本日の一品

夏のスマホに向け、ルックスで選んだペルチェ式双発クーリングファン

 かつて、鳴り物入りで登場した初代のLeitz Phoneを発売日に衝動買いして、近所に持ち出して撮影したことがあった。季節はまだ初夏だったがその日は運悪く太陽がギンギンと照っていた。

 近所にある木々がうっそうとした1000年以上の歴史ある神社で撮影を始めたが、動画ではなく写真を数枚撮った段階で、画面には「本体の温度が上昇した為、カメラを終了します。しばらくしてからお使いください」というメッセージが表示され、一瞬のうちに撮影できなくなった。

 それまで、あまりほかのスマホで同様の経験がなかったので面食らったが、やむなく木陰で小休止しては撮影、エラーメッセージが出てはまた小休止して撮影の繰り返しとなった。その後、友人にスマホクーラーというモノを紹介されたが、それより前に初代のLeitz Phoneを断捨離してしまっていたので使うチャンスはなかった。

 実は今、手元には「Leitz Phone 2」がある。そして、比較的安価なAREA社(エアリア)の「PELTIER RADIATOR」(ペルチェラジエーター)という製品名も手に入れた。

 ペルチェラジエーターは2個のペルチェ素子冷却媒体プレートと各プレート上に各1基の排熱ファンを備えたデザイングッドでなかなか強そうなヤツだ。

 ペルチェラジエーターの本体サイズは幅7.0cm、長さ9.5cm、厚さ4.0cmコンパクトで約100gと軽量だ。昨今の6インチクラスのスマホならだいたいフィットし、総重量は300g前後になるだろう。

 ペルチェラジエーターの長辺両側面にはUSBType-Cポートがあり、反対側にUSB Type-Aポートが用意されている。ペルチェラジエーター本体には内蔵バッテリーはない。なので外部のUSBポートから給電を受けて動作する。

 ペルチェラジエーターのType-Cポートのすぐ上には、電源オンオフとファンの回転数を3段階(L1、L2、L3)に切り替えるための小さなボタンスイッチが配置されている。ファンの回転数切替は三脚ネジ穴を挟んだ反対側の小さなLEDインディケーター上に表示される。また、その時点でのスマホとの接触面の華氏温度もリアルタイムで表示される。

 ペルチェラジエーターには2ヶ所にスマホを使用した長時間撮影時に便利な縦位置使用と横位置使用の三脚用の4分の1インチネジ穴が用意されている。ペルチェラジエーターが複数あればスマホ本体だけではなく明るさを支援する為の大型の専用LEDライトなどのホールドにも利用できる。

 基本的にはペルチェラジエーターも、一般的なこの手の商品と同じように、スマホの背面に本体内蔵の両側に広がるバネ式のクリップで固定して使用する。もちろんクーリング効果を発揮するには余計なケース類は取り外して使用すべきだろう。感覚的には保冷剤をスマホの背面に貼り付けるイメージで、発熱時に人が使う水枕のようなものの一種だ。

 壁面コンセントに取り付けたUSB充電器や、モバイルバッテリーから給電を受けてペルチェラジエーターを動作させるだけなら、前述した本体付属のUSBケーブルで事足りる。可搬性や携帯性を重視するならスマホのポートに応じてケーブルが必要だ。今回の筆者の場合は別途、Type-C 2 Type-Cショートケーブルを購入して使用した。

 ペルチェラジエーターによるクーリングとスマホへの同時給電(充電)が必要な場合には先ほど別途購入したスマホのポートにマッチしたケーブルと本体付属のUSB Type-A to Type-Cケーブルの2本を使って、ペルチェラジエーターをパススルーしてペルチェラジエーターの動作とスマホへの給電(充電)を同時に行うことができる。

 屋外やACコンセントの無い場所で大容量のモバイルバッテリーを活用してペルチェラジエーターを使用する場合も同様だ。この構成なら屋外での長時間の動画撮影やオンラインミーティングでも十分活用できるだろう。

 まだまだ夏には程遠い気温だが、今回はいずれもエアコンなしで室温25度の我が家で、ペルチェラジエーターの挙動と効能を簡単にテストしてみた。最初の例はバッテリー残量60%弱のLeitz Phone 2で30分ほど動画撮影を行い、途中でペルチェラジエーターをオンしてその間のバッテリー残量の変化とスマホ内部の温度変化をグラフで見てみた。

 動画撮影の始まった19時45分くらいからバッテリ残量は急激に減ると同時に、スマホ内部の温度は28度近辺から40度近くまで上昇している。そして20時15分頃に動画撮影を終えてペルチェラジエーターをオンにすると急激に温度は25度以下まで下がった。その後は充電開始の影響を受けて内部温度は30度くらいまで上昇するが、それ以降は28度~30度近辺で安定した温度となっている。

 もう一つの例では、最初からペルチェラジエーターでクーリングを始め12時15分頃に動画撮影を始めた。約3時間の動画撮影でバッテリー残量はどんどん下降カーブを描くが、ことスマホ内部の温度はその間もずっと33度近辺を保ったまま極めてコントロールされている様に思える。動画撮影を停止した後はスマホへの充電のみとなったのでそれまでの冷却効果で内部温度はより低下して充電完了後は30度前後で安定したように見える。

 ペルチェラジエーターは今現在の室温25度という人にとってもスマホにとってもベストな環境において、なかなか素晴らしい働きを示してくれている。これからの季節、実際に今より10度~15度高い室内やアウトドア環境でもスマホ内部を40度以下に抑えてくれて”撮影中止”画面が再現されることがないようにクーリング能力に期待したい。