いま薄型テレビといえば「液晶」か「有機EL(Organic Light Emitting Diode、OLED)」の2択に分けられる。それぞれ発光材料や技術方式で細分化できるが、液晶と有機ELとでは根本的に異なる。

パネルの背後から光を当てる液晶テレビは光の純度が低下するうえ、ある程度まとまった領域ごとの描画にならざるをえない。

しかし、画素1つ1つが光を放つ自発光型のディスプレイ技術を採用する有機ELテレビなら、画素単位で輝度や色をコントロールできる。コントラストと応答速度においては有機ELが有利とされ、バックライトが不要なため液晶に比べ薄型化/曲面化が容易なことから、次世代の薄型テレビ技術として注目されてきた。

その有機ELテレビを支える企業が、LGエレクトロニクス(以下、LG)だ。今回はLGが果敢に挑戦し続けた『有機ELとの10年間』を紐解いていきたいと思う。

 

2013年、世界市場初の大画面のフルHD有機ELテレビを投入

始まりは2013年。55インチという大画面のフルHD有機ELテレビを世界市場に投入し、以来10年の長きにわたり市場を牽引してきた。

市場創出という点においても、LGは牽引役を果たしている。 2013年4月には画面が緩やかにカーブした曲面有機ELテレビを、同年9月にはベゼルが額縁のようなデザインの「GALLERY OLED TV」を発売。

その後、曲面パネルは車載装置やウェアラブル端末を中心に展開されることとなるが、ブラウン管や液晶では難しいとされていた分野へ果敢に挑み、先鞭をつけている。

2014年、高解像度化に対して一歩先を見据える

高解像度化への取り組みにも余念がない。2014年には4K/3,840×2,160画素の有機ELテレビ「ULTRA OLED TV」を発表、翌年には日本でも55型と65型の2製品を発売した。

2014年といえば本邦テレビメーカーがこぞって4Kモデルを投入し始めた時期、タイミングをあわせるかのように画素単位の制御が可能でコントラストに優れる有機EL製品を投入したことは、テレビ製品における画質の重要性を認識していたからだろう。

解像度という点では、2019年に公開された世界初・8K/7,680×4,320画素の有機ELテレビ「Z9」シリーズが先端を行く。

技術的に難しいと考えられていた有機ELパネルでの8K解像度は、進化した画像プロセッサーにも支えられ、驚くほど緻密で色鮮やかな映像を堪能させてくれる。

 

2020年、インテリアフィットを意識し、新しいライフスタイルの確立

近年ではテレビのあるライフスタイルを豊かにする新しい提案を盛り込んだ製品ラインナップも積極的に展開している。

2020年に発表されたローラブル(巻き取り)有機ELテレビ「LG SIGNATURE OLED R」では、有機ELパネルならではの「薄い・曲げられる」という特徴をいかし、ボタンを押すだけで、スクリーンがなめらかに回転し、キャビネットに収納される仕様に。視聴しないときは「テレビが住空間から消える」という新しいスタイルをもたらしている。

この「LG SIGNATURE OLED R」は、次世代テレビという視点でもユニークだ。キャビネットにスクリーンを収納してオーディオスピーカーとして活用する「Zero View」、少し出たパネル上部に時計や天気予報などを表示する「Line View」など、他にない提案性ある機能が用意されている。未来のテレビの姿を模索するという点でも、LGが果たした役割は大きい。

また、2022年にはデンマークを代表するファブリックメーカー「クヴァドラ社」と協業したデザインによって、テレビを上質な「アート作品」へ進化させた次世代有機ELテレビ「ART90」を発売。

個人の嗜好や季節、インテリアなどに合わせて自由に色を変え、よりインテリアフィットが図れるように別売りのフロントカバーも展開している。有機ELの可能性を様々な形で追求、提案することで拡大してきた豊富なラインナップはLGの有機ELテレビの強みのひとつといえるだろう。

LGの有機ELパネルが活躍する場はテレビだけではない。16インチと高画質かつ大画面ながら薄くて軽く、持ち運びにも最適なモバイルPC「LG gram」を発売。これまでの“大画面のPCは重いのが当たり前”という認識を塗り替える契機となった。

また、液晶には真似のできない有機ELならではの応答速度を生かす240Hz対応のゲーミングモニター「LG UltraGear™ 27GR95QE-B、45GR95QE-B」、高速描画にくわえ20段階で画面を曲げられるゲーミング仕様のテレビ「LG OLED Flex」など、有機ELパネルでなくては実現困難な製品が続々と発表されている。

テレビの画質トレンドの契機となったWRGB方式

テレビの画質トレンドを語るうえで欠かせない要素には、解像度のほかに「HDR(High Dynamic Range)」がある。HDR登場以前の明るさの基準は100nits(Standard Dynamic Range/SDR時)、それに対し最初に登場したHDR規格「HDR10」は1,000~10,000nits。明るさという点では光源を有する液晶テレビに利があるものの、LG率いる有機ELテレビ陣営もさまざまな方法で明るさ/輝度向上を模索し始めた。

有機ELパネルにはいくつかの方式があるが、LGが得意とし多くのテレビ製品に採用されてきたのは赤緑青+白(RGB+W)の4サブピクセルで1ピクセルを構成するWRGB方式。画素ごとにカラーフィルターを被せる構造で、液晶パネルのようにバックライトの光量を増やして明るさを稼ぐことはできないため、より明るくすることが課題となった。

LGの活躍は有機ELテレビだけにとどまらない

画質向上へのたゆまぬ努力は、LGが有機ELテレビ普及の旗振り役であるからにほかならない。より大きく、より明るく、より高解像度のテレビを求める市場の声に応えるには、総合的かつ持続的な開発姿勢が必要だ。

そして有機ELテレビで4K/8KやHDRを高い水準で実現するには、パネルという基礎体力にプラスαが求められる。それが有機ELに最適化された映像プロセッサー「α9」であり、最新機種には人工知能を活用し、ディープラーニングで何百万もの映像リソースを学習したAIプロセッサーが、画質レベルを分類し映像を細分化、より最適な画質やサウンドをもたらす「α9 AI Processor Gen6」が搭載されている。ノイズを抑えた2K→4K変換処理(アップスケーリング)や自然で滑らかな階調変化(トーンマッピング)は、この強力なプロセッサーに負うところが大きい。

薄さと軽さ、自発光方式ならではのコントラストの高さに明るさがくわわったLGの有機ELテレビ。テレビに限らず、ノートPCやモニターなど表示装置を用いるさまざまな製品に採用が進み、その存在感はさらに増している。有機ELテレビにおける10年という経験に裏付けられたLGの自信は、M3、Z2/Z3、G2/G3シリーズに付された「パネル5年保証」からも伺える。今後さらなる普及が見込まれる有機ELディスプレイ市場、LGの動向に注目だ。

[PR]提供:LGエレクトロニクス・ジャパン