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総務省のWG、「プラチナバンドの周波数再割り当て」などを提言

 総務省の移動通信システム等制度ワーキンググループ(WG)は14日、「移動通信システムの電波利用状況調査や周波数の割当方策」などに関する報告案を取りまとめた。報告案では、周波数の再割り当てについて、「周波数再割り当ての仕組みの導入」や「プラチナバンドの再割り当て制度の整備」などを提言した。

周波数の再割り当て

 WGの報告書案では、公平競争の確保は電波の有効利用につながるとの考えから、新規参入事業者には必要に応じて周波数の割り当てについて優遇する仕組みを導入することが適当とした。

 現在、各事業者に割り当て済みの周波数について、免許期間が終了しても再免許を繰り返し、事実上継続的に使用している。周波数が固定化されている状況への対応としてWGは、「周波数の有効利用が不十分であると認められる場合や共願が発生する場合」などには周波数の使用制限を設定し、比較審査で周波数を再割り当てする仕組みの導入が必要としている。

 また、周波数移行時、新たな事業者負担で免許期間よりも前に周波数移行を完了させる「終了促進措置」の活用や、終了促進措置の協議が不調の場合は、電気通信紛争処理委員会にあっせん・仲裁を申請できる仕組みの導入を提言している。

プラチナバンドについても再割り当ての導入を

 報告書案では、電波が届きやすい「プラチナバンド」についても、「特別な扱いをせず」ほかの周波数帯と同じような普遍的な再割り当て制度を整備することを提言。プラチナバンドの再割り当てに関する個々の課題については、今夏以降に深堀りすることが必要だという。

 なお、プラチナバンドについては、高層建築物などの奥や条件不利地域における無線局の開設など、広いカバーエリアの実現が求められるとしている。

「投資回収は完了していない」という意見も

 事業者からの意見として、「携帯電話サービスの提供は、トータルの周波数で設備投資回収を行っており、個々の周波数帯域での投資回収期間の回答は困難」という意見や「800MHz帯は約7年の歳月と1社だけで約5000億円の経済負担を伴いながら周波数再編を行った。現在でもエリア拡大や品質向上などで設備投資を行っており、継続的に投資回収している状況」などを挙げている。

 また、再編実施時について「再編に関わる補償などは受益者負担の原則のもと新たな事業者負担」とする声や、プラチナバンドの再配分について「既存周波数の再配分は影響が非常に大きい」といった声が聞かれた。

電波の利用状況調査

 電波の利用状況調査について、利用実態把握の評価指標として「帯域別トラヒック」の項目を設けることや、各社のエリアカバーなどについて、共通の尺度で計測したものがないという課題への対応について検討することが適当とした。

 また、「電波利用調査の結果」と「比較審査による周波数の再割り当て」をリンクさせるためには、透明で客観的な基準を定めた絶対評価の導入が必要だとしている。

 報告書案ではこのほか「端末免許手続の緩和実現のための検討」や「地域BWA(Broadband Wireless Access)の全国バンド化やBWAの音声利用の検討」などを提言している。