ソニーは、重低音再生にこだわった新しいシリーズ「ULT POWER SOUND」のヘッドホン1機種と、ポータブルスピーカー2機種の計3製品を4月26日から順次発売する。ワイヤレスヘッドホン「ULT WEAR」は4月26日発売で、価格はオープンプライス、店頭価格は33,000円前後を見込む。

  • ソニーの重低音再生にこだわった新しいシリーズ「ULT POWER SOUND」登場。写真はワイヤレスヘッドホン「ULT WEAR」のパッケージ

ULT POWER SOUNDシリーズのラインナップは以下の通り。

  • ワイヤレスヘッドホン「ULT WEAR」(WH-ULT900N):33,000円前後(4月26日発売)
  • ワイヤレススピーカー「ULT FIELD 1」(SRS-ULT10):22,000円前後(4月26日発売)
  • ワイヤレススピーカー「ULT FIELD 7」(SRS-ULT70):66,000円前後(5月24日発売)
  • ULT WEAR(フォレストグレー)

  • ULT FIELD 1(オレンジ)

  • ULT FIELD 7

「アリーナの最前列にいるような、熱狂的で心震える臨場感」を追求した新シリーズ。「重低音を効かせた音楽を聞いていると落ち着く」、「ストレスを忘れて自分を取り戻すために重低音を楽しみたい」といった若年層のニーズやトレンドを踏まえ、重低音再生のクオリティをさらに強化した新たなブランド・シリーズとして「ULT POWER SOUND」の製品群を展開していく。

ULTシリーズの製品群のユニークなポイントが、いずれも「ULTボタン」を本体に備えており、これを押すだけで簡単に重低音再生を強化できる点だ。特にヘッドホンのULT WEARと、ポータブルスピーカーのULT FIELD 7では、いずれも複数回ボタンを押すことで「深い低域を強調する」というULT 1モード、「パワー感を強調する」というULT 2モードを切り替えられ、好みに合わせて切り替えられる。

  • ULT WEARは、左側のイヤーカップ後側面に「ULTボタン」がある

ソニーではこれまで重低音特化の「EXTRA BASS」シリーズを展開してきたが、現在はワイヤレスポータブルスピーカー「SRS-XB23」を除いてヘッドホン/スピーカーいずれも販売を終了していく方向だ。なおEXTRA BASSシリーズには属さない、パワフルサウンドを楽しめる現行の大型ワイヤレススピーカー「SRS-XV500」などは販売を継続する。こうしたラインナップが既にあるためか、海外市場で発表済みの「ULT TOWER 10 Party Speaker」の国内展開については、特にアナウンスされていない。

  • ULT WEAR。左からフォレストグレー、ブラック、オフホワイトの3色展開

ULT WEARの最大の特徴は、本体サイドに備えた「ULTボタン」を押すことで重低音のレベルを簡単に切り替えて強化できる点。ULT2モードに設定した場合は、「ソニー史上最高の重低音体感」を可能にするとしている。カラーはブラック、フォレストグレー、オフホワイトの3色展開。

  • ULT WEAR(ブラック)

  • ULT WEAR(オフホワイト)

本体には、ハイコンプライアンス化による迫力のある重低音再生とクリアな中高域再生を追求した、ULTシリーズ専用40mm径ドライバーユニットを搭載して音質を強化。さらに、ソニーのワイヤレスイヤホン/ヘッドホンの上位機種で採用している「統合プロセッサーV1」と4基の内蔵マイク、デュアルノイズセンサー技術によってノイズキャンセリング(NC)性能を高めている。

  • ULTシリーズ専用40mm径ドライバーユニットを内部に搭載。耳への当たりが良い柔らかなイヤーパッドも備える

  • ハウジング上部はパンチングメタル調のあしらいになっているA@

ソニー独自の立体音響技術を活用した音楽体験「360 Reality Audio」の認定モデルであり、頭の動きに合わせて音の聞こえる方向が変わり、立体的なサウンドを楽しめる「ヘッドトラッキング」に新たに対応。YouTubeの5.1chコンテンツなどを、Android 13以降を搭載した一部のスマホと連携することで使えるようになる

連続再生時間はNCオンで最大30時間、NCオフでは最大50時間。対応するBluetoothコーデックはSBC、AAC、LDAC(ヘッドホンとしての再生周波数帯域が20kHzまでのため、ハイレゾワイヤレスには非対応)。2台同時接続のマルチポイント対応。

  • ULT WEAR(フォレストグレー)

ULT WEARの重低音再生のクオリティは、実際に聴いてみるとかなりイイ。従来のEXTRA BASSシリーズの中で、ULT WEARと立ち位置が似ているワイヤレスヘッドホン「WH-XB910N」(実売約2.5万円)と聴き比べてみても、その差は歴然としている。ULT WEARのULTモードをオフにして音量50%で聴いた状態で「XB910Nの音がちょっとくぐもっている感がなくなっている」、「それぞれの楽器(音源)の分離感が良くなった」というのがすぐに分かる。

  • 「Sony|Headphones Connect」アプリの画面

ULTモードも切り替えていくつか曲を聴いてみたが、個人的には「深い低域を強調する」というULT 1モードより、「パワー感を強調する」ULT 2モードのほうが、さまざまな曲を楽しく聴けて気に入った。このあたりはどんな曲をどういうシチュエーションで聴くかにもよるので、好みは分かれると思う(ただし製品の傾向からいって、クラシックやジャズには全体的にマッチしにくいことは申し添えておく)。

  • イコライザー設定の画面からもULTモードを切り替えられる

ちなみにどちらもNC機能を装備しており、飛行機内に伝わる騒音を模したサウンドをどの程度消音できるかも試してみた。これについては、ULT WEARのほうがXB910Nよりもノイズが抑えられており、機内で役に立ちそうだ。

  • 製品内容

ポータブルスピーカーのULT FIELD 1は、タテヨコどちらにも設置でき、マルチウェイストラップで吊り下げても使えるコンパクトなサイズ感が特徴。ULTシリーズの末弟モデルであり、価格帯的には現行のポータブルスピーカー「XE300」と「XE200」の中間に位置づけられる。カラーはブラック、オフホワイト、フォレストグレー、オレンジの4色。

  • ULT FIELD 1。左からオレンジ、オフホワイト、フォレストグレー、ブラック

従来のポータブルスピーカー「XB23」ではフルレンジユニットを2つ搭載して音を鳴らしていたが、ULT FIELD 1では低域を担当するウーファーと中高域用のツイーターに独立して各1基搭載。これによって低域強化や音圧向上を図り、ボーカルのクリアさにも磨きをかけた。対応するBluetoothコーデックはSBCとAAC。同じ機種を2台使ったステレオペア再生もできる(それ以上の複数台接続はできない)。なお、低域を強化するULTモードはオン/オフのみで、ULT FIELD 1にはULT 2モードは非搭載。

  • ULT FIELD 1

本体は屋外でも使えるよう、IP67の防水・防じん対応で、さらにサビにも耐える防錆対応。浴室やビーチなどで使えるようにした。約12時間再生可能なロングバッテリーも搭載する。本体サイズは約206×76×77mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約650g。

  • 本体側面のボタン。一番右がULTボタン

ULT FIELD 7は肩に担いで持ち運ぶようなサイズ感のワイヤレススピーカー。従来のワイヤレススピーカー「XG500」に置き換わる製品で、重低音を鳴らす矩形ウーファー(2基)はソニー独自のX-Balanced Speaker Unitを採用し、さらにデュアルパッシブラジエーターで低域を増強広帯域。強力な低音再生を可能にした。中高域を担当するツイーターは、クリアなボーカル再生や音の広がり感向上を追求し、振動板口径がXG500比で1.8倍大きくなっている。対応するBluetoothコーデックはSBC、AAC、LDAC。

  • ULT FIELD 7

ULTモードは1と2が選べ、電源オン時のデフォルト設定はULT 2モード。ちなみに、ポータブルスピーカーのULT FIELD 1/7については、ULTボタンを切り替えることでユニークなサウンドエフェクトが一瞬流れる設計になっているが、特定のボタン長押しでこのSEはオフにもできる。

  • 本体側面のボタン。一番右がULTボタン

本体はタテヨコどちらにも設置できるマルチレイアウトデザイン。両端には持ち運びしやすいよう、ハンドルを装備する。また、構造を見直してより明るくなったLEDライティング機能も装備。背面にはカラオケでも使えるマイク/ギター端子を装備し、さらにマイク入力時のキーコントロールと、マイクエコー機能を新たに搭載した。

  • 縦置きしたところ

  • LEDライティング機能も装備。光り方は比較的抑えめな印象

本体は屋外でも使えるよう、IP67の防水・防じん対応で、さらにサビも耐える防錆対応。浴室やビーチなどで使える。約30時間再生可能なロングバッテリーも搭載する。なお充電時はコンセントにつないでAC電源を利用することになるが、背面のフタを開けて電源ケーブルをつなぐと防水性能を発揮できなくなる点には注意が必要だ。本体サイズは約512×222×224mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約6.3kg。カラーはブラックのみ。