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ソニー岸田氏が語る「Xperia 1 III」に込めた想いとは

 ソニーは14日、「Xperia 1 III」「Xperia 10 III」を発表した。あわせて地域は未定ながら「Xperia 5 III」も発表された。モバイルコミュニケーションビジネスグループをリードするソニー常務の岸田光哉氏は「Xperiaの最新モデルを世界中のみなさんにご紹介できることを嬉しく思う」とプレゼンテーションをスタートした。

ソニーの岸田氏

ソニーの「ものづくり」の精神をもとにしたXperiaの目指す姿

 創業者から受け継がれる「テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー」というコンセプトが、今も、同社の原動力になっているとした岸田氏は、2年前に発表した「Xperia 1」が、その精神を具現化したもの、と振り返る。

 その当時から掲げられている「好きを極めたい人々に想像を超えたエクスペリエンスを」というビジョンは、たとえばディスプレイでは、ハリウッドの映画制作に協力を得て、クリエイターが描いた色調を再現できるようにした。さらにソニーのデジタル一眼「α」シリーズの技術として開発された「リアルタイム瞳AF」もまた、Xperiaに取り入れられた。

 グループの力を結集し、ユーザーの手のひらの上に届けるため、「共通の感動体験や関心を共有する人々が求めるもの、“Community of Interest”のニーズを満たす製品づくり」に取り組んだと説明する。

 ユーザーが創造性を追求できるよう、開発に注力し、写真、動画、ゲーム、音楽といった分野で、ユーザーが好きなことを存分に楽しみ、さらにその歓びを周囲と共有できるようにする――これがXperiaに根ざす思想だという。

Xperia 1 IIIで目指す姿は「Speed and beyond」

 そうした思想をもとに開発された「Xperia 1 III」では5G対応、それもミリ波をサポートすることになり、「私たちが新製品で提供するのは、高速化と充実したクリエイティブ体験。開発コンセプトは”Speed and beyond”」と岸田氏。そのため「Xperia 1 III」は「Community of Interest」に熱中できるよう、カメラ、ディスプレイ、サウンド、ゲーム関連の処理・関連機能をさらにブラッシュアップさせた。

 たとえばディスプレイは、スマートフォンとして初めて、120Hz駆動で、4K HDR対応の有機ELディスプレイを備える。

 また内蔵スピーカーによる「360 Reality Audio」もスマートフォンで初めての対応という。

Xperia 1 IIIのカメラ

 商品企画を担当した木山陽介氏がまず紹介したのは、Xperia 1 IIIのカメラだ。

 2020年に登場した「Xperia 1 II」では、AF/AE追従で最高20コマ/秒の連写に対応するカメラを世界初搭載。その専用アプリ「Photography Pro」は、たとえばプロカメラマンのニック・ディドリック氏から、初めてのテスト撮影時に「魔法の瞬間をとらえることができた」というコメントが出たほどだったという。

 そこで「世の中は常に動き続け、撮りたいものがいつも目の前にあるとは限らない」(木山氏)として、望遠機能と追従機能の向上がはかられた。

 たとえば約1200万画素のセンサーと247点での位相差検出技術を組み合わせることで、高速なフォーカスと、高画質な撮影を実現させた。

 トリプルカメラのいずれでも超高速AF追従をサポート。また望遠カメラは、70mmと105mmを切り替えられるという機構を採用しており、これまた“世界初”の可変式望遠レンズとなった。

 さらに300mmまでの望遠撮影もサポートされており、この際には、機械学習を活用した「AI超解像ズーム」が効く。

 オートフォーカス(AF)は、247点の測距点でフレームの約70%をカバーすることで高い精度を誇る。

 20コマ/秒での連写では、60回/秒の演算処理の恩恵で、ピントが合い続ける。これらは、「焦点と露出はコマ間に3回計測されて、スマートフォン史上最も精密なAFとAEを実現した」(木山氏)になる。

 うす暗い場面での連写性能も改善された。画像処理エンジン「BIONZ X for mobile」のアルゴリズム向上によるもので、搭載される3D iToFセンサーと連携することで、高感度かつ低ノイズの写真を撮れるようになった。

 側面にある専用シャッターボタンを半押しすると、AFが動いている被写体を追従する機能もある。またαシリーズの「リアルタイムトラッキング」も取り入れられており、動きの速い被写体にピントを合わせられる。被写体の一部が隠れていても、物体認識技術でサポートするとのことで、ピントを合わせ続けるためには、画面をタップするだけでいいという。

 反射を抑える「T✴ コーティング」が施されたZEISSレンズを引き続き採用。

 RAWフォーマットでも撮影できる。

Xperia 1 IIIのディスプレイ

 120Hz駆動でなおかつ4Kという解像度となる6.5インチのHDR対応有機ELディスプレイがスマートフォンに搭載されるのは、「Xperia 1 III」が世界初。

 HDRの国際規格であるBT.2020に準拠しており、工場で一台一台正確に調整される。ソニーのマスターモニターで培われた「クリエイターモード」も用意される。

 さらに「画面に映し出されるコンテンツは、ディスプレイの湾曲や自撮り用レンズなどに邪魔されない」としており、フラットかつノッチがないディスプレイだからこその特徴をアピール。

Xperia 1 IIIのサウンド

 「Dolby Atmos」対応で、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントとの協業で独自のチューニングを施した立体音響技術で映画を楽しめるという。

 3.5mmオーディオジャックが用意されるほか、「DSEE Ultimate」の設定をONにすれば、デジタル音源をハイレゾ相当で再生できる。

 また「360 Spatial Sound」も搭載。ステレオ音源をリアルタイムで立体的に聞こえるよう調整してくれる。

 さらに360 Reality Audioデコーダーが改良されており、世界で初めて、本体のステレオスピーカーで360 Reality Audioを再生できるようになった。

 このほかスピーカーの最大音圧は、前モデルより約40%アップさせた。

Xperia 1 IIIのゲーム性能

 ゲームプレイでも21:9という横長画面であれば、「撃たれる前に敵を見つけられる」と説明。

 充電しながらも発熱を抑える「HSパワーコントロール」や、専用機能「ゲームエンハンサー」などは引き続き搭載。画面操作は、240Hzで検出され、遅延なく操れるという。

 このほか背景に隠れた敵を見つけやすくする「L-γ(ローガンマ)レイザー」機能が追加されている。

 新機能「RTレコード」では、約30秒さかのぼって録画しており、ゲームで勝利した後から録画ボタンを押しても決定的瞬間を残せる。

Xperia 5 IIIも発表

 ソニーの英国法人のスタッフから発表されたモデルは「Xperia 5 III」だ。Xperia 1 IIIと同等の機能を備えつつ、コンパクトに仕上げられたという。

 たとえば105mmの望遠レンズ、高速なオートフォーカスや追従性能、「DSEE Ultimate」と「360 Spatial Sound」、Xperia 1 IIIとまったく同じというゲーム性能などが特徴とされる。

5G対応のミッドレンジ「Xperia 10 III」

 最後に発表されたモデルは、「Xperia 10 III」だ。

 ソニーのミッドレンジモデルとして初めて5Gをサポート。4500mAhのバッテリーや21:9のディスプレイ、トリプルレンズカメラ、防水性能も備えている。

「さらなる革新起こす」

 プレゼンテーションの締めはふたたび岸田氏が登場。

 「最新のXperiaが実現する世界にワクワクしていることでしょう」と自信を見せた同氏は、どのモデルでも5Gに対応していると紹介。

 岸田氏は、「クリエイティビティとテクノロジーを融合することで、Xperiaは唯一無二の新しい体験を届ける。私たちは、かつてない方法でユーザーとクリエイターがつながれるような斬新な新製品や機能を開発し続け、 さらなる革新を起こす。それこそが、ソニーが情熱を注いでいることなのです」とスマートフォン開発への情熱をあらためて語り、発表会を終えた。