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総務省の競争ルール検証WG、ドコモが旧プランの違約金留保見直しへ

 総務省は16日、「競争ルールの検証に関するワーキンググループ」の第16回を開催した。

 参加したNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの各社からは各社の料金プランや端末値引きなどの改正電気通信事業法の遵守、音声通話料金などでの取り組みについての報告が行われた。

NTTドコモ

 ドコモによると、改正法に適合したプランへの移行状況は、総務省の要請に基づき報告した計画を上回る順調な進捗を見せているという。同社では、今後2年程度で大半のユーザーが改正法に適合したプランに移行すると見ている。

 一方、改正法以前のプランから新たなプランに変更する際には、旧プランの2年契約の満了まで解約金が留保される形となっている。ここについては、ユーザーからわかりにくいといった意見があるとして、21年秋頃を目処に見直しを予定しているという。加えて、2年契約プラン自体の新規受付を終了していくとした。

 また、携帯電話機が故障した際に補償を受けられる「ケータイ補償サービス」について、現状では、ドコモ回線ユーザーのみに提供されている形だが、21年夏頃を目処にドコモから端末のみを購入している非回線契約者に対しても提供していく。端末の割賦販売についても適用を見直し、ドコモ回線ユーザー・非ドコモ回線ユーザー間での差異の解消に向けて取り組む方針。

 さらに、他社が提供する端末購入を補助するプログラムについて、旧端末を買い取り新端末の購入を残債免除の条件とすることは、囲い込みにつながると主張。実際に8割の残存があり、現行のプログラムは同一事業者の回線が継続される可能性が高く、高いロックイン効果が継続されているとして、仕組みを見直すべきとした。

 総務省による覆面調査によって、法律で定められた金額を超過する割引や非回線契約者に対しての端末販売を拒否したという事例が明らかにされた。これについて、ドコモでは「結果を重く受け止め、再発防止に向けて取り組む」とコメントした。

 音声通話料金については、これまでもユーザーニーズに併せて継続的に見直しをしてきたことを紹介。定額制サービスの充実により、従量制サービスの音声トラフィックは低減する傾向にあるという。同社では、今後も常に料金を見直しつつ魅力的な料金・サービスの提供に努めるとした。

KDDI

 KDDIでは、契約更新の積極的周知や改正法適合プランへ移行時の旧プランの違約金免除、魅力的プランの提供などで改正法適合プランへの移行を促進してきたと説明。端末購入を補助する「かえトクプログラム」についてもau回線のユーザー以外でも利用できることをアピールしてきた。

 しかし、現時点では非au回線ユーザーの場合、オンライン契約不可、支払い方法がクレジットカードのみ、残価の自動再分割不可など、auユーザーとの差分が生じており、これらについては21年夏にも解消に向けて対応するとした。

 法律遵守の取り組みについて、KDDIではこれまで地域によって分散していた代理店管理や広告などの適正性の管理機能を本社組織として一括化し体制を強化。改正法施行後もガイドライン改正の都度、社内研修などを通じて法律遵守の体制を整えてきた。

 一方、代理店に対してもガイドライン責任者の設置や直営店の端末販売価格及び利益の提供額について機種別に作成。変更が生じた時点でメールで全代理店に通知するなどの取り組みを行ってきた。

 総務省の覆面調査で明らかにされた非回線契約者への端末販売拒否や上限を超えた値引きなどについては、事例が判明した店舗・スタッフに対しては個別指導を実施。継続的な改正事業方の趣旨の説明・違反事例の代理店への共有、代理店ガイドライン責任者から店舗スタッフへ周知し意識づけを強化するとした。

 また、音声サービスについては、これまで多様な定額サービスの導入を図ってきたことを説明。実質的な音声通話料は大きく低廉化したとした。同社では、MNOの音声接続機能や卸料金の見直しにより、MVNOサービスにおいても低廉な音声通話サービスが導入され始めたことから、音声サービス市場はより活性化すると見ている。

ソフトバンク

 ソフトバンクでは、改正電気通信事業法遵守のため、厳格な運用を実施してきたことをアピール。サービス企画部門や渉外部門での確認フロー整備、代理店に対する端末購入補助額の通知、割引金額が定められた基準を上回る場合の警告の仕組み構築、定期的な販売スタッフの研修などを行ってきたという。

 法改正前のプランの契約者の割合は、全契約者の半数以下にまで減少したとしている。改正法適合プランへの移行促進の取り組みとしては、改正法に適合したプランへの移行時の違約金免除やさまざまなメディアによる周知、店頭における料金相談などを実施してきた。

 また端末購入補助プログラム「トクするサポート+」も提供しており、ユーザーの選択肢として、購入から24カ月経過後に端末の利用継続、返却の後、新端末の購入、端末返却の3つを用意しており、回線契約有無による条件の差異はなく、通信と端末販売を完全分離しているため、回線契約の囲い込みにはならないと主張した。

 現状では、総務省のガイドラインに基づき、非回線契約者へのオンライン販売は実施していないが、今年度末にも対応するという。

 代理店販売スタッフの知識不足などにより、一部の店舗で不適切な案内があったことが総務省の覆面調査で明らかにされたが(同社では法定割引額の超過事例は確認されていない)、3月に全店舗に対して注意喚起を行い対応したとした。

 音声通話料金については、ユーザーニーズを踏まえ通話定額料金を適宜導入して見直してきたとしており、一方で音声通話の傾向としては通話時間・通話料金支払額ともに減少する傾向にあると説明。

 ネットワーク品質は世界最高レベルである一方、音声込みでの料金は世界でも安価な部類に入るという。同社では、今後もニーズや市場環境を総合的に見据えて、料金を設計。利便性の向上に努めるとした。

楽天モバイル

 楽天モバイルでは「携帯電話を民主化したい」という同社の理念を紹介しつつ、それにより改正法の施行前からすでに通信契約と端末販売を分離していたと説明。端末補償についても、通信契約者向けと通信契約のない端末購入者向けの2種類を用意。

 また、改正電気通信事業法の運用における、社内整備としてガイドライン配布・定期研修の実施や問題が発覚した代理店への改善指導、キャンペーンの際などに法令遵守状況の社内確認などを行っている。

 また、音声通話サービスについては、国内通話料が無料となる「Rakuten Link」を提供。他社のアプリ通話並みに手軽ながら、音声通話を担うインフラとして国内通話無料を実現したと説明。

 同アプリ同士であれば、通話のほかメッセージも無料で利用できる。現在は楽天モバイルの回線を利用したMVNO事業者はないものの、同社ではプレフィックス番号による自動接続などは、事業者から要望があれば対応するとしている。