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KDDI、eSIM活用でオンライン特化のMVNO新会社「KDDI Digital Life」

 KDDIは、MVNO事業を展開する新たな子会社「KDDI Digital Life」を11月2日付けで設立する。オンラインに特化したサービスを展開する。あわせてシンガポールのCircles Asiaと提携する。

 新会社の「KDDI Digital Life」は、eSIMを活用し、手続きを全てオンラインで進められるようにしたり、ニーズにあわせてサービス内容や料金を自由にカスタマイズしたりできるMVNO型の携帯電話サービスを提供する。提携するCircles Life(サークルズライフ)は、オンライン型の携帯電話事業についてノウハウや実績を持つという。

 新会社の代表取締役にはKDDIの秋山敏郎氏(パーソナル企画統括本部 アライアンスビジネス企画部長)が就く。

 これにより、auは「au」「UQ mobile」のほか、MVNOブランドとして「BIGLOBEモバイル」「J:COM MOBILE」「KDDI Digital Life」というマルチブランドで通信サービスを提供する。

総務省のアクション・プランに応えるもの?

 総務省が10月27日に発表した「アクション・プラン」では、eSIMの促進を掲げている。新会社はそれに応えるものなのか。

 高橋氏は「eSIMにはいろんな側面がある」とした上で、まず国内市場での取り組みとして、MVNOがeSIMを活用したい場合は、それに対応していくとコメント。

 また端末については、近年のiPhoneシリーズが対応している一方で、Androidではまだ広がりがかなり限られている。高橋氏はそうした状況に触れた上で「端末と料金はすでに分離されている。対応するかどうかはメーカーさん次第」とする。

 そうした状況を踏まえ、高橋氏は「デジタルネイティブな方が、使いやすい姿を想像すると、端末に関係なく、通信だけをスマホのアプリのひとつで加入したり、プランを変えたり、サービスをバンドルしたりするといった世界観が広がる。MVNOでやっていくことで、幅広い方へ届くのではないか」と期待感を示す。

別会社にした理由

 KDDI社内ではなく新会社にした理由について、高橋氏は「やっぱり速い」とスピード感を挙げる。

 「外部と連携して(オンライン、eSIM)特化型を作ろうとすると、アプリのカスタマイズ、料金システムの作り方など、もともとあるもの(サークルズライフの仕組み)をカスタマイズしてくるだけなので速い。それを社内にも伝えてau、UQの開発も急ごうと話している。(新会社は)軽く速いのがひとつの魅力」と語った。

 サークルズライフと組む経緯として、台湾やオーストラリアへの進出後、日本でも展開したいという意向があり、サークルズライフ側からの打診を受けて組むことになったという。

料金はどうなる?

 パートナーであるサークルズライフのシンガポールの事業では「MVNOだから安いのではなく、実際には、MNOのARPUよりも高いケースもあるようだ」(高橋氏)という。

 これは、サービス内容や料金をユーザーがアプリひとつで手軽に利用できるようにしているため。

 高橋氏は「たとえば今月は5GBコース、来月はNetflixでドラマを見終わったので少なくしよう、といったことができる。ARPU(携帯電話会社にとってユーザー1人あたりの収入)は一概に言えない。(サークルズライフでは)MNPよりもARPUが高いケースも見受けられる。いろんなことをトライしたい」とした。

来春を目処

 さらに同氏は「KDDIはマルチブランド戦略。多様性のあるターゲットにいろんな準備をするのが我々の役割。来春くらいに向けて検討を進めたい」と語り、来春には新会社の取り組みが、サービス開始など何らかの形として結実させたい意向を示した。

 新会社名には「KDDI」と含まれたが、サービス名は「KDDIを意識しないだろう」と高橋氏。

 KDDIでは、メイン・サブという表現ではなく、「マルチブランド」としていることは、それぞれのサービスが異なるターゲットに向けた「メインブランドであるため」と高橋氏は説明し、新会社によるサービスもそうした位置づけにしたいと語る。

 その上で、auブランドでは5Gに取り組み、使い放題とサービスの融合を軸に据えて行くとした高橋氏は「今回のeSIMにこだわったものは、トライアル的な要素もある。細かくは今後」とした。