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「Snapdragon 888」詳細発表、下り最大7.5Gbps対応、トリプルカメラの4K同時撮影など

 クアルコム・テクノロジーズ(Qualcomm Technologies)は、最新チップセット「Snapdragon 888」の詳細を発表した。

 5Gへの接続性、向上したAI処理、さらに高度化するカメラ、ゲーミング、パフォーマンス、セキュリティといった特徴が紹介されている。「Snapdragon 888」を搭載するスマートフォンは2021年第1四半期に発売される見込み。

5Gは下り最大7.5Gbps

 「Snapdragon 888」は、ハイエンドの8シリーズとして初めてモデムを統合。

 第3世代Snapdragon X60 5Gモデム-RFシステムにより5GではSub6、ミリ波と呼ばれる世界各地で用いられる主要な周波数帯をサポート。

 4Gとともに使うNSA(ノンスタンドアロン)と、5G単独で動作するSA(スタンドアロン)が利用できるほか、TDD/FDDでの5Gキャリアアグリゲーションも対応しており、下り最大7.5Gbpsで通信できる。

 DSS(動的周波数共有)やグローバルマルチSIMなどにも対応する。

Wi-Fi 6、Bluetoothオーディオ

 「Qualcomm FastConnect 6900モバイル接続システム」により、下り最大3.6Gbpsの「Wi-Fi 6」、6GHz帯を用いる「Wi-Fi 6E」を活用できる。

 FastConnect 6900では、Bluetooth 5.2、デュアルBluetoothアンテナ、Qualcomm aptXスイート、ブロードキャストオーディオ、高度な変調およびコーディング最適化もサポートされる。

CPU

 5nmプロセスで製造される「Snapdragon 888」のCPUは「Qualcomm Kryo 680」。

 CPU全体の性能は最大25%向上させたとのことで、最大2.84GHzで駆動する。

 Kyro 680は、「Arm Cortex-X1」をもとにした初めての商用CPUサブシステムでもあると同社では説明する。

 グラフィック処理は、「Qualcomm Adreno 660 GPU」が担う。前世代よりもレンダリングは最大35%高速化した。

 そうした高いパフォーマンスも、消費電力に配慮しながら、長い時間、体験できるという。

AI

 完全に再設計されたとうたう第6世代の「Qualcomm AIエンジン」を、新たな「Qualcomm Hexagon 780」プロセッサーで処理し、カメラ、音声アシスタント、ゲーミングなどで活躍する。

 前世代のSnapdragon 865と比べ、ワット(W)あたりのパフォーマンスは最大3倍向上。バッテリー容量が限られるモバイルデバイスでも高い能力を発揮できるとアピールする。

 第2世代の「Qualcomm Sensing Hub」で強化されているとのことで、専用の低消費電力AIプロセッサーを統合し、画面の点灯、端末を手にして持ち上げたときなど動き、あるいは赤ん坊の声や、周囲の音などオーディオイベントの検出なども低消費電力で対応する。

 新たな「Qualcomm AI Engine Directソフトウェア」で、開発者は、オンデバイスAIに対応したアプリの開発も進めやすくなるという。

カメラ

 Snapdragon 888に搭載される画像処理プロセッサー「Spectra 580 ISP」はデュアルISP、Snapdragonとして初めて、トリプル画像信号プロセッサーを搭載。

 3つのカメラから同時に最高2.7ギガピクセル/秒でキャプチャーできる。

 120fpsの連写や、3つのカメラによる4K HDR動画の同時撮影もサポート。ズームや広角といったカメラもシームレスに切り替えられるという。

 HDR動画撮影では、コンピュテーショナル撮影に対応し、色合いやコントラスト、ディテールが劇的に改善されたとうたう。

 暗い場所でも明るく撮影できるよう、新たな低照度アーキテクチャーが採用されている。

 このほかHEIF形式で10bitの色深度で撮影できる。

ゲーミング

 Snapdragonシリーズのゲーミングプラットフォームである「Qualcomm Snapdragon Elite Gaming」では、120fpsというなめらかなグラフィックで、デスクトップパソコンレベルという高いHDR品質のグラフィックスで、スムーズにプレイできる。

 モバイル機器で初めてVRS(Variable Rate Shading)を実現し、前世代と比べゲームのレンダリングが最大30%アップ。

 操作面では、「Qualcomm Game Quick Touch」により、応答性が最大20%向上する。5GやWi-Fi 6で接続し、高速かつ低遅延な環境との組み合わせで、リアルタイムでの対戦でも優位性をもたらす。

セキュリティ

 Snapdragon 888では、「Qualcomm Secure Processing Unit」や「Qualcomm Trusted Execution Environment」「Qualcomm Wireless Edge Services」がサポートされ、デバイス上に保存されるユーザーのデータをセキュアに守る。

 新たなType-1ハイパーバイザーが搭載され、1台のなかでも、アプリと複数のOS間のデータを安全に隔離する。

 Truepicと協力し、Adobeがリードする「Content Authenticity Initiative規格」に準拠して、暗号化された写真を撮影できるという。