みんなのケータイ

Google Pixelがいらなくなるかも!?──Galaxy S23 Ultraに突然降ってきたOne UI 6.1に沸き立つ

【Galaxy S23 Ultra】

 録音データがテキストになっていれば、再生するより早く全体の内容を把握できるし、検索も容易だ。しかし、文字起こしは録音データの長さの10倍近い時間がかかるため、時間のことを考えると文字起こしするかどうか悩ましい。

 数年ほどは音声データをテキスト変換するサブスクリプションサービスを契約していたのだが、いま一歩という使い勝手だったため解約。動画編集ソフトに搭載された自動文字起こし機能も便利なのだが、ソフトの起動に時間がかかるのと、インストール台数に限りがあるため、帰宅してからしか作業できないので、当日中に原稿を書き上げたいというシーンには向いていない。

 サブスクいらずで、録音しながらリアルタイム文字起こしするには、Google Pixelシリーズしかないかぁ……とあきらめていたところ、4月18日に突如としてOne UI 6.1が、愛用のGalaxy S23 Ultraに降ってきた。

 いつものファームウェアアップデートかと思い、流れ作業でアップデートしたところ、再起動後に「高度なインテリジェンス」というタイトルが表示された。先日発表されたばかりの「Galaxy AI」に対応するためのアップデートだったのだ。

 そして、今回のアップデートで、Galaxy純正のボイスレコーダーアプリで「録音ファイルを文字起こしして要約」するという。「これはもしかして、リアルタイム文字起こしができるのか? Google Pixelを買わなくても済むのか?」とワクワクしながら詳細を開いてみた。

「文字起こし」の文字につられてワクワクして詳細を開いたら……「録音ファイルをテキストに変換」するとの表示。どうやらリアルタイム文字起こしできるというわけではなさそうだ。

 ちなみに、以前のバージョンのボイスレコーダーアプリでは1度の操作で10分限定だがリアルタイム文字起こしをすることができた。ただ、その10分が終わると録音そのものも終わってしまう。自分で質問をするようなインタビューだといちいち10分ごとにスマホの画面を確認していられないし、発表会のような場でも、写真を撮るのに夢中で、スマホ操作を忘れてしまう。なので、テキスト変換の精度が高かったものの、現実的ではないという印象だった。

 話を戻して、One UI 6.1で機能がアップしたボイスレコーダーアプリは、予想していたとおりリアルタイム文字起こしは不可であり、録音済みファイルのみテキスト変換することができる。

 「なんだ、そしたらLINE CLOVA Noteでいいじゃん」と思ったのだが、テキスト変換中に気になる表示を見つけた。「端末で安全に録音ファイルを分析中」というものだ。

えっ、端末で? 「端末で」という言葉に引っかかり、Galaxy S23 Ultraを機内モードにしたうえで、別の音声ファイルで「文字起こし」を試したところ、文字起こしができていた。
通話録音したものを「機内モード」で文字起こし。文字起こしにネットワーク環境不要なのはありがたい

 LINE CLOVA Noteは、かなり正確に文字起こしをしてくれるのだが、ファイルアップロードに時間がかかるのが難点。通信環境が悪いといつまでも終わらずイライラすることすらある。

 しかし、One UI 6.1にアップデートされたGalaxy S23 Ultraのボイスレコーダーアプリなら、通信を必要としないのでそんなプチストレスともおさらばできる。この際、精度の低さには目をつぶろう。意味の通じない文を見つけたら、そこをタップしてから再生すれば、ピンポイントで確認できるし。

 One UI 6.1のボイスレコーダーアプリには「要約」機能も追加された。文字起こししたテキストを元に箇条書きにしてくれるというものだが、これが非常に優秀。長々と文字起こしされたものを読まなくても、話されていた内容を把握できる。

 しかも、録音ファイルのどの部分(テープレコーダーでいえば、カウンターが表示する数字)を参考にした要約なのかを「hh:mm:ss」の形で表示するので、本当にその要約で合っているのかをかんたんにチェックすることもできる。なお、要約機能を使うには通信環境が必要である。

見出しの横に、話題が登場したタイムライン上の時間を表示するので、確認も容易だ

ギャラリーアプリではAIを使った写真編集もできるように

 One UI 6.1へのアップデートにより、ギャラリーアプリ内のフォトエディターでもAI機能を使えるようになった。具体的には、角度補正した際やオブジェクトを移動した際に生じてしまう透明部分を、生成AI塗りつぶしにより補完してくれたり、画像に最適な編集を自動的に行ってくれたりするというものだ。

 たとえば、くねりくねりとしている猫のかわいい瞬間を撮影したものの、余計なものが写り込んでしまった、というのはよくあることだが、タップして選んでから長押しして削除すれば、そのオブジェクトはなかったことになる。削除したために生じた透明部分はGalaxy AIが補完してくれる。

猫の右上にはヒモが、左側には灰色の板状のものが写り込んでしまった。これらを片付けていると猫のかわいい瞬間を写真に収められなくなってしまう
いつもの編集画面で「生成AI」ボタンをタップして削除したいものをタップして選ぶ
選択したものを長押しすると移動させたり削除したりできるようになるので、消しゴムアイコンの削除ボタンをタップしよう。削除して生じてしまった透明部分は「生成」ボタンをタップして補完してもらう
不要なものを削除して、背景を補完した結果。まだ余分なものが残っているが、ヒモや灰色の板などで隠れていた床の木目がほぼ違和感なく生成されているのがわかる

 また、「これはおいしそうだ」と思ってカメラを向けたものの、照明などの関係で食欲のわかない写真が撮れてしまったら、「補正」ボタンをタップするだけでAIが画像を分析して最適な画作りをしてくれる。

ギャラリーから写真を選び、上方にスワイプするか「i」ボタンをタップすると、その写真の詳細が表示される。写真内に編集の提案が表示される(ここでは「補正」)ので、タップすれば自動的に補正される
スライダーを動かして補正前後の写真を見比べられる。明らかに補正後の写真のほうがおいしそうに見える。クロワッサンに付いてしまった猫の毛の除去はしてくれない

 編集の提案は写真によって異なり、着用したメガネの反射が激しい場合などは「反射を消去」が、自宅で撮影したようなものであれば「背景ぼかし」などの提案が表示されるようだ。

「背景ぼかし」「反射を消去」「補正」の3つの編集提案が表示されている例

 画像周りでいえば、「かこって検索」も使えるようになった。Google Pixelでもないし、最新のGalaxy S24/S24 Ultraというわけでもないのに使えるのはありがたい。期待していたリアルタイム文字起こしへの対応はまだであるものの、ひとまず新しいGoogle Pixelの購入を思いとどまったのであった。

自由に削除するオブジェクトを選べるAdobe Expressと異なり、1つずつしか選べないため、猫じゃらしの頭を消したいのにマタタビの枝が増えたり、左側にあるボールタワーが増殖したりしていた。今後に期待したい