一人暮らしのネット環境Q&A

CATVのインターネット接続サービスってどう? 不動産店でおすすめされたけど、よく分からない

 ケーブルテレビなどを手掛けるCATV(Common/Community Antenna TeleVision)事業者がインターネット接続サービスも手掛けていて、一人暮らしの部屋を契約する際に、不動産店でおすすめされるケースがあります。CATVによるインターネット接続サービスの特徴や、メリット・デメリットを理解して検討しましょう。

一人暮らしを始めるにあたって、ネット環境をどうしたらいいのかよく分からない……。そんな人のために、初めての回線選びの考え方やWi-Fi設定の基礎など、一人暮らしのためのネット知識を、Q&A形式で紹介します。バックナンバーはこちら

家庭向けインターネット常時接続の元祖とも言えるCATV

 現在では、インターネットに接続していない状態をイメージする方が難しいほど、「インターネット常時接続」は当たり前になっています。

 しかし、インターネットが普及し始めた1990年代後半ごろは、一般家庭からメールのチェックやウェブサイトの閲覧をする際には、その前に電話回線を通じてインターネットに接続する必要がある「ダイヤルアップ接続」が一般的でした。そのような頃に、現実的な料金で家庭でも常時接続できるサービスとして注目されたのが、ケーブルテレビの回線を使うCATVでした。

 インターネット接続サービスまで提供していたCATV事業者はまだ少数でしたが、提供エリア内に住んでいた人は、先を争って申し込んだものでした。また、地上波のテレビがアナログ放送から現在の地デジに完全移行することになった2011年前後には、テレビを買い替えたりアンテナを立て直したりする必要がなく地デジに対応できることから、CATVが注目されたこともあります。

 地デジが当たり前になり、インターネットも光回線が一般的になった今でも、CATVのテレビとインターネットのサービスをセットで利用している人は少なくありません。CATV事業者は地域に密着して営業しており、地域の不動産事業者や、賃貸住宅のオーナーから紹介される機会も多いようです。

J:COMは、関東、関西、北海道、東北、九州および山口県と、全国の広い地域でCATVサービスを提供しています

CATVも進化、料金や通信速度を比べて判断しよう

 従来のCATVのインターネット接続サービスは、ケーブルテレビ用の同軸ケーブルによって提供されており、光回線よりも通信速度が遅く、サービス品質のわりに高額だと感じられるものが多くありました。

 しかし、近年では、同軸ケーブルに代わって光ファイバーを使用し、高速なインターネット回線や、4Kや8Kでの高画質な映像配信サービスを提供する事業者も多くなっています。「CATV」を名乗っていながら提供される回線は光だったり、事業者によってはNTT東西が提供する「フレッツ光」回線を利用したインターネットサービスプロバイダー(ISP)事業を行っていたりもします。

 そのため現在は、CATV(の事業者)だから、という画一的な判断はできなくなっています。CATVと、ほかの光回線のそれぞれの、料金や最大通信速度といったサービス内容を比較して決めるのがいいでしょう。なお、CATVでは、最大通信速度が数十Mbps程度と低速な代わりに、低料金を売りとしているサービスが提供されていることもあります。

 先述したように、CATV事業者は地域に根付いた営業スタイルのため、手厚いサポートが期待できます。自分の知識に不安があるのでサポートを頼りたいという向きには、CATVのサポートが頼りになる可能性が高いと言えます。

テレビや固定電話とのセットでお得に使える場合も

 CATVの優位な点として、テレビや固定電話とセットで割安のプランを設定している事業者が多いことがあります。

 地上波のテレビ自体は無料で視聴できますし、あまりテレビを見ないという人も多いと思いますが、マンションの地デジの電波が弱い場合や、有料放送を利用したい人、CATVの録画をしたい人、固定電話を使いたい人などには、お得なサービスだと言えます。

CATV以外の選択肢がない場合はどうする?

 契約する物件によっては、CATV以外の固定回線を選択できない場合もあります。これは、物件のオーナーがCATV事業者とそのような契約をしているためで、料金プランの選択肢はいくつかあるとしても、ほかの回線が選べないことになっています。

 このような物件で、ほかの条件はすべてOKなので契約したいけれど、CATVだけは利用したくないという場合、モバイル回線による常時接続を利用するという選択肢があります。NTTドコモなど携帯電話各社が提供している「ホームルーター」を検討しましょう。

正田 拓也