日本オーディオ協会(JAS)は、「ハイレゾオーディオワイヤレス」ロゴの新たなカテゴリーとして、左右独立型ワイヤレス製品を追加したと発表。いわゆる完全ワイヤレスイヤホンでも、協会が認証したオーディオコーデックをサポートし、ハイレゾが楽しめる十分な音質を備えていれば、同ロゴの使用が認められる。ライセンス開始日は11月30日。

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ハイレゾオーディオワイヤレスのロゴは、ハイレゾオーディオとして十分な音質を満たす無線オーディオ機器に対し、JASが2018年からライセンスしているもの。当時、ワイヤレス接続で音楽を再生できるスマートフォンやワイヤレススピーカー、ワイヤレスヘッドフォンなどの普及を考慮し、2014年からライセンスしている「ハイレゾオーディオロゴ」の新カテゴリーとして設置した。

ワイヤレス接続で音楽を楽しむリスニングスタイルが普及し、完全ワイヤレスイヤホンの人気が高まってきていることから、JASのハイレゾWGワーキンググループでは、左右のユニットが独立に動作するイヤホンなどの製品においてもハイレゾらしさが損なわれない技術要件を検討。その結果を「ハイレゾオーディオワイヤレス」ロゴに対応する左右独立型ワイヤレスの定義として定めた。

大まかにまとめると、「ハイレゾオーディオロゴで規定されているデジタル信号(96kHz/24bitのWAV/FLAC)」を「協会が認証したオーディオコーデック(LDACもしくはLHDC)」を使って伝送でき、「40kHz以上を再生可能なアンプとドライバー」を備える、といった従来の規定に加え、「左右間位相差を±50μs以内に抑えられた製品」であれば、ハイレゾオーディオワイヤレスのロゴの使用が認められることになる。詳細はJASジャーナル11月号の記事などで解説している。

なお、LDACはソニーが開発したBluetoothコーデックで、多数の対応製品が発売されているが、完全ワイヤレスイヤホンでの採用例はまだ見受けられない。また、LHDCは台湾の半導体メーカーSavitechが開発したBluetoothコーデックで、Huawei(ファーウェイ)のスマートフォンのほか、一部のハイレゾポータブルプレーヤーやワイヤレスヘッドホンなどで「HWA」という名称で採用例があるものの、国内では対応製品が数少ない。上記の条件を満たす完全ワイヤレスイヤホンは市場に出回っていないのが現状だ。

同協会ではそうした現状も踏まえ、「要件を満たす製品の将来的な普及を見越して規格化した」とコメント。「このライセンス開始により、ますます市場が活性化していくことが期待される」としている。