「あなたのWi-Fi改善します」by NETGEAR

読者の「テレワークで自宅のWi-Fi不安定」に「Orbi WiFi 6」を処方してみた

【第1回】仕事に授業、ゲーム、塾とフル活用中のA氏宅

Wi-Fiが遅い、つながらないと悩むご自宅に訪問して改善していく!
A氏宅の間取り
導入機材はネットギア「Orbi Wi-Fi 6(RBK852)」親機・子機2台セット

 高速な固定回線を契約しているはずなのに、思ったほど速度が出ない、つながらない、不安定で満足にインターネットが使えない……。もしかしたら、それはWi-Fiルーターが原因なのかも!?

 「あなたのWi-Fi改善します!」は、そんな悩みを持つ読者に、実際にネットギアのWi-Fi 6対応ルーターを使ってWi-Fi環境を改善してもらおうというモニター企画。ご自宅にINTERNET Watch編集部がお邪魔して、その環境に最適なWi-Fiルーターに置き換え、問題を解決し、ネットワークの改善を図ります。

 第1回目は、IT系企業に勤めるA氏宅。在宅勤務が多くなっているご本人だけでなく、家族もヘビーにインターネットを利用しているご家庭です。しかし、既存の環境はトラブル続出でWi-Fiが突然切れることが多く、家族の絆にも亀裂が入りつつあるとか、ないとか。窮地を救うべく、さっそくA氏を訪ねました。

※感染防止に十分配慮して取材、設定作業を行っております。

ユーザープロフィール

・木造2階一戸建て(総床面積約100平方メートル)に居住
・A氏本人、妻、長女、二女、長男の5人家族
・「SoftBank 光」の光回線(最大1Gbps)を利用
・ルーターはレンタル品の「光BBユニット(E-WMTA2.3)」で、IEEE 802.11acに対応

抱えている課題

・ネットワークの負荷が高くなるとWi-Fiが切断されてしまう問題が発生
・家族がテレワーク、オンライン授業、ゲームで同時に通信することがある
・2階の隅では電波が安定せず、ルーター付近でしか仕事やゲームができない

「仕事+授業+ゲーム+塾」コロナ対応で親も子供もネットが必須!!負荷が急増してWi-Fi環境が不安定に……

 今回ご依頼いただいた会社員のA氏は、現在、在宅勤務のため自宅で過ごすことが多くなっています。そのおかげで、自宅ネットワークの“不調”にも気付くようになりました。これまではオフィス勤務だったためはっきりとは把握していなかったものの、自宅で仕事中にネットワークの負荷が高まると突然Wi-Fi接続できなくなる現象が発生することが分かりました。

ご主人はVPN+仮想デスクトップで会社の業務

 A氏ご本人はVPNで会社のネットワークに接続し、仮想デスクトップの機能を使って仕事をこなすのが今の日常。もちろんZoomなどを使ったオンライン会議にもたびたび参加します。

仮想デスクトップを利用しつつ、オンライン会議も日常的にこなす
大学生の長女はオンライン授業……なのに「また切れた~」

 それに加えて大学に通う長女も、10月頃までは専らオンライン講義で1日中PCに張り付き、いわばネットが仕事・勉強の“生命線”ともなっていました。

 そんな状況で、自宅ネットワークの負荷が高まってくると、唐突にWi-Fiが利用できなくなるトラブルが発生するようになったのです。長女の「また切れたー!」の叫びを聞いて、いそいそとA氏がルーターの電源を入れ直し、なんとか復旧する、ということを1日に何度も繰り返していました。

長女は自分の部屋でオンライン授業を受けていたものの、たびたび起こる回線断にストレスを感じていたよう
中学生の長男はゲームとオンライン英会話で活用中

 中学生の長男も、「Fortnite(フォートナイト)」などの対戦型オンラインゲームや、オンライン英会話でネットをフル活用している1人。友だちとラウンジで待ち合わせて対戦しようと思ったら、突然切断されて置いてきぼりになってしまったり、英会話レッスンが中断されてしまって気まずい思いをしたり……。

 また、普段からWi-Fi電波が安定して届く範囲が限られていたため、できるだけWi-Fiルーターに近いリビングでゲームをプレーし、英会話については(家族に聞かれるのが恥ずかしいのか)自分の部屋で、不安定なネット環境のなかギリギリチャレンジするような状況。A氏自身も自分の寝室ではなく、比較的つながりやすいリビングで仕事をするしかありませんでした。

中学生の長男はかなりのゲームフリーク。フォートナイトをよくプレーするのだとか

 A氏自身と家族2人の不満は日々溜まっていくばかり。ルーターが原因であることははっきりしていましたが、ある意味不運だったのは、メッセージアプリやSNSをスマートフォンで使うのがメインだった妻や二女は、大きな問題として捉えられていなかったこと。実情を知るよしもない“財務大臣”である妻の許可が下りるわけもなく、ルーターを新しくすることができずにいました。

木造2階建、高い通信負荷、設置は1階……どういう製品を選ぶべきか?

 A氏にそんな悩みを打ち明けられた編集部は、さっそく導入するWi-Fiルーターの選定を開始しました。

 まずは木造2階一戸建てのお住まいの間取りに着目。光回線の導入口が1階中央のキッチンカウンター付近ということで、そこから1階はもちろん、2階の各部屋の隅々にも電波が行き届くようにすることを考えました。

A氏宅の間取り。1階左上のキッチンカウンター付近に既存のルーターを設置していた

 また、テレワーク中のA氏ご本人の仕事や、長女のオンライン授業(動画)、長男の対戦ゲームやオンライン英会話(動画)は、それら1つ1つ自体も回線負荷が高くなりがちです。時には2、3人が同時に通信するシチュエーションもあるうえに、長男についてはゲームしながら別の端末で動画再生したり、英会話レッスンを受けながらスマートフォンで調べ物をしたりと、マルチタスクっぷりも発揮しています。

 こうした利用環境、利用状況では、電波の届く範囲を広げられるメッシュネットワーク対応機で、かつWi-Fiの通信速度が高速なものを選ぶことは必須。そして、別の側面からも注意を払う必要があると考えました。複数人のアクセスが同時にサテライトルーターに集中した場合を想定し、バックホール、つまりルーター間の通信キャパシティにも余裕を持たせなければいけない、という点です。

 そこで編集部は、ネットギアの最新Wi-Fi 6ルーター「Orbi WiFi 6(RBK852)」の2台セットモデルを選択。ポイントは、デバイス通信用の5GHz帯と2.4GHz帯の他に、ルーター-サテライト間通信専用の5GHz帯も設けたトライバンドメッシュで、複数の高負荷なデータ通信があっても高速通信を維持できること。メッシュネットワークの仕組みにより、2台で最大350平方メートルの広さまでカバーできるので、100平方メートル(1フロア50平方メートル)のA氏宅なら余裕でまかなえます。

チョイスしたのはネットギアの最新Wi-Fi 6ルーター「Orbi WiFi 6(RBK852)」2台セットモデル

ひかりTVを安定して利用するために……

 なお、A氏宅で引いている固定回線はSoftBank 光。ONUとWi-Fiルーターを組み合わせて使っていますので、本来であればWi-FiルーターをOrbiに入れ替えればOK、のハズでしたが、A氏宅では「ひかりTV」のサービスを使っているそう。「ひかりTVを使う環境でOrbiを使う場合は、設定に注意が必要」(ネットギア)とのこと。

 というのも、ひかりTVが利用している「IPv6マルチキャスト」技術は、海外ではあまり使われておらず、結果として「多くの海外製ルーターが対応していない」(ネットギア)そう。IPv6マルチキャストに対応していなくても、ひかりTVを見ることはできるものの、同時に他の機器でネットに繋ぐと、そちらの通信に影響を及ぼしてしまい、通信が安定しなくなったり落ちたりするとのこと。

 もしも今ひかりTVと市販のルーターを組み合わせていて、通信が不安定だと感じている人がいたら、お使いのルーターがIPv6マルチキャストに対応しているかを確認したほうがよいかもしれません。

 ではそんなときどうすればよいのかというと、既存の標準ルーターを残しつつ、Orbiを「APモード」で利用するというのがよいとのこと。TVとの接続はこれまでどおり標準ルーターから有線接続とすることで、ひかりTVを使いながら安定してOrbiのメッシュWi-Fiを利用できるようになります(詳しくはネットギアのサポートページ「ひかりTVに対応していますか?」を参照)。

標準のルーターを残し、テレビへの有線LAN接続は標準ルーターから行う
Orbiの管理画面からAPモードを選択

 なお、これだけでもWi-Fiは使えますが、標準ルーターの管理画面にある「無線LAN機能停止設定」から無線LAN機能を無効にすることで、Wi-Fiの回線同士がぶつかることがなくなり、より安定した通信が可能になります。

導入結果:電波強度、通信速度ともに大幅改善。ゲームもラグなしで長男大満足?

 さて、いよいよOrbi WiFi 6の設置です。

 Orbi WiFi 6の親機は、元々の標準ルーターから有線ケーブルで接続する必要もあるため、これまでと同様に1階キッチンカウンター付近に設置。子機となるサテライトルーターは親機からの電波が届きやすく、かつ2階全体に電波が届きやすいよう中央の部屋に設置しました。

既存のルーター(写真下に見えるSoftBankロゴの機材)があった場所に親機を設置
「Orbiは見た目がとにかくおしゃれ。今までのルーターはどちらかというと隠したかったけれど、Orbiならあえて見える場所に置いてもいいかも」とA氏
取付けの手順はアプリの指示に従えばOK
子機となるサテライトルーターをまずは2階の廊下に置いてみたが電波強度はイエローの表示
そこでリビングの真上にあたり、フロアのほぼ中央に位置する二女の部屋に移動するとブルーの表示に。暫定的に床置きにしたが1mぐらいの高さに置けると電波環境はもっとよくなる
電波強度とLAN内のデータ転送速度を計測中

 これにより、電波強度の値は計測した箇所すべてで向上しました。従来の標準ルーターでも、弱いながらもある程度まんべんなく届いてはいましたが、電波が強化されたことでどこでも常に安定した通信が可能なレベルに。サテライトを設置した2階は特に大幅な改善に成功しました。

 A氏宅では今のところWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応の端末はないとのことで、Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)の端末でデータ転送速度を検証。iPerf3によるLANのデバイス間のデータ転送速度は、場所によっては2桁台に落ち込んでいたところでさえ、余裕で200Mbps~300Mbps以上に高速化しました。最大1Gbpsのインターネット回線を利用するうえで、LAN側でボトルネックになる箇所は完全に排除されたと言って良さそうです。なお、Wi-Fi 6環境下での検証結果については関連記事(清水理史の「イニシャルB」)をご覧ください。

交換前
既存ルーター使用時の各ポイントの電波強度
交換後
Orbi WiFi 6導入後の各ポイントの電波強度
iPerfテスト
※Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)の端末で検証
既存ルーター電波強度(dBm)既存ルーター下り(Mbps)既存ルーター上り(Mbps)Orbi電波強度(dBm)Orbi下り(Mbps)Orbi上り(Mbps)
1F ダイニング-47307301-35399335
1F キッチン-56273228-47315264
1F テレビ前-50243203-49303254
1F トイレ-63131110-59262220
1F 浴室-6899.783.3-66236197
2F 中央の部屋-57124103-39338283
2F 廊下-6911091.8-53321269
2F 上の部屋-7289.274.5-60270226
2F トイレ-7586.172-53320268
2F 下の部屋奥-7478.865.9-67214209

 Orbi WiFi 6の導入から1週間、ネットワークの調子を伺ってみると、以前のような高負荷時に通信できなくなるような現象は一切見られなくなったとのこと。もちろんA氏が仕事でVPN接続している仮想デスクトップも、オンライン会議も、途中で切断されるようなことはなくなり、しかも自宅のどの場所でも仕事ができるようになったと言います。

 同氏が息抜きにプレーしていたブラウザゲームも、以前は読み込みに時間がかかって満足に遊べなかったのが、すぐにスタートできて動きもサクサク、スムーズに。新たな「時間泥棒」に悩まされることになり、かえって仕事に差し障りがありそうな雰囲気……。

 長男においてもWi-Fiルーターを新しくした効果は抜群だったようで、これまでは通信のために家族の目があるリビングでゲームするしかなかったところ、自室のベッドに寝そべりながらでも楽しめるようになったとホクホク顔。フォートナイトでは頻発するラグで遅れを取っていたのが、武器の持ち替えでさえスムーズになり「普通に戦える」ようになったそう。

ゲームで遊びながら実況動画も見る、マルチタスクな長男も大満足

 オンライン英会話のレッスンも安定して受けられるようになったとのことですが、「止まることがないんだよね……」となぜか悲しい表情。さぼる理由がなくなってしまったようですが、通信環境が改善したことで学習効率がアップし、だんだん英会話が楽しくなっていくことを祈りたいところです。

ベッドに寝そべりながらでも通信が可能に。ただ英会話レッスンがスムーズにできるようになったのは、ありがた迷惑な様子……

 なお、取付時には通常の授業にもどっていた大学生の長女ですが、その後再びオンライン授業を再開したとのこと。父親のZoomなどと同時にオンライン授業をしていても安定していて、以前のように画質や音が悪化したり、切断されたりすることもなくなったそう。今後の新型コロナウイルスの感染拡大の状況によっては、オンライン授業を継続する可能性もあるので、長女にとっても今回のネットワーク改善は安心材料の1つになったようです。

アプリ活用で「ゲームしすぎ」の抑制も……果たして「予算」は増やせるか??

 Orbi WiFi 6の導入の際には、Orbi専用のスマートフォンアプリを利用します。A氏によれば、アプリの指示に従っていくだけで簡単にセットアップが行なえた、とのこと。

セットアップにも用いる専用アプリ
QRコードを読み取るなど、簡単な操作で設定できるのが良かった、とA氏

 それ以来、A氏はことあるごとにアプリを起動しているのだそう。インターネット回線の速度計測や接続状況のチェック、ゲスト用Wi-Fiアクセスポイントの設定など、「ついいろいろな機能を試したくなってしまう」のだとか。

 なかでもどの機器がネットワークに接続しているかを把握できる機能については、あらかじめ家族にも伝えていることから、長男のゲームしすぎ問題の抑制にもつながっている様子です。長男にとっては思わぬ“弊害”かもしれませんが、今や自宅のどこでも快適にゲームができることから、家族の目を逃れて遊べるようになったところもあり、少しでも自制心を働かせてほしいと願う親の気持ちは理解できなくもありません。

 なお、Orbi WiFi 6は最新のWi-Fi 6対応ルーターではあるものの、A氏宅には今のところWi-Fi 6対応デバイスがないため、まだその性能の全てを活かすことはできていません。ただ、将来的にはWi-Fi 6に対応しているスマートフォンやPC、ゲーム機などを購入する可能性はあり、そのために今からルーター側を準備しておくことは無駄にはならないだろう、と同氏は考えています。

 IT系の仕事をしているとはいえネットワークには詳しくなく、これまでは自宅のネットワーク環境に無頓着なところもあったA氏。しかし、「これからは積極的に自分で改善したくなってきた」とやる気をみなぎらせていました。トラブルがあっても、その原因をはっきりさせて改善策を見つけられれば「妻を説得して“予算”を引き出せるから」と話していましたが、果たしてうまくいくでしょうか……。

(協力:ネットギアジャパン)

【お詫びと訂正 1月13日 19:43】
 記事初出字、単位の表現に一部誤りがございました。お詫びして訂正いたします。