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ワイモバイルが「かんたんスマホ2」、減らない迷惑電話に採った新たな対策とは

 ソフトバンクは、ワイモバイルブランドから京セラ製のAndroidスマートフォン「かんたんスマホ2」を8月6日に発売する。7月31日から予約を受け付ける。価格は4万6800円(税込、以下同)。端末購入補助(割引)適用後のオンラインストアでの販売価格は新規・MNPの場合で3万960円。

 「かんたんスマホ2」は、約5.6インチの有機ELディスプレイを搭載するAndroidスマートフォン。2年前に発売された先代モデル「かんたんスマホ」の後継機種で、ディスプレイが大型化したほか、迷惑電話対策が強化されている。

ディスプレイ

 先代モデルでは約5インチ、1280×720ドット、HD液晶ディスプレイだったが、「かんたんスマホ2」では、1420×720ドット、有機ELディスプレイとなった。

 画面サイズは大きくなったものの、ボディの横幅は約71mmで変化はなく、縦方向に長くなった。

 メニュー画面は、利用頻度の高いカメラや、LINEといったアプリ/機能のアイコン9つが並ぶ。画面が大型化し広くなった分、天気情報がより大きく表示されている。

押すだけサポート、引き続き搭載

 特徴のひとつである「押すだけサポート」は、ネットに繋がらないなど困った場面でタップすると、まず自己診断機能が動作し、解決のためのヒントを表示してくれる。

 もし解決しなければ、専用カスタマーセンターへ繋がり、無料でサポートしてもらえる。同社によれば、先代モデルにおける「押すだけサポート」の利用率は9割に達した。その結果、具体的な数は明らかにされていないが、サポートセンターへの問い合わせも減ったという。

迷惑電話対策、警告表示に加えて自動録音も

 振り込め詐欺、悪質なセールスなど社会問題になっている迷惑電話。「かんたんスマホ」では、発売後、迷惑電話対策アプリが追加。2019年2月からはプリセットして提供されてきた。

 後継モデルである「かんたんスマホ2」では、Androidをカスタマイズする形で、迷惑電話対策機能が組み込まれた。これにより、トビラシステムズなどのデータをにマッチする迷惑電話の番号であれば警告表示や自動ブロックする機能を、スムーズに使えるようになった。また初回起動時、セットアップの途中でON/OFFを設定する流れとなり、より多くのユーザーが使える環境にした

 もし、迷惑電話という警告が出ていても電話に応じてしまった場合、通話が始まる前に発信者と着信者双方に「この通話は録音します」と音声ガイダンスを流すようにした。

 また発着信履歴には、迷惑電話の履歴がわかりやすく表示されるようになった。

「初めてのスマホ」としてヒット

 ワイモバイル部門の責任者である寺尾洋幸氏によれば、2年前に発売した「かんたんスマホ」は、想定以上に売れたモデルだという。具体的な販売数は開示されなかったが、それまでのスマートフォン販売数は維持したまま、かんたんスマホの販売が「まるまる加わった」(寺尾氏)という。

寺尾氏

 他社からの乗り換えで手にしたユーザーも寺尾氏によれば「非常に多い」。これはフィーチャーフォンから、初めてのスマートフォンとして購入したユーザーのようで、選ばれた背景には、「60歳以上 通話ずーっと無料キャンペーン」が用意され、わかりやすい料金プランになっていること、あるいは機能面で必要十分なスペックになっていることなどがある。

迷惑電話対策、強化の理由は

 そうした中、今回、寺尾氏が「かんたんスマホ2」の強化店として、熱く語ったのが「迷惑電話対策」の機能だ。先述した通り、アプリではなく機能として組み込まれたほか、自動録音機能が搭載されることになった。

 寺尾氏によれば、いわゆる特殊詐欺の被害額は約300億円(令和元年)。やや減少したが、依然として迷惑電話に起因する被害は続いており、特に70~80代の女性の被害が多い。

 そこで初代「かんたんスマホ」ユーザーの利用動向(2020年5月時点)を見てみると、全体の約7.5%が「迷惑電話」という警告が表示されていても、電話に出てしまうことが判明。

 そのうち6割は通話時間が0秒、つまりすぐ切っており、迷惑電話に応じていないが、残り4割はある程度通話していることがわかった。

 迷惑電話とわかっていても、通話までしてしまうユーザーが存在する、どうすればいいのか――そこで今回は、迷惑電話対策機能を組み込んだ。そして自動的に録音し、その前には音声ガイダンスで通知するようにした。

 音声ガイダンスの効果として、万が一、悪意ある人からの電話だった場合、録音を避けるために通話を切る可能性が高まる。結果、特殊詐欺を防ぐという流れになる。

 「特殊詐欺に使われる電話番号は、いわば生もの」(寺尾氏)で、どんどん使い捨てられる。特殊詐欺の電話にもかかわらず、その番号が、「かんたんスマホ」シリーズの迷惑電話対策で用いるデータベースに含まれていないタイミングもあり得る。ただ、トビラシステムズのデータベースは随時更新されており、自動録音の通知は、データベースに登録されている番号からの通話で発動する。これも、機能として組み込まれた効果のひとつだ。

 離れて暮らす高齢の親のスマートフォンに対して、子供が手を尽くさずとも防犯に繋がる仕組みを全部入れた、と寺尾氏は説明。「かんたんスマホ2」で取り入れられた仕組みは特許出願中とのことだが、「別の仕組みででも同様の機能は競合他社にも取り入れてほしい、なんとか特殊詐欺をなくしたい」と語っていた。