自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第58回

Fire TV StickとEchoデバイスをリンクさせる準備

 使いこなし編では、自宅Wi-Fiの電波状況を良くする方法を解説しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から自宅で過ごす時間が増え、僚誌AV Watchの7月14日付記事『有料の動画配信サービス利用率はAmazonが突出。外出自粛で動画視聴大幅増』にもある通り、ネットで自由に映画や番組を楽しめるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスが人気を集めている。

 そこで、在宅時間の増加から人気のAmazon「Fire TV Stick」を解説している。パッケージには取説が入っていないので、知らないとちょっとハマる部分もある。前半の解説で、Fire TV Stickを5GHz帯の自宅Wi-Fiに接続できている。これからセットアップする人は、そちらから読みはじめてもらいたい。

「メリークリスマス!」サンタさんは、グッスリお休みのようですが……。今回からFire TV StickをAmazon Echoシリーズと連携をさせていく

「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧

 ここまでの連載では、Fire TV Stickのさまざまな活用方法を実践してきた。今回からは、Amazonのスマートスピーカー「Echo」シリーズをFire TV Stickと連携して使う方法を試していきたい。

 使っていくのは「Echo Dot(第3世代)」だが、現行のEchoシリーズなら、音声によるコントロールはほぼ同じように使える。ただし、テレビの音をEchoから再生するためのホームシアターでのペアリング設定は、対応機種が限られているので注意が必要だ。詳細はこちらのページで確認できる。対応するのは第3世代のFire TV StickとFire TV Stick 4Kである点には注意して欲しい。

今回で使う「Echo Dot(第3世代)」。お手軽モデルで4色から選ぶことができる

「アレクサ!〇〇を見せて」、Echoと連携してハンズフリー操作

 Fire TV Stickのうち、Alexa対応音声認識リモコンが付属しているモデルでは、リモコンの専用ボタンを押し続けることでAlexaの音声認識が待ち受け状態になる。

 この操作方法に対し、Echoを連携させることで、リモコンを持たずに「アレクサ!」のウェイクワード[*1]で操作が開始できるようになる。これが一番のメリットとなるところだ。

[*1]……ウェイクワードはアレクサ以外にも「アマゾン」「エコー」「コンピューター」から選択できる

 ちょっと分かりにくいかもしれないが、具体的には以下のような手順となる。

  • Echo連携【なし】
    リモコン発話ボタンを押し続ける
    >検索ワード発話「グランド・ツアーを見せて」
    >テレビがオンになり再生開始
    (テレビがオンなら「プライムビデオのグランド・ツアーはこちらです」の音声返答が聞こえ、オフならタイミング的に聞くことができない)
  • Echo連携【あり】
    「アレクサ!」
    >検索ワード発話「グランド・ツアーを見せて」
    >Echoから「プライムビデオのグランド・ツアーはこちらです」の音声返答
    >テレビがオンになり再生開始

 Fire TV StickのみのEcho連携なしでは、テレビが消えた状態からだと、タイミング的に音声の返答を聞くことができない。これはリモコンを使うとき、テレビはたいていオンの状態だろうから、さほど問題ではないだろう。とにかくEchoを連携しておけば、テレビがオフの状態から、リモコンすら持たずに再生ができるのでスマートだ。

 なお、Fire TV Cubeであれば、Echoシリーズと連携をしなくても、同等のハンズフリーでの利用ができる。

 ただ、Echoを使って「テレビを点けて(消して)」とテレビの電源のみをオンオフさせる操作は、今回のセットアップではできなかった。何らかのコンテンツを再生させたり、検索結果が表示されるタイミングでテレビもオンの状態になる。この、HDMIの入力と連動して機器をコントロールする動作には、「HDMI-CEC」という機能が使われている。

 多くのテレビはこの機能に対応しており、メーカー別の「~~リンク」といったネーミングがこれにあたる。主にビデオやプレーヤーを操作する機能だが、音声と連動してテレビを自動でオンにする機能を使いたければ、チェックしておけばいいだろう。

複数のEchoを設定してステレオ効果を体感

 Echoを使うメリットはもう1つある。Fire TV Stickの音声は、テレビではなくEchoから出力することも可能なのだ。複数のEchoから同時に音声を出力したり、左右に設置しステレオ効果を得るといったこともできる。

 これには、ホームシアターとしてペアリングを設定する必要がある。先に書いたように対応モデルに制限はあるものの、Echoのサウンド出力は、音楽再生も考えられていてワリと音質がいいので、ぜひ試して見て欲しい。接続にはWi-Fiを使うので、テレビと離して設置できる点も便利だ。

ホームシアターとしては、サイズが大きめで音質のいい「Echo Studio」も使ってみる予定だ

Fire TV StickでテレビのメーカーとHDMI-CEC関連の設定を確認

 それでは準備として、ウェイクワードからテレビの電源をオンにできるよう、まずはFire TV Stickでテレビの設定を確認していこう。

 Fire TV Stickの初期設定時に、テレビのメーカーを選択済みのはずだ。もし、これをスキップしていたり、接続するテレビを変えたりしている場合は、設定にある[機器のコントロール]から、[機器の管理]>[テレビ]>[テレビを変更]で設定しておく。現在の状態もここから確認できるので、チェックしておけば万全だ。

Fire TV Stickの設定画面で[機器のコントロール]>[機器の管理]>[テレビ]>[テレビを変更]を選ぶ。初期設定時に選んだメーカーかどうかを確認し、異なる場合は再設定する

 このほか、HDMI-CEC関連の設定も確認しておこう。テレビの電源がオフの状態でリモコンのホームボタンを押し、テレビの電源が自動でオンになればOKだ。

設定の[ディスプレイとサウンド]で[HDMI CECデバイスコントロール]が[オン]になっていることを確認する
リモコンのホームボタンを押す。テレビの電源が入るだろうか

 この設定でリモコンのホームボタンを押し、テレビの電源が入ればOK。入らなければ、以下の設定を試してみよう。

設定の[機器のコントロール]>[機器の管理]>[テレビ]>[電源コマンド]で[オンまたはオフ]と[電源オン/オフの切り替え]のどちらかに切り替えて試してみる
設定の[機器のコントロール]>[機器の管理]>[詳細設定]>[ホームボタン]で[HDMI-CECのみ]と[IRとHDMI-CEC]どちらかに切り替えて試してみる

 [IRとHDMI-CEC]にした場合は、赤外線受信のためリモコンの先端をテレビに向けておく必要がある。これら設定のどれかの組み合わせを試せば、ほとんどのテレビで再生に連動して電源がオンになるはずだ。

 実際に設定してみたところ、少し古めのパナソニック製の今はなきプラズマテレビでは、[電源コマンド]が[オンまたはオフ]、[ホームボタン]が[IRとHDMI-CEC]の設定で、リモコンのホームボタンを押すと電源がオンになった。

 [IRとHDMI-CEC]に設定したときは、ホームボタンを押して少し間をおくと、赤外線送信時にリモコン右上が青く点滅するはずだ。

 この設定がうまくできれば、Echoへの呼びかけで再生させるとテレビの電源もオンになる。次回は続けてEcho側の設定を行おう。

今回の教訓(ポイント)

Fire TV StickとEchoを連携させると音声のみで再生ができる
ホームボタンを押してテレビの電源が入るように設定しておく

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。