iPhoneの販売遅れは「大きな影響なし」、d払いは「キャンペーンを頻繁にやる」 ドコモ吉澤社長

» 2020年08月03日 19時34分 公開
[田中聡ITmedia]

 NTTドコモが8月3日、2020年度第1四半期の決算説明会を開催した。

ドコモ オンライン開催となった決算説明会

 営業収益は1兆982億円で前年比5.3%減だったが、営業利益は2805億円で前年比0.7%増となり、減収増益となった。端末販売関連収入や国際ローミング収入は減少したものの、金融・決済サービスを中心としたスマートライフ領域が成長したことや、販売費用の減少やコスト効率化を徹底したことで、コロナ禍においても増収となった。

ドコモ 第1四半期の決算概況

 2020年度通期では、営業収益は前年比813億減の4兆5700億円、営業利益は前年比254億円増の8800億円を見込んでいる。

第2四半期以降、d払いの加盟店開拓やキャンペーンを強化する

 2020年度の取り組みについて吉澤和弘社長は、dポイントの魅力向上や5Gの早期展開、金融・決済サービスなど成長分野の強化、3Gマイグレーション強化などを挙げる。

ドコモ 2020年度の主な取り組み

 成長分野の強化については、メルカリ・メルペイとの提携を具体例に挙げる。dポイントとメルカリを連携させたアカウントは200万を突破した他、2020年9月からは、1つのQRコードでd払いとメルペイが利用可能になる予定。

 決済サービス(d払い)については、「第1四半期に加盟店開拓ができなかったこともあるので、コストが掛かっていない」(吉澤氏)ことから、「第2四半期以降は力を入れ、加盟店開拓やキャンペーンは頻繁にやる」と予告した。

ドコモ d払いユーザーは2700万を突破し、取り扱い高や利用可能箇所も増えている

5Gは2020年度で250万契約を目指す

 5Gについては8月1日時点で24万契約に上り、2020年度で250万契約を目指す。ちなみに24万は計画を上回る数字だそうだ。3Gからのマイグレーションや5G契約を加速させるべく、2020年度下期には5Gの普及モデルを投入する。

ドコモ 5Gの契約者とエリア

 5Gエリアについては、2020年度末の目標である、全政令指定都市を含む500都市に向けて順調に進捗(しんちょく)しているとした。5Gサービスも、「ひかりTV for docomo」のマルチストリーミング機能や「新体感ライブCONNECT」、阪神タイガースとの協業、JR高輪ゲートウェイ駅でのコミュニケーション体験などの取り組みを紹介した。

 5Gのソリューションでは、2019年9月から2020年3月まで提供していたプレサービスで挙がったニーズに応えるべく、社会課題の解決に努める。プレサービスで特に利用された技術は映像伝送や仮想空間(XR)であり、分野では自治体・教育・観光、医療、製造・建設が目立ったという。

ドコモ 映像伝送や仮想空間を軸にした5Gソリューションを強化する

 ドコモは、接続端末とクラウド基盤を直結することで、5Gの低遅延と高セキュリティを実現するという「クラウドダイレクト」を提供しており、「医療機関でクラウドダイレクトを使っているという動きが既にある」という。同社は、セキュアな環境と高精細な映像伝送による遠隔教育や遠隔医療、リモート型社会に対応した遠隔業務支援に、今後も力を入れていく。

iPhoneやHuawei端末に対する見方は?

 スマートフォンとタブレットの販売台数は、2019年度第1四半期の344.3万台から214.9万台に減少。その理由については吉澤氏は、新型コロナの影響で来店者が減ったこと、2019年6月に新料金プランを開始する前の4〜5月に端末が「かなり売れた」ことが影響していると説明する。

 新型iPhoneの発売が例年より数週間遅れて10月になりそう。となると、第2四半期の業績に大きな影響を与えそうだが、「2〜3週間というレベルなので、その後の期間で巻き返しで対応できるのではないか。その遅れが大きな影響を与えることにはならない」との見方を示した。

 米国が国防権限法に基づき、対象の中国メーカー製品を扱っている企業との取引を停止する動きについて吉澤氏は、「NTTグループが米政府間とのビジネスを進めていることもあり、米政府機関の契約締結に支障が生じないよう、自社サービスの提供において、権限法が規定する5社の製品は使用しないよう対応を進めている」とコメント。これら5社に含まれるHuaweiとZTEについては「ネットワーク機器や設備は使っていない」(同氏)が、5G端末についても「現時点では、少し難しいのかなと考えている」と話す。なお既存機種については「権限法には抵触しないと考えており、販売を継続する」とした。

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