レビュー

ゲーミングルーターの新機軸? 地理情報で通信を制御する「ジオフィルター」を備えた「Nighthawk Pro Gaming XR1000-100JPS」を試す

 ネットギアジャパン合同会社のWi-Fi 6ルーター「Nighthawk Pro Gaming XR1000-100JPS」には、新しいコンセプトのゲーム向けフィルタリング機能が搭載されているという。

 その機能は「ジオフィルター」と呼ばれ、オンラインゲームで特定地域の相手とだけ接続する(それ以外の相手とは接続しない)というもの。

 長年のオンラインゲーマーである筆者のもとに本機のレビュー依頼がやってきたとき、面白い機能だと思う反面、実際にオンラインゲームで使うのは結構難しいのではないかという疑念も抱いた。何はともあれ試してみるしかあるまい、と試用してみることにした。

ネットギアのWi-Fi 6ゲーミングルーター「Nighthawk Pro Gaming XR1000-100JPS」

 まず正直なところを言えば、ジオフィルターは当初の予想以上に使いこなすのが難しい機能だったのだが、それの前提となる「ゲーミングルーター」としては、この製品はなかなか興味深い製品だった。そこで、Wi-Fi 6対応ルーターとしての基本性能や、ジオフィルター以外の機能を含め、筆者が試してみて分かったことを本稿にまとめていきたい。

Wi-Fi 6で最大4804Mbpsのデュアルバンド、4本の大型アンテナが目立つ

 まずは本機の基本スペックを確認しておこう。

Wi-Fi規格Wi-Fi 6
最大速度(5GHz)4804Mbps
最大速度(2.4GHz)574Mbps
ストリーム数(5GHz帯)4×4
ストリーム数(2.4GHz帯)2×2
WAN1000BASE-T×1
LAN1000BASE-T×4
USBUSB 3.0×1
サイズ(幅×奥行×高さ)295×200×64mm(アンテナ含まず)
重量600g

 Wi-Fiは最大4804Mbpsのデュアルバンド、有線はWAN側・LAN側ともに1000BASE-Tとなる。実売価格は約2万6000円で、基本的なスペックから考えるとやや高価だが、これはもちろんゲーミング向けの特別仕様であるがゆえだ。

有線はWAN/LANとも1000BASE-T。ほかにUSB端子を備えている

 本体は平べったい形状だが、サイズ自体は比較的大きめ。だいたいA4サイズの置き場所が必要になると考えればいい。筐体のデザインはネットギア製品によくあるポリゴンチックで近未来的なものだ。さらに長さ約15.5㎝のアンテナが4本あり、角度にもよるが、縦方向にもスペースが必要だ。

長さ約15.5㎝のアンテナを4本装備。向きはある程度自由に変えられる

 ただ、設置してしまえば、色は黒と濃い赤で目立つ意匠もなく、さほど激しい自己主張はない。電源以外のLEDインジケーターをオフにする設定もあり、極力目立たせずに運用することもできる。

 本体上部には、Wi-Fiのオン/オフ切り替えと、WPSのボタンが用意されている。Wi-Fiをオフにすることは滅多になさそうだが、WPSボタンが分かりやすい位置にあるのは重宝する。

本機の天面。中央手前部分にあるボタンはWi-Fiのオン/オフとWPS

安定感は抜群、近距離900Mbps以上、遠距離は100Mbps超

 ゲーミング機能について語る前に、本機のWi-Fi 6の性能をチェックしよう。速度テストにはiperf3を利用した。テスト用のクライアントは、Wi-Fi 6に対応し、2402MbpsでリンクできるノートPC。サーバーは1000BASE-Tでルーターと有線LAN接続している。

 筆者宅は3LDKの鉄筋コンクリート造のマンション。測定はルーターと同じ部屋(近距離)と、浴室や押し入れを隔てた遠方の部屋(遠距離)の2パターンで実施した。なお、筆者が普段利用しているNURO光のWi-Fi 5対応ホームゲートウェイ「HG8045Q」では、遠距離の地点だと通信が安定せず、しばしば切断されるような状況だ。

上り下り
近距離909.3931.1
遠距離107.9119.4

※単位はMbps。iPerf3はパラメーター「-i1 -t10 -P10」で10回実施し、平均値を掲載

 近距離での通信では、上り下りともに900Mbps以上と高速で、サーバーが接続されている有線LANの上限値と言っていい。遠距離も100Mbps以上で、ウェブブラウジングなどを試しても違和感なく利用できた。

 さらに、詳細な測定データを眺めていて感じたのは、通信速度がとても安定していること。Wi-Fiでの通信は、距離を問わずリンク速度が上下にブレることが多く、測定中の速度は数割程度の幅で変動することが多い。しかし、本製品ではそのブレ幅が小さかった。特に遠距離でリンク速度が落ちている状態でも、途切れることもなければ速度が一時的に上がることもなく、一定しているのが印象的だった。

 これがメーカーの意図した味付けかどうかは分からないが、もしそうなら、平均速度を高めることで、より安定した通信を求めたのだろうと想像できる。リアルタイム性の高いオンラインゲームでは、ゲームプレー中は少量の通信を頻繁かつ高速にやり取りする。そのため通信帯域が狭くとも、安定した通信が確保されている方が重要だ。つまり、本製品のWi-Fi性能は、基本的にゲームに適しているものと言えるだろう。

 速度面での不満もない。遠距離のテストは筆者宅でワーストケースの場所を選んでテストを行っており、遠距離の部屋でも真ん中あたりに移動するだけで、速度は3倍ほどに改善していた。筆者宅の環境なら、1台で家中カバーできると言っても問題ないだろう。

ゲーマー向けに多数の機能を搭載1%単位で設定できる、デバイス別のQoSなど

 本製品は、ほかにも様々な機能が用意されている。その中から活用しやすそうなものをいくつか見ていこう。

 まず、ゲーマーが重宝しそうなのがQoS。設定はアプリケーション別とデバイス別の2つから選べるようになっており、前者はゲームやストリーミング、VPNやVoIPなど10項目で、後者は接続されたデバイスごとに、それぞれ優先度を決められる。

 この優先度の設定がユニークだ。各項目が円グラフの状態で並べられており、初期状態では全アプリケーションやデバイスに100等分された優先度が均等に配分されている。ここで優先度を調整したい項目にある値をドラッグアンドドロップすることで、帯域の配分を自在に変えられる。1%単位で優先度を変更できるのは強力だし、見た目も直観的で分かりやすい。

デバイス別のQoS画面。標準状態では全てのデバイスに均等に優先度が割り当てられている
マウス操作でデバイスごとの優先度を上げ下げできる

 もし、アプリケーション別の設定でWebに優先度100を割り振り、ほかを0にしたとしても、ゲームやストリーミングがストップするわけではない。同様に、デバイス別の設定で特定のデバイスを100にしても、ほかのデバイスでの通信は可能だ。

 時間帯や家族の利用状況によってゲームの通信が不安定になることがあるなら、デバイスやアプリケーションで優先設定をしておくと状況が改善するかもしれない(もちろんほかの利用者にはネガティブな影響は出る)。

 ただ、筆者の環境では、本機能を未使用時にはインターネットのスピードテストが約850Mbpsだったのに、有効にした(いずれかの数値を上下させた)場合、その設定値にかかわらず約650Mbpsへ低下する症状がみられた。スマートフォンなどほかのデバイスでも、値に違いはあれど傾向は同じだった。元々の回線状況がいいとあまり必要とされない機能なので、使用時には回線速度がどう変化するかもチェックしておくといいだろう。

あると便利な「ネットワークマップ」を自動生成

 次はネットワークマップ。先の話題でも少し触れたが、Device Managerの項目を開くと、本製品を中心として、有線や無線で接続された機器がマップ表示される。Windows 7まではネットワークマップを表示する機能があったのだが、現在はWindows標準では用意されていないので、LAN内のデバイスを俯瞰するのに重宝する。デバイスをクリックすれば、IPアドレスやMACアドレスも確認できる。ほかにテーブル形式でのリスト表示も可能だ。

あると便利なネットワークマップも自動生成できる

曜日・時間・デバイス別に設定できるアクセスコントロール

 アクセスコントロール機能も面白い。トラフィック管理の項目で、デバイスごとに曜日と時間を指定して、接続を許可あるいは拒否する設定ができる。例えば子どもが使っているゲーム機を選んで、特定の時間帯のみ通信可能にしておけば、時間が来れば強制的に通信がストップする。最近のゲーム機はスリープ状態でソフトのアップデートをかけたりするので、強いておすすめしたいわけではないが、機能としては設定も分かりやすく、よくできている。

デバイス単位で、時間と曜日ごとにアクセス制限できる

 ほかにも、登録されているゲームのサーバーの位置とPingを表示する「Pingヒートマップ」や、Wi-Fiの「ゲストネットワーク」、ファイル共有、HTTP、FTP、DLNAメディアサーバーに対応する「USBストレージ」、ネットギア提供の「ダイナミックDNS」、ネットワーク流量に加えてCPUやメモリの使用状況も確認できる「モニタリング」など、あらゆる機能が可能な限り詰め込まれているという印象だ。

登録されているゲームのサーバー位置とPingを一覧できるPingヒートマップ

物理的な距離やPing値で接続先を絞り込める「ジオフィルター」

 さて、本製品のシステムには、英Netdumaが開発するゲーミング向けOS「DumaOS」が搭載されている。本機のジオフィルターも、DumaOSの持つ機能の1つとして提供されているものだ。

本機の目玉機能となるジオフィルター

 DumaOSにはウェブブラウザーでアクセスできるが、その使用感としては一般的なルーター設定ツールを、より高機能にしたものと考えればいい。

 そして本題であるジオフィルターの機能は、ざっくり言えば地図上で距離が離れた相手との通信を遮断するもの。物理的距離が遠い相手は、どうしてもPingの値も悪くなり、オンラインゲームのタイムラグを感じさせる原因になる。であれば、比較的距離が近い相手との通信しか認めなければ、常に快適なゲームプレーができる、というわけだ。

 基本的な使い方としては、地図上で自分の所在地から一定の距離を設定することで、その範囲外にいる相手との通信を遮断できるというもの。例えば、東京から半径2000kmくらいで指定すると、おおむね日本全体がカバーされ、欧米などの遠方の国は範囲外となる。

円形で距離を指定するのが基本的な使い方

 ただしこの場合、韓国や中国、ロシアの一部も範囲に入ってしまう。より範囲を限定するための「ポリゴンモード」という機能もあり、地図上に線を引いて通信を認める範囲を指定できる。これだと、自分の近辺をあえて省いたり、日本とアメリカなど複数の範囲を指定できたりもする。

より厳密に地域を指定したいなら、ポリゴンモードで線を引く

 通信相手の所在地は、IPアドレスなどの情報から自動で調べられ、地図上で示されるので、相手がどこにいるかを自分で調べるような手間はない。

 また、物理的な距離以外にも、Ping値が一定以下であれば範囲外でも通信を認める「Pingアシスト」機能も用意されている。地図の下部に表示されているバーを動かして値を設定すると、それ以下のPing値であれば接続が許可される。物理的距離を最小にしつつ、Pingアシストを一定値に設定することで、Ping値によるフィルターも可能なわけだ。

 ここまでがジオフィルターの基本的概念となるが、ここからは実際の運用について見ていきたい。まず、ジオフィルターはデバイス単位で機能するようになっているので、先に利用したいデバイスを登録しておく必要がある。つまり、本製品に接続するWi-Fi子機が思わぬフィルタリングを受けるということはないわけだ。

 さて、それでは、いよいよ検証……ということになるのだが、先に言っておくと、テストできるゲームに限りもあることから、今回は、有効に活用できるゲームタイトルは見つけられなかった。

 様々なゲームを試した感触としては、「P2P型のゲームやサーバーが多数あるゲームで、通信状態のいい相手や特定地域の相手とだけゲームをプレーしたい場合」や、「自宅にゲームサーバーを立てる」ような場合、便利に使える場合がありそうだ。

 自宅サーバーで運用している人の場合、IPアドレスでBANする、という機能を使っている人もいると思うが、それをあらかじめ地域で指定できる、という風に理解すればいいだろう。

ジオフィルターの設定手順

 それでは、実際にジオフィルターを使うための設定手順を説明しよう

 ジオフィルターが対象とする地域は、先述のように地図から設定するが、その設定を活用する際は、ジオフィルターを適用する通信デバイスを指定する必要がある。

 設定画面からデバイスの追加を選んで、筆者のゲーム用PCを選択すると、続いて利用するゲームのリストが表示される。今回は例として「Fortnite(フォートナイト)」を選択。すると「Fortniteはフィルターをサポートし、最も早いPingサーバーを検出する」というメッセージが表示され、フィルターするかどうかを尋ねられるので、もちろんフィルターを行ってみる。

デバイスの追加で、筆者のゲーム用PCを選択
どのゲームを遊ぶのか、リストから選ぶ
「Fortnite」はフィルターをサポートするそうだ

 ここまでの設定でジオフィルターは機能する。

 試しに、設定したPCで「Fortnite」を起動すると、ジオフィルターの地図上、東京付近に人型のマークが現れた。どうやらこれが日本国内の「Fortnite」サーバーのようで、それ以外にはマークが表示されない。おそらく「Fortnite」の設定で日本のサーバーを選ぶようになっており、それ以外のサーバーは表示されないのだろう。もちろん、そのままプレー可能だ。

 なお、「Fortnite」は最大100人が同時にプレーするゲームだが、本作の通信は、いったんサーバーを経由して各ユーザーに届けられているようだ。ゲームが終わるまで、ジオフィルターの地図上にはサーバーの1点が表示されるのみとなっていた。

ゲームをスタートすると、サーバーがあると思しき東京付近にマークが表示される。「Fortnite」は100人対戦のゲームだが、ほかのユーザーの位置が表示されるわけではない
デバイスの追加で「VALORANT」を選択してゲームを動かしてみた。フィルターは機能させないが、サーバーの位置が表示されている

 また、ジオフィルターを動作させるためには、デバイスをジオフィルターの対象に設定するだけでなく、ゲームタイトルもリストから選択する必要がある。

 これは意図しない通信障害を避けるための動作と思われるが、「とにかくジオフィルターを試したい」という場合もあるだろう。そこでDumaOSについて調べてみると、リストにないゲームはPCをコンソール機としてデバイス設定することで、フィルター機能が使えるようになるという。

 設定手順は、まずPCを適当なタイトルでデバイスを設定した後、DumaOSのメニューにある「Device Manager」を選択。表示されるネットワークマップから当該PCを選び、デバイスの種類を「Computer」から「Game Console」に設定する。こうすると、DumaOSからはPCがコンソールゲーム機として認識され、あらゆるゲームの通信をフィルター対象とするようになる。

「Device Manager」のネットワークマップからPCを選択
デバイスの種類を「Game Console」へと変更
リストにないPC版「Among Us」を起動し、アジアサーバーを指定。シンガポールに反応があったが、サーバーをブロックしているため、ゲームには参加できない
PC以外のデバイスでの動作例として、Wi-Fi 6で接続したPS5をジオフィルターにデバイス登録。「World of Tanks」で北米サーバーへ接続を試みたが、ブロックしているためつながらなかった
Androidスマートフォンでも試してみた。「クラッシュ・ロワイヤル」は、ジオフィルターの地図上でブロックしているはずの北米だけにサーバーのマークが付いたが、なぜか普通にプレーできてしまった

 というわけで、上記のほかにもいくつかオンラインゲームを試してみたのだが、今回は「これだ!」という使いどころが見つからなかった。

 背景としては、昨今はP2P型のゲームが減り、特にeスポーツなど競技性の高いゲームでは、通信ラグによる不公平感の是正やチート対策などから、クライアント・サーバー型を採用するのが一般的になっていることなどがある。

 また、説明書(英語)を読むと、PCゲームでは基本的にフィルター非推奨で、コンソールゲーム機での使用が薦められている。PCゲームはゲーム側で接続先をコントロールできるものが多いので、それが難しいコンソールゲーム機で使うべき機能、という意味だろう。

 ただ、コンソール機で使う場合も注意点はある。ジオフィルターが通信を遮断すると、ゲームサーバー側からはユーザーが通信を切ったような挙動に見えるため、意図的にゲームを止めたと判断され、ゲームでペナルティが課せられるものもある。

 こうしたことも含めて考えると、この機能は、ネットワークとゲームの挙動に知識がある人が、ほかのプレイヤーに迷惑をかけたりしないかをしっかり検討し、注意しながら使うものと言えるだろう。

P2P型や多サーバーのゲームで通信状態のいい相手だけとプレー

 さて、こうした辺りの挙動までを考慮すれば、P2P型のゲームやサーバーが多数あるゲームで、通信状態のいい相手や特定地域の相手だけに絞る、という使い方ができるはずだ。また、自宅にゲームサーバーを立てて運用するようなゲームの場合も、便利に使える場合があるかもしれない。

 また、特定地域のユーザーはチートが多いとなれば、そういった地域に接続しないようにも設定できる。IPアドレスから相手の所在地を調べるのは手間だが、ジオフィルターなら一目瞭然だ。

 ここまでしっかり読んでいただけた方にはご理解いただけると思うが、ジオフィルターは強力な機能を持つ反面、ファイアウォールのような挙動やゲームの通信の仕組みなど、ネットワークに関する一定の知識がないと、有効活用するのが難しい。

 とはいえ、一定の知識さえあれば、ジオフィルターを眺めているだけでもなかなか面白い。サーバーの物理的位置がすぐに分かるのも興味深いし、さらに表示されているサーバーのドメインも確認できるので、「このゲームのサーバーはAWS(Amazon Web Service)なのか」といったことも把握できる。いちいち専用のツールを導入して調べる手間がなく、簡単に見られるのが楽しいのだ。

ジオフィルターで検出したサーバーの情報が表示される

玄人向けの高性能ルーターだが、日本で全ての機能を生かしきるのは困難

 本製品のウリは、DumaOSによる多彩な機能と、高度にGUI化されたインターフェイスにある。ジオフェンシングやQoSによる制御機能を理解して使えば、ほかの製品では実現し得ないオンラインゲーム環境を構築できるパワフルな製品だ。

 ただし、導入すればオンラインゲームが快適になるという類の製品ではないのも確か。DumaOSの設定画面をすみずみまで眺めて、自分好みのチューニングを施すことで、本機の価値が出てくる。

近未来的な外見に多彩な機能を満載。使いこなすには相応の知識が必要になる

 クライアント・サーバー型が多数派になったオンラインゲーム環境と、欧米のように近隣に多数のゲームサーバーがあるような環境になることは考えにくい日本の事情を鑑みると、欧米のゲーマーと比べて日本では扱いづらい製品であることは否めない。フレッツ光でのIPv6 IPoE接続に対応していない点をネガティブに感じる人もいるだろう。

 また、アクセスポイントモード(ブリッジ接続)で動作させると、ジオフィルターやQoSといった制御機能は当然ながら使えなくなる。

 今回の検証は、筆者宅のNURO光のホームゲートウェイでルーター機能を切れないため、やむなく二重ルーター状態で実施したが、ネットワークトラブルの予防の観点では、なるべく避けたいところ。となると、本機がベストマッチするインターネット環境は、日本ではかなり限られてくるかもしれない。

 そのあたりを加味した上で、いわゆる洋ゲー、特に古めのゲームを好んでプレーしている人や、コンソール機を含めP2P通信のゲームを自分が遊んでいる、ということをきちんと理解している人なら、活用の道は自ずと見えてくる。Wi-Fiを含む基本性能に関しては安定志向が見られ、複数端末による連続動作を含めて不安定な部分は一切見られないのも、ゲーマーとしては評価できる点だ。

 総合的に言って、本製品はゲーマーの中でも、ネットワークに精通した玄人向けだ。詳細なマニュアルがウェブからのダウンロードのみで、しかも英語版しかないのも、さらにハードルを高くしている。性能や機能は間違いなく最高峰のゲーミングルーターなので、これらをデメリットと感じないくらいの人に、うまく活用していただきたい。