JRグループ(※1)は2025年4月1日から、障害者割引制度を拡充し精神障害者も割引対象とする。他の鉄道事業者の一部も、同日から同様の割引制度を導入する(既に導入済みの事業者もある)。
これに伴い、都道府県または政令指定都市が交付する「精神障害者保健福祉手帳」(※2)には今後、障害者割引を利用する際に必要な「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄」が設けられる。
【訂正:4月16日9時】初出時、障害者割引の等級について誤った説明をしていました。おわびして訂正いたします(加筆も行っています)
(※1)北海道旅客鉄道(JR北海道)、東日本旅客鉄道(東日本旅客鉄道)、東海旅客鉄道(JR東海)、西日本旅客鉄道(JR西日本)、四国旅客鉄道(JR四国)、九州旅客鉄道(JR九州)
(※2)都道府県が発行する手帳は、市町村(政令指定都市を除く)または特別区の担当窓口を通して交付される
JRグループを始めとする多くの鉄道事業者では、身体障害者および知的障害者と、その介助者を対象に障害者割引を提供している(参考記事)。一方で一部事業者を除いて、精神障害者への運賃類の割引は用意されておらず、「社会進出を促進する観点から、精神障害者にも同種の割引を導入すべき」という意見が寄せられていた。
JRグループが新たに導入する精神障害者向けの障害者割引は、以下のパターンが用意されている。なお、介助者を伴う場合の割引は本人と介助者が“一緒に”移動しないと成立しないので注意したい。
(※3)特別急行(特急)券、座席指定券や特別車両(グリーン)券は対象外。なお、JRグループには定期運行している急行列車は存在しない
(※4)小児運賃を適用する定期乗車券を除く
(※5)営業キロが片道100kmを超える場合のみ。なお、片道100kmを超える普通乗車券は原則として「みどりの窓口」または「指定席券売機」でないと買えない(通常の自動券売機では販売していないことが多い)
なお、上記の割引はJRグループと他の鉄道事業者にまたがる「連絡きっぷ」にも適用できる。ただし、連絡先事業者が同種のきっぷと割引を用意していることが前提となる。また、実際に乗車する区間や経路、きっぷの種類によっては、連絡きっぷとして発券できないこともある(この場合、それぞれの鉄道事業者で別々に購入する必要がある)。
精神障害には、その程度によって以下の通り等級が設けられている。
今回、JRグループ(と一部鉄道事業者)が導入する障害者割引では、第1級精神障害者が「第1種」、第2級/第3級精神障害者が「第2種」の割引が受けられるようになる見通しだ。
関東ICカード相互利用協議会(※6)では、2023年3月から第1種身体/知的障害者とその介助者を対象に「障がい者用Suica(※7)」「障がい者用PASMO」の提供を開始している。
(※6)関東地方でSuicaを導入している鉄道/バス事業者と、PASMOを導入している鉄道/バス事業者の協議会
(※7)JR東日本の「Suicaカード」と、東京臨海高速鉄道の「りんかいSuicaカード」に設定あり
精神障害者割引の本格導入を受けて、2025年4月1日から第1種精神障害者とその介護者にも障がい者用Suica/PASMOの販売が開始される。利用可能な鉄道/バスのエリアは従来と同じく「Suicaエリア(首都圏/仙台/新潟/秋田/盛岡/青森:※8)」と「PASMOエリア」で、他の交通系ICカードのエリアでは利用できない(電子マネー機能のみ利用可能)。
(※8)「地域連携ICカード」のエリアも含む。ただし、新潟県の「りゅーと」導入バス事業者では利用不可
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