目指したのは「スマホカメラ」ではなく「カメラ」 ライカに聞く「Leitz Phone 1」開発秘話(1/2 ページ)

» 2021年10月25日 10時00分 公開
[小山安博ITmedia]

 ドイツの老舗カメラメーカーであるLeica(ライカ)が、初めて全面監修したスマートフォン「Leitz Phone 1」。定評のあるライカブランドと1型という大型センサーを搭載したカメラだけではない、「ライカのスマホ」のメリットについて、ライカの担当者たちに話を聞いた。

 記事内では企業名を「ライカ」、カメラの製品/ブランド名を「Leica」と表記している。

Leitz Phone 1 Leitz Phone 1

ライカにとって大きな意味のある「ライツ」

 Leitz Phone 1の名称に使われている「LEITZ」(ライツ)は、世界で初めて35mmフィルムのカメラを開発した企業、Ernst Leitz(エルンスト・ライツ)にちなんでいる。これは当時のライカの社名であり、設立は1914年のこととされている。この35mmフィルムカメラの開発は、現在に至るまでのカメラの歴史を決定づけた出来事であり、これがなければ現在のような写真の歴史はなかったかもしれない。

Leitz Phone 1 Leitz Phone 1の背面に備えられた1型センサーを搭載するカメラには、専用のカバーが装着できる

 「『Leitz Camera(ライツのカメラ)』が『Leica』となったように、ライカにとっては重要な位置付けにある『Leitz』という言葉をスマートフォンに冠したのは、ライカにとっても大きな意義と意味のあることだ」とライカのモバイル・サービス、グローバル・ディレクターであるジェーン・ツイ(Jane Cui)氏は強調する。「初めてのライカブランドのスマートフォン」が世に出たことについては、「35mm版カメラの登場と同じぐらいのインパクトだ」としている。

 ライカは、「スマートフォンにはずっと関心を寄せていて、どういったスマホカメラの発展があるのか注意深く見守っていた」(ツイ氏)。以前から複数のスマートフォンメーカーと話し合いをしてきたというが、実際に製品化に至ったのは中国Huaweiと協業した製品「HUAWEI P9」が最初で、2015年のことだった。

 それから、ライカではスマートフォンユーザーのカメラの使い方を学んできたという。「スマホカメラでは世界中の人が毎日写真を撮影していて、生まれて初めて使うカメラ機器がスマートフォンだという若い人もどんどん増えている。スマートフォン向けにどのような画作りをするかの学びがあった」とツイ氏は話す。

 ライカとしてスマホカメラを監修している中で、スマートフォン自体を全面監修するという考えに至った。まず第1弾として日本を選んだのは、Leicaの認知度が高く、市場として日本を重要視していたこと、そして日本市場で受け入れられれば、世界でも通用すると考えたからだという。

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