本日の一品

トラックパッド未熟者がマウスを一挙3個大人買い

 生まれて初めてマウスと呼ばれるパソコンの便利な周辺機器を見たのは、テレビで見たXEROXのStarワークステーションのマウスだった。実際に初めて触ったマウスは1983年に発売されたNEC PC100のマウスだ。自分で買った最初のマウスは、Macintosh Plusのキットに入っていたワンボタンマウスだった。もちろん、いずれも今のように赤く光る光学式では無く、中に硬い小さなゴムボールの入ったモノだった。

 普段なら2年に1台買うか買わないかのラップトップだが、新型コロナで自粛引き篭もりになってから毎月のように買ってしまった。理由の一つは従来に比べてかなり安くなったから。そしてもう一つの理由は、従来のパソコンメーカーからではなく、スマホやタブレットメーカーから、これまでとは違う面白い発想や機能のラップトップがたくさん発売されたからだ。

最適なのが一つあれば十分なマウスをテストを兼ねて3種類買ってみた

 しかし、もう何十年もラップトップPCと言えば“赤いポッチ”のあるトラックポイント付きのThinkPadしか使ったことの無い筆者には、ただただフラットなトラックパッドではほとんどの細かな作業ができなかった。将来を考えると練習を積んで慣れることも重要だが今更感もあり、かなりレガシーだがトラディショナルなマウスを買って一時しのぎを考えた。

手前から奥に向かって、ThinkPad Bluetoothレーザー・マウス、ThinkPad USBレーザーマウス、ThinkPad エッセンシャル ワイヤレス マウス

 もっと以前にマウスを買ったのは初期のSurface登場の頃なのでもう数年以上は昔だろう。今回、たまたまLenovo社からのメールニュースでマウスの特売を知り、衝動買いをしてしまった。当初は手持ちのラップトップの数だけマウスも買おうとしたが、あいにくThinkPadブランドの特売マウスは今回は3種類しか無かったのでひとまずその3種類を買った。

 そして一番最後に買った超軽量のASUS ExpertBook用には、本体と比べてもおかしくないであろうエレコムの超軽量37gでトランスフォームする小さなBluetoothマウスを買った。使い勝手はグッドだが、赤では無く黒を買っておくべきだった。どっちを買うか悩んだら両方とも買う。色で悩んだら無彩色系を買う、というのが過去の後悔が生み出した鉄則だが、今回も失敗した。

 3種類買ったThinkPadマウスは、それぞれ「ThinkPad エッセンシャル ワイヤレス マウス」(実測重量84g)、「ThinkPad USBレーザーマウス」(実測重量52g:ケーブルを除く)、「ThinkPad Bluetoothレーザー・マウス」(実測重量105g)という商品名が付けられていた。今回、マウスが届いて一番驚いたのは、いずれのパッケージにも山ほど入っていた安全ガイドなどの同梱書類だった。

当初の目的は再ペアリングが面倒で各パソコンに1つのマウスを考えた。マルチペアリングマウスはシンプルデザインが少なく、大袈裟なデザインで嫌だった
全てのマウスのパッケージにはめちゃくちゃたくさんの書類が入っていてビックリ

 さて有線のUSBレーザーマウスを除いた2つのワイヤレスマウスの違いは、昨今ではごく普通のBluetooth無線規格を使うワイヤレスマウスと2.4GHz帯のユニークな無線を使うレシーバー付きのエッセンシャルマウスの違いだ。

 この両マウスの中身がなかなか面白い。いずれも市販の乾電池を使うが、一方は単3電池2個を両脇に抱えるようなバットマンカースタイルの「ThinkPad Bluetoothレーザー・マウス」。もう一方は単三乾電池1個と、ホスト側のラップトップPCやデスクトップPCのUSBポートに挿す小さなUSBコネクターを持つ”レシーバー”(専用受信機)を収納する「ThinkPadエッセンシャルワイヤレスマウス」だ。

2種類のワイアレスマウスはユニークなスタイルでバッテリー装着、交換する。ThinkPadエッセンシャルワイアレスマウス(右)はトップカバーがマグネット1個で固定されている

 前者は底面のスライドスイッチでトップカバーは前方のヒンジ部を支点にポップアップオープンし、後者はたった一つのマグネットでトップカバーが上手く固定されている。その両者の中でも今回、筆者が超気に入ってしまったのは、レシーバーをマウス本体に内蔵した「ThinkPad エッセンシャル ワイヤレス マウス」だった。

今回、一番気に入ってしまったThinkPadエッセンシャルワイアレスマウス。手のひらの中央部に当たるマウスの後部が高く操作性は高い
単三乾電池の左下に収納されている四角いのが専用レシーバー(受信機)だ
レシーバーはミニタイプのUSBメモリーなどとほぼ同サイズだ

 デスクトップパソコンをメインパソコンとして使っていた昔は、いくつかのBluetoothマウスを使っていたが、どうもBluetoothというのは1対1の接続というのは問題なく快適なのだが、今回の筆者のように一つのBluetoothマウスを複数のラップトップPCやデスクトップPCで使おうとすると、ペアリング解除と再ペアリングなどのお作法が毎回必要なことが多い。

最初は操作中のASUS Zenbook DuoのUSBポートに突然レシーバーを挿入したが、入れた瞬間から即マウスが使用可能となった
続いて、ASUS Zenbook Duoから引き抜いたレシーバーを動作中のASUS ChromebookのUSBポートに挿入して見たが即使用可能だった

 もちろんマルチペアリングマウスを使えば、3台のPCでも簡単に切り替えて一つのマウスを使えるモノもあるが、どうしても高額マウスのセグメントに入る商品となり、重厚長大で大袈裟な商品が多く、なかなか筆者が惹かれるようなシンプルな商品が見当たらなかった。

 ThinkPadエッセンシャル ワイヤレス マウスは、パソコンのUSBポートを1個占有してしまうが、ペアリングなどの設定が一切不要で、本体のパワーオンと同時に速攻でマウスが使えるメリットは大きい。立て続けに、筆者が最近手に入れた3台のラップトップとChromebookで動作中にレシーバーを抜いて、別のラップトップに挿入しても全く問題なくすぐに使用出来た。

 悪ノリで筆者の愛用しているキーボード付きのCOSMO CommunicatorとunihertzのTITAN、そしてPalm Phone Goldの3台にトランシーバーをType-C変換アダプターを使って変換してつないでみたところ、いずれのスマートフォンでもThinkPad エッセンシャル ワイヤレスマウスは全く問題無く機能した。メーカー保証は別としても、筆者宅ではThinkPad エッセンシャル ワイヤレス マウスはWindows、Chrome OSとAndroid OSの3つで安定して動作した。

調子に乗って、Type-A→Type-C変換アダプタ経由でCOSMO Communicatorに接続して見た。もちろん全く問題なくマウスが使用出来た
ついでに、横にあったunihertz TITANのType-Cポートに挿してみたが、こっちも全く問題なく自動認識して即使えた
それほど深い意味は無いが、最高の悪ノリで、最後はマウスより小さな筆者愛用中のPalm Phone GoldのType-Cポートにもレシーバーを挿入して見たが、何の問題も無く稼働した

 いつの間にかワイヤレスマウスといえば、ほとんどのラップトップやスマートフォンに標準搭載となったBluetooth無線による接続が当たり前の時代となった。おまけにパソコン側のUSBポートを占有せず、余分なレシーバーも不要なので、市場のメジャー無線マウスのデフォルトはBluetoothというのが常識だろう。

 Bluetooth技術は、マウスやキーボード、スピーカーなどに標準的なインターフェースを提供するという大きな貢献をした技術だ。しかし同時にペアリングという新たな手続きが必要になった。パソコンとマウスというハードウェアの独立性の確保と相互の柔軟接続はパソコン創成期からの大きな目標だったので喜ばしいことだ。

 しかし、まだまだ前述したようなパソコンとマウスの多様かつ衝動的な組み合わせを考えれば、2.4GHz帯のワイヤレスマウスの出番もあるだろう。加えてつながりの見えない無線は信用できないというレガシーなユーザーなら、まだまだ最軽量のUSB有線マウスも貴重な選択肢だ。今更マウスを3種類も買ってみて、テクノロジーの新旧に捕らわれず、目的に応じて、USB有線マウス、2.4GHzワイヤレスマウス、Bluetoothマウスの中から最適のマウスを選ぶことが大事だと気付いた。

画面タッチで操作できるものを敢えてマウスで操作してみた。無駄なようできっと将来何かに使えそうな気がする

製品名発売元実売価格
ThinkPad エッセンシャル ワイヤレス マウスレノボ2750円(税込)
ThinkPad USBレーザーマウスレノボ1540円(税込)
ThinkPad Bluetooth レーザー・マウスレノボ5060円(税込)