で動作する」というのは、好きな場所に置いて使いたいときに大きなメリットです。たとえば昼間は電源ケーブルを外して書斎に持ち込み、ご飯を食べるときはリビングで回し、就寝時は寝室に移動させるといった使い方が可能。コードの取り回しの煩わしさが一切ないため、快適です。ただし重さは3.5kgとそこそこあり、ドアを隔てた別室への持ち運びは少々手間がかかります。

スマホアプリ連携で真価を発揮、風量・風向を細かく調節

単体でもデザイン性の高い扇風機として優秀ですが、やはりスマート扇風機と名乗るだけに、アプリと連携させたときの機能を中心に評価するべきでしょう。この扇風機はシャオミの共通アプリ「Mi Home」に対応し、家の2.4GHz Wi-Fiを通してスマートフォンから操作できます。対応OSはiOS 9.0以降とAndroid 4.0以降。

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    アプリでスマート扇風機2Sの風量・風向を細かく調節

Mi Homeアプリからは、電源オン/オフだけでなく、風量・風向の細かい制御が可能です。「強風モード」と「自然風モード」でそれぞれ4段階の強度が設定できるほか、スライダーで操作で100段階の細かな制御にも対応。「風の強さは64%じゃないと落ち着かない!」というような細かい要望を持つ人は少ないかと思いますが、あとちょっと風量を調節したい、といった要望にも応えられます。

首振りの角度も、横30度から120度までの4段階で指定できます。特に別室に移動させる使い方に適しており、デスクでは自分の周りだけ、リビングでは全体に風を送るなど、細かな調節が可能です。首振りさせない設定も可能で、ラジコンのようにボタン操作で回転させられます。切タイマーは操作画面上から、最大8時間後まで1分単位で設定できます。操作のレスポンスも良好で、同じWi-Fiにつないでいれば、操作はポチッとしてから1~2秒ほどで反映されます。

アプリから動かせるというだけで「スマート扇風機」を名乗っているわけではありません。Mi Homeのサービスを通して、時間設定をトリガーとした操作(朝起きる時間にオンなど)やシャオミのウェアラブルデバイスなどとの連携が可能です。

さらに、プラススタイルのサポート対象外の使い方となりますが、スマート扇風機2SをGoogleのスマートホームサービスと連携させることもできました。Google Home/Nestシリーズなどのスマートスピーカーに「扇風機を動かして・止めて」と声をかけて操作できるほか、他の機器との組み合わせ次第では自動化も可能です。スマート家電は他の機器と連携させてこそ、真価を発揮するもの。その点でスマート扇風機2Sは、機器連携の柔軟性の高さも魅力と言えるでしょう。

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    プラススタイルのサポート対象外の使い方ですが、Google Home/Nestシリーズと連携できました

洗練されたデザインに快適な送風能力という、扇風機としての基本的な機能はきっちり押さえた上で、バッテリーを搭載して持ち運びでき、スマホやスマート家電と連携する利便性も取り込んだスマート扇風機2S。12,800円という扇風機としてはやや挑戦的な価格ですが、機能性やデザイン性を考え合わせるとむしろ割安に思えるほど、作り込まれた製品に仕上がっています。